はじめに

酸化還元滴定の一種であるヨウ素滴定。学校や予備校の授業で扱われない、又は扱われたとしても軽く触れる程度のことが多いので、苦手な受験生が非常に多い。このページではそのヨウ素滴定について、ヨードメトリー・ヨージメトリーそれぞれの原理から入試頻出の計算問題の解法まで1から丁寧に解説していこうと思う。ぜひこの機会にヨウ素滴定をマスターして周りの受験生と差をつけよう!


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ヨードメトリー

ヨードメトリーの原理

ここに、還元剤であるヨウ化カリウムKIが入った容器があるとしよう。

この容器に、酸化剤である過酸化水素H2O2(←コイツの濃度を知りたい)を加える。

すると、酸化還元反応が起き、過酸化水素H2O2と反応したIが酸化されてI2となる。

ここに指示薬としてデンプンを加える。デンプンはI2と反応して青紫色となるため、この時点で容器内は青紫色となる。

最後に、還元剤であるチオ硫酸ナトリウムNa2S2O3を加えていく。

I2が還元されて再びIとなる。

I2が無くなったので、溶液の色は無色に戻る。

これがヨードメトリーの流れである。ヨードメトリーでは滴下したチオ硫酸ナトリウムNa2S2O3の量等を使って濃度未知の溶液(過酸化水素H2O2等)の濃度を求めていく。

それでは、例題を用いて実際に濃度を求める計算をしていこう。


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ヨードメトリーの計算問題の解き方

問題

硫酸酸性の1.0[mol/L]のヨウ化カリウム(KI)500[ml]に、濃度不明の過酸化水素(H2O2)200[ml]を加える。これに、指示薬としてデンプンを加えた後、1.0[mol/L]のチオ硫酸ナトリウムで滴定していった。すると、100[ml]加えたとき青紫色が消え、無色となった。この時の過酸化水素の濃度を求めなさい。

STEP1

ヨウ化カリウム(Iを含むもの)と濃度未知の物質の半反応式から1つの反応式を作る。

今回は、ヨウ化カリウムKIと濃度未知の過酸化水素の半反応式を使って、酸化還元反応式を作っていく。

STEP2

ヨウ素とすでに濃度の分かっている物質の半反応式から1つの反応式を作る。

STEP3

STEP1、STEP2で作成した式の係数比を利用し、一気に解く。

反応式の係数を見ると、①式よりH2OとI2は1:1で反応することがわかる。つまり、H2O2とNa2S2O3は1:2の関係ということになる。

ここで、問題文で与えられている数値を用いると、Na2S2O3のmolは次のように求めることができる。

\[
\mathrm{ \begin{align} Na_{2}S_{2}O_{3} &= 1.0(mol/L)×\frac{ 100 }{ 1000 }(L) \\
&=0.10(mol) \end{align} }
\]

従って…

\[
\mathrm{ H_{2}O_{2}:Na_{2}S_{2}O_{3}=1:2 \\
↔︎ x:0.10=1:2 \\
↔︎ x=0.050(mol) }
\]

問題文より、H2O2は200(mL)あったので、モル濃度は…

\[
\mathrm{ \frac{ 0.050(mol) }{ \frac{ 200 }{ 1000 }(L) }=0.25(mol/L) }
\]

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ヨージメトリー

ヨージメトリーの原理

ここに、酸化剤であるヨウ素I2が入った容器があるとする。

この容器に、還元剤である硫化水素H2S(←コイツの濃度が知りたい)を滴下する。

H2Sにより還元されたI2はIとなる。

全てのI2がIとなるわけではないので、溶液内にはI2とIが混在している。

ここに、指示薬としてデンプンを加える。デンプンはI2と反応して青紫色になるため、この時点で容器内は青紫色となる。

最後に、還元剤であるチオ硫酸ナトリウムNa2S2O3を加えていく。

残っていたI2がNa2S2O3により還元されIとなる。

I2が無くなったので、溶液の色は無色に戻る。

以上がヨージメトリーの実験の流れである。ヨージメトリーではチオ硫酸ナトリウムNa2S2O3の量等を使って、濃度未知の溶液(硫化水素H2S等)の濃度を求めていく。

それでは、例題を使って実際に濃度を求める計算をしていこう。


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ヨージメトリーの計算問題の解き方

問題

1.0[mol/L]のヨウ素液500[ml]に、濃度未知の硫化水素(H2S)を500[ml]を加えた。ここにデンプンを加えた後、2.0[mol/L]のチオ硫酸ナトリウムをたらして滴定した。すると、200[ml]加えたところで溶液が青紫色から無色へと変化した。このときの硫化水素(H2S)の濃度を求めよ。

STEP1

各物質について半反応式を書く

まずは、各物質の半反応式を書く。
今回使われているのは、I2とH2SとNa2S2O3の3つなので、それらの半反応式を書いていく。

\[
\mathrm{ I_{2} + 2e^{-} → 2I^{-} \\
H_{2}S → S + 2H^{+} + 2e^{-} \\
2S_{2}O_{3}^{2-} → S_{4}O_{6}^{2-} + 2e^{-} }
\]

STEP2

係数に注意しながら線分図を使って解く

今回の問題では、I2という1つの酸化剤をH2S、Na2S2O3という2つの還元剤と反応させている。

それぞれの物質の情報を線分図にすると次のようになる。

酸化剤の放出するeの合計と還元剤の放出するeの合計の[mol]が等しいことから次のような式を作る。

これを解いて…

\[
\mathrm{ x=0.60(mol/L) }
\]

この式について理解できなければ酸化還元滴定とは?原理・計算問題・指示薬・硫酸酸性にする理由などを参照しよう。


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関連:スタンダードな酸化還元滴定も。

ヨードメトリー・ヨージメトリーはややイレギュラーな酸化還元滴定。スタンダードな方が入試には出やすいで併せて学んでおこう。

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