【プロ講師解説】このページでは『反応熱(燃焼熱・融解熱・解離エネルギーなど)』について解説しています。解説は高校化学・化学基礎を扱うウェブメディア『化学のグルメ』を通じて6年間大学受験に携わるプロの化学講師が執筆します。

化学変化に関する熱

化学変化に関する熱のグループである。

燃焼熱

燃焼熱とは、物質1molが完全燃焼するときに発生する熱量である。

例)メタンCH4(気)の燃焼熱は891kJ/molである。

\[
CH_{4}(気)+2O_{2}(気)=CO_{2}(気)+2H_{2}O(液)+891kJ
\]

生成熱

生成熱とは、物質1molが成分元素の単体から生成するときに発生または吸収する熱量である。

例)アンモニアNH3(気)の生成熱は46kJ/molである。

\[
\frac{ 1 }{ 2 }N_{2}(気)+\frac{ 3 }{ 2 }H_{2}(気)=NH_{3}(気)+46kJ
\]

溶解熱

溶解熱とは、物質1molが多量の水に溶解するときに発生または吸収する熱量である。

例)塩化ナトリウムNaCl(固)の溶解熱は3.9kJ/molの吸熱である。

\[
NaCl(固)+aq=NaClaq-3.9kJ
\]

中和熱

中和熱とは、酸と塩基が中和して水が1mol生じるときに発生する熱量である。

例)HClaqとNaOHaqの中和熱は57kJ/molである。

\[
HClaq+NaOHaq=NaClaq+H_{2}O(液)+57kJ
\]

水和熱

水和熱とは、イオン(気)1molが水和するときに発生する熱量である。

例)Na+(気)の水和熱は400kJ/molである。

\[
Na^{+}(気)+aq=Na^{+}aq+400kJ
\]

例)Cl(気)の水和熱は367kJ/molである。

\[
Cl^{-}(気)+aq=Cl^{-}aq+367kJ
\]

状態変化に関する熱

状態変化に関する熱のグループである。

蒸発熱

蒸発熱とは、物質1molが蒸発するとき吸収する熱量である。

例)水H2Oの蒸発熱は44kJ/molである。

\[
H_{2}O(液)=H_{2}O(気)-44kJ
\]

融解熱

融解熱とは、物質1molが融解するとき吸収する熱量である。

例)H2Oの融解熱は6.0kJ/molである。

\[
H_{2}O(固)=H_{2}O(液)-6.0kJ
\]

昇華熱

昇華熱とは、物質1molが昇華するとき吸収する熱量である。

例)黒鉛Cの昇華熱は715kJ/molである。

\[
C(黒鉛)=C(気)-715kJ
\]

結合に関する熱

結合に関する熱のグループである。

結合エネルギー

結合エネルギーとは、分子内にある共有結合1molを切るときに必要な熱量(=エネルギー)である。

例)H-Hの結合エネルギーは436kJ/molである。

\[
H_{2}(気)=2H(気)-436kJ
\]

解離エネルギー

解離エネルギーとは、分子1molに存在する共有結合を全て切るときに必要な熱量(結合エネルギーの合計)である。

例)メタンCH4にあるC-Hの結合エネルギーは416kJ/molである。このとき、CH4の解離エネルギーは(CH4の中にはC-H結合が4個あるので)416×4=1664kJとなる。

\[
CH_{4}(気)=C(気)+4H(気)-1664kJ
\]

格子エネルギー

格子エネルギーとは、イオン結晶1molを構成するイオンをバラバラにして、気体状態のイオンにするのに必要な熱量である。

例)NaCl(固)の格子エネルギーは771kJである。

\[
NaCl(固)=Na^{+}+Cl^{-}-771kJ
\]

イオン化エネルギー

イオン化エネルギーとは、原子から1個の電子を取り去って1価の陽イオンにするために必要な熱量である。

例)Naのイオン化エネルギーは496kJ/molである。

\[
Na(気)=Na^{+}(気)+e^{-}-496kJ
\]

電子親和力

電子親和力とは、原子が電子を1個受け取って1価の陰イオンになるときに放出される熱量である。

例)Cl(気)の電子親和力は349kJ/molである。

\[
Cl(気)+e^{-}=Cl^{-}(気)+349kJ
\]

