はじめに

このページでは、硫黄の単体・化合物について、その性質や製法を紹介していく。いずれも重要なものばかりなのでの機会に必ず覚えるようにしよう。


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硫黄の単体

斜方硫黄/単斜硫黄/ゴム状硫黄
Point!

硫黄の単体には斜方硫黄S8単斜硫黄S8ゴム状硫黄Sの2種類が存在する。これら2つは、同じ硫黄元素からできているため同素体の関係にあるが、様々な点で違いがある。

斜方硫黄 単斜硫黄 ゴム状硫黄
化学式 S8 S8 S
構造
 
環状

 
環状

 
高分子
特徴
  • 黄色
  • 八面体状結晶
  • 安定
  • 黄色
  • 針状結晶
  • 不安定
  • 放置すると斜方硫黄になる
  • 弾性あり
  • 硫黄の単体として一番基本的なのは斜方硫黄。黄色の八面体状結晶で非常に安定している。単斜硫黄は黄色の針状結晶で不安定なため常温で放置するとより安定な斜方硫黄に変化する。ゴム状硫黄は名前の通りゴム状で弾性がある。

    また、斜方硫黄と単斜硫黄は”分子”のため化学式S8で表され、ゴム状硫黄は”高分子(Sが無数に繋がったもの)”であるため組成式Sで表される。

    硫黄の水酸化物(硫化水素)

    ①無色/腐卵臭
    ②2価の弱酸
    ③還元剤
    ④製法:硫化鉄に塩酸を加える
    Point!

    硫黄の水素化物として有名なのは硫化水素H2Sである。硫化水素の重要ポイントは4つ。

    ①無色/腐卵臭

    H2Sは無色で刺激臭の一種である「腐卵臭」という臭いがする。

    ②2価の弱酸

    硫化水素は水に溶けて次のように電離し二価の弱酸として働く。

    \[
    H_{2}S → 2H^{+} + S^{2-}
    \]

    ③還元剤

    硫化水素は還元剤としても働くことがある。

    \[
    H_{2}S → S^{2-} + 2H^{+} + 2e^{-}
    \]

    ④製法:硫化鉄に塩酸を加える

    硫化水素を作る際は硫化鉄FeSに塩酸HClを加える。

    \[
    FeS + 2HCl → FeCl_{2} + H_{2}S
    \]

    この反応は弱酸遊離反応の一種である。弱酸遊離反応について詳しいことは【原理】弱酸・弱塩基遊離反応の仕組みや公式、反応式の作り方を解説!を確認しよう。

    硫黄の酸化物(二酸化硫黄)

    ①無色/刺激臭
    ②2価の弱酸
    ③酸化剤にも還元剤にもなる
    ④製法1:銅に濃硫酸を加えて加熱する
    ⑤製法2:亜硫酸ナトリウムに希硫酸を加える
    Point!

    硫黄の酸化物として有名なのは二酸化硫黄SO2である。二酸化硫黄に関する重要ポイントは5つ。

    ①無色/刺激臭

    二酸化硫黄は無色で刺激臭をもつ。

    ②2価の弱酸

    二酸化硫黄は水に溶けて亜硫酸となり電離して二価の弱酸として働く。

    \[
    SO_{2} + H_{2}O → H_{2}SO_{3}\\
    H_{2}SO_{3} → SO_{3}^{2-} + 2H^{+}
    \]

    ③酸化剤にも還元剤にもなる

    二酸化硫黄は酸化還元反応の中で酸化剤としても還元剤としても働くことができる。

    \[
    SO_{2} + 2H_{2}O → SO_{4}^{2-} + 4H^{+} + 2e^{-}\\
    SO_{2} + 4H^{+} + 4e^{-} → S + 2H_{2}O
    \]

    ④製法1:銅に濃硫酸を加えて加熱する

    銅Cuに濃硫酸H2SO4を加えて加熱する。

    ⑤製法2:亜硫酸ナトリウムに希硫酸を加える

    亜硫酸ナトリウムNa2SO3に希硫酸H2SO4を加える。

    \[
    Na_{2}SO_{3}+H_{2}SO_{4}→Na_{2}SO_{4}+\underbrace{ SO_{2}+H_{2}O }_{ H_{2}SO_{3} }
    \]

    硫黄のオキソ酸(硫酸)

    ①2価の強酸
    ②酸化剤として働く
    ③吸湿性がある
    ④不揮発性がある
    ⑤脱水作用がある
    ⑥工業的製法:接触法
    Point!

    硫黄を含むオキソ酸として有名なのは硫酸H2SO4である。硫酸に関する重要ポイントは6つ。

    ①2価の強酸

    硫酸は2価の強酸として働く。

    \[
    H_{2}SO_{4} → 2H^{+} + SO_{4}^{2-}
    \]

    ②酸化剤として働く

    硫酸は酸化剤として働くこともある。

    \[
    H_{2}SO_{4} + 2H^{+} + 2e^{-} → SO_{2} + 2H_{2}O
    \]

    ③吸湿性がある

    硫酸は吸湿性をもっているため酸性の乾燥剤として用いられることがある。

    乾燥剤について詳しくは【乾燥剤】酸性・中性・塩基性の乾燥剤一覧や分類・仕組みを解説!を確認しよう。

    ④不揮発性がある

    硫酸は不揮発性という性質をもつことでも有名である。

    この性質を生かして不揮発酸の生成反応に用いられる。(揮発性酸遊離反応に関しては揮発性酸遊離反応とは?原理や疑問点を具体例を使って解説!を参照)

    ⑤脱水作用がある

    硫酸は脱水作用をもつということも覚えておこう。以下は、有名な「エタノールの脱水によるエチレンの生成反応」である。

    \[
    C_{2}H_{5}OH → C_{2}H_{4} + H_{2}O
    \]

    ⑥工業的製法:接触法

    硫酸を工業的に作る際には接触法という方法を用いる。

    接触法について詳しいことは濃硫酸の製法である「接触法」の仕組みや反応式・触媒など完全まとめ!!を確認しよう。

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