反応熱に関する演習問題

問1

【】に当てはまる用語を答えよ。

状態変化や化学反応に伴い出入りする熱を【1】という。
【問1】解答/解説:タップで表示
解答:【1】反応熱

※反応熱について詳しくは【一覧】反応熱(燃焼熱・融解熱・解離エネルギーなど)総まとめを参照

問2

【】に当てはまる用語を答えよ。

反応熱は【1】と【2】に比例するので、通常、温度は25℃、圧力1013hPaのときの熱量として表す。
【問2】解答/解説:タップで表示
解答:【1】温度【2】圧力(順不同)

※反応熱について詳しくは【一覧】反応熱(燃焼熱・融解熱・解離エネルギーなど)総まとめを参照

問3

【】に当てはまる用語を答えよ。

物質1molが完全燃焼するときに発生する熱量を【1】という。
【問3】解答/解説:タップで表示
解答:【1】燃焼熱

燃焼熱とは、物質1molが完全燃焼するときに発生する熱量である。

例)メタンCH4(気)の燃焼熱は891kJ/molである。

\[
CH_{4}(気)+2O_{2}(気)=CO_{2}(気)+2H_{2}O(液)+891kJ
\]

※燃焼熱について詳しくは【一覧】反応熱(燃焼熱・融解熱・解離エネルギーなど)総まとめを参照

問4

【】に当てはまる用語を答えよ。

物質1molが成分元素の単体から生成するときに発生または吸収する熱量を【1】という。
【問4】解答/解説:タップで表示
解答:【1】生成熱

生成熱とは、物質1molが成分元素の単体から生成するときに発生または吸収する熱量である。

例)アンモニアNH3(気)の生成熱は46kJ/molである。

\[
\frac{ 1 }{ 2 }N_{2}(気)+\frac{ 3 }{ 2 }H_{2}(気)=NH_{3}(気)+46kJ
\]

※生成熱について詳しくは【一覧】反応熱(燃焼熱・融解熱・解離エネルギーなど)総まとめを参照

問5

【】に当てはまる用語を答えよ。

物質1molが多量の水に溶解するときに発生または吸収する熱量を【1】という。
【問5】解答/解説:タップで表示
解答:【1】溶解熱

溶解熱とは、物質1molが多量の水に溶解するときに発生または吸収する熱量である。

例)塩化ナトリウムNaCl(固)の溶解熱は3.9kJ/molの吸熱である。

\[
NaCl(固)+aq=NaClaq-3.9kJ
\]

溶解熱について詳しくは【一覧】反応熱(燃焼熱・融解熱・解離エネルギーなど)総まとめを参照

問6

【】に当てはまる用語を答えよ。

酸と塩基が中和して水が1mol生じるときに発生する熱量を【1】という。
【問6】解答/解説:タップで表示
解答:【1】中和熱

中和熱とは、酸と塩基が中和して水が1mol生じるときに発生する熱量である。

例)HClaqとNaOHaqの中和熱は57kJ/molである。

\[
HClaq+NaOHaq=NaClaq+H_{2}O(液)+57kJ
\]

※中和熱について詳しくは【一覧】反応熱(燃焼熱・融解熱・解離エネルギーなど)総まとめを参照

問7

【】に当てはまる用語を答えよ。

イオン(気)1molが水和するときに発生する熱量を【1】という。
【問7】解答/解説:タップで表示
解答:【1】水和熱

水和熱とは、イオン(気)1molが水和するときに発生する熱量である。

例)Na+(気)の水和熱は400kJ/molである。

\[
Na^{+}(気)+aq=Na^{+}aq+400kJ
\]

例)Cl(気)の水和熱は367kJ/molである。

\[
Cl^{-}(気)+aq=Cl^{-}aq+367kJ
\]

※水和熱について詳しくは【一覧】反応熱(燃焼熱・融解熱・解離エネルギーなど)総まとめを参照

問8

【】に当てはまる用語を答えよ。

物質1molが蒸発するとき吸収する熱量を【1】という。
【問8】解答/解説:タップで表示
解答:【1】蒸発熱

蒸発熱とは、物質1molが蒸発するとき吸収する熱量である。

例)水H2Oの蒸発熱は44kJ/molである。

\[
H_{2}O(液)=H_{2}O(気)-44kJ
\]

※蒸発熱について詳しくは【一覧】反応熱(燃焼熱・融解熱・解離エネルギーなど)総まとめを参照

問9

【】に当てはまる用語を答えよ。

物質1molが融解するとき吸収する熱量を【1】という。
【問9】解答/解説:タップで表示
解答:【1】融解熱

融解熱とは、物質1molが融解するとき吸収する熱量である。

例)H2Oの融解熱は6.0kJ/molである。

\[
H_{2}O(固)=H_{2}O(液)-6.0kJ
\]

※融解熱について詳しくは【一覧】反応熱(燃焼熱・融解熱・解離エネルギーなど)総まとめを参照

問10

【】に当てはまる用語を答えよ。

物質1molが昇華するとき吸収する熱量を【1】という。
【問10】解答/解説:タップで表示
解答:【1】昇華熱

昇華熱とは、物質1molが昇華するとき吸収する熱量である。

例)黒鉛Cの昇華熱は715kJ/molである。

\[
C(黒鉛)=C(気)-715kJ
\]

※昇華熱について詳しくは【一覧】反応熱(燃焼熱・融解熱・解離エネルギーなど)総まとめを参照

問11

【】に当てはまる用語を答えよ。

分子内にある共有結合1molを切るときに必要な熱量(=エネルギー)を【1】という。
【問11】解答/解説:タップで表示
解答:【1】結合エネルギー

結合エネルギーとは、分子内にある共有結合1molを切るときに必要な熱量(=エネルギー)である。

例)H-Hの結合エネルギーは436kJ/molである。

\[
H_{2}(気)=2H(気)-436kJ
\]

※結合エネルギーについて詳しくは【一覧】反応熱(燃焼熱・融解熱・解離エネルギーなど)総まとめを参照

問12

【】に当てはまる用語を答えよ。

分子1molに存在する共有結合を全て切るときに必要な熱量(結合エネルギーの合計)を【1】という。
【問12】解答/解説:タップで表示
解答:【1】解離エネルギー

解離エネルギーとは、分子1molに存在する共有結合を全て切るときに必要な熱量(結合エネルギーの合計)である。

例)メタンCH4にあるC-Hの結合エネルギーは416kJ/molである。このとき、CH4の解離エネルギーは(CH4の中にはC-H結合が4個あるので)416×4=1664kJとなる。

\[
CH_{4}(気)=C(気)+4H(気)-1664kJ
\]

※解離エネルギーについて詳しくは【一覧】反応熱(燃焼熱・融解熱・解離エネルギーなど)総まとめを参照

問13

【】に当てはまる用語を答えよ。

イオン結晶1molを構成するイオンをバラバラにして、気体状態のイオンにするのに必要な熱量を【1】という。
【問13】解答/解説:タップで表示
解答:【1】格子エネルギー

格子エネルギーとは、イオン結晶1molを構成するイオンをバラバラにして、気体状態のイオンにするのに必要な熱量である。

例)NaCl(固)の格子エネルギーは771kJである。

\[
NaCl(固)=Na^{+}+Cl^{-}-771kJ
\]

※格子エネルギーについて詳しくは【一覧】反応熱(燃焼熱・融解熱・解離エネルギーなど)総まとめを参照

問14

【】に当てはまる用語を答えよ。

原子から1個の電子を取り去って1価の陽イオンにするために必要な熱量を【1】という。
【問14】解答/解説:タップで表示
解答:【1】イオン化エネルギー

イオン化エネルギーとは、原子から1個の電子を取り去って1価の陽イオンにするために必要な熱量である。

例)Naのイオン化エネルギーは496kJ/molである。

\[
Na(気)=Na^{+}(気)+e^{-}-496kJ
\]

※イオン化エネルギーについて詳しくは以下のページを参照

問15

【】に当てはまる用語を答えよ。

原子が電子を1コ個受け取って1価の陰イオンになるときに放出される熱量を【1】という。
【問15】解答/解説:タップで表示
解答:【1】電子親和力

電子親和力とは、原子が電子を1個受け取って1価の陰イオンになるときに放出される熱量である。

例)Cl(気)の電子親和力は349kJ/molである。

\[
Cl(気)+e^{-}=Cl^{-}(気)+349kJ
\]

※電子親和力について詳しくは以下のページを参照

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著者プロフィール

・化学のグルメ運営代表
・高校化学講師
・薬剤師
・デザイナー/イラストレーター

数百名の個別指導経験あり(過去生徒合格実績:東京大・京都大・東工大・東北大・筑波大・千葉大・早稲田大・慶應義塾大・東京理科大・上智大・明治大など)
2014年よりwebメディア『化学のグルメ』を運営
公式オンラインストアで販売中の理論化学ドリルシリーズ・有機化学ドリル等を執筆

著者紹介詳細