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半反応式・酸化還元反応式とは

フッ素(F2)と硫化水素(H2S)の酸化還元反応は、次の式で表すことができる。

\[
\mathrm{ F_{2} + H_{2}S → S + 2HF }
\]

この反応において、H2SはF2にHを与えて還元させているので「還元剤」、反対にF2はH2SからHを奪い取って酸化させているので「酸化剤」だね。

このように、酸化剤と還元剤を用いて酸化還元反応を表した式を「酸化還元反応式」という。

酸化還元反応式は、酸化剤に関する(仮の)反応式と、還元剤に関する(仮の)反応式を組み合わせることによって作られている。

この、酸化還元反応式を作る際に必要な酸化剤・還元剤に関する仮の反応式のことを「半反応式」という。


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半反応式の作り方

半反応式は、作り方を覚えて自分で作成できるようにならなくてはいけない。苦手な人が非常に多いので、1から丁寧に解説していこうと思う。

これが半反応式を作る際の手順。どんな半反応式でもこの5STEPで書くことができるので必ず覚えるようにしよう。これ以降、例を使って半反応式を実際に作成していく。


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二クロム酸カリウム

STEP1

酸化剤(還元剤)が何から何になるのかを書く
\[
\mathrm{ Cr_{2}O_{7}^{ \,2-} → Cr^{3+} }
\]

ここは、暗記しておくべきところ。
(まだ覚えていなかったら「半反応式一覧」を確認してね!)

STEP2

両辺について、OとH以外の原子の数を合わせる
\[
\mathrm{ Cr_{2}O_{7}^{ \,2-} → 2Cr^{3+} }
\]

STEP3

両辺について、O原子の数を、H2Oを使って合わせる
\[
\mathrm{ Cr_{2}O_{7}^{ \,2-} → 2Cr^{3+} + 7H_{2}O }
\]

STEP4

両辺について、H原子の数を、H+を使って合わせる
\[
\mathrm{ Cr_{2}O_{7}^{ \,2-} + 14H^{+} → 2Cr^{3+} + 7H_{2}O }
\]

STEP5

両辺について、電荷を、電子(e)を使って合わせる
\[
\mathrm{ Cr_{2}O_{7}^{ \,2-} + 14H^{+} + 6e^{-} → 2Cr^{3+} + 7H_{2}O }
\]

シュウ酸ナトリウム

STEP1

酸化剤(還元剤)が何から何になるのかを書く
\[
\mathrm{ C_{2}O_{4}^{ \,2-} → CO_{2} }
\]

ここは、暗記しておくべきところ。
(まだ覚えていなかったら「半反応式一覧」を確認してね!)

STEP2

両辺について、OとH以外の原子の数を合わせる
\[
\mathrm{ C_{2}O_{4}^{ \,2-} → 2CO_{2} }
\]

STEP3

両辺について、O原子の数を、H2Oを使って合わせる
\[
\mathrm{ C_{2}O_{4}^{ \,2-} → 2CO_{2} }
\]

今回は、既に両辺のO原子の数が揃っているので特に何もしなくていい。

STEP4

両辺について、H原子の数を、H+を使って合わせる
\[
\mathrm{ C_{2}O_{4}^{ \,2-} → 2CO_{2} }
\]

今回は、反応式中にH原子が存在しないので何もしなくていい。

STEP5

両辺について、電荷を、電子(e)を使って合わせる
\[
\mathrm{ C_{2}O_{4}^{ \,2-} → 2CO_{2} + 2e^{-}}
\]

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酸化還元反応式の作り方

次は、酸化剤の半反応式と還元剤の半反応式を組み合わせてできる「酸化還元反応式」の作り方について説明していく。

酸化還元反応式の作成は、この3STEPに従って行う。

問題

硫酸酸性の二クロム酸カリウム水溶液にシュウ酸ナトリウム水溶液を加えたときの反応式を書け。

STEP1

2つの式の電子(e)の数が揃うように調節する

今回は、シュウ酸ナトリウムの式に3をかけると2つの式の電子の数が揃う。

STEP2

2つの式を足し合わせる

次に、2つの式を足し合わせよう。両辺にある6eは打ち消される。

STEP3

反応物であるイオンの対のイオンを加えて、イオンを消す

この反応は、二クロム酸カリウム水溶液とシュウ酸ナトリウム水溶液の反応なので、この2つが左側(スタートの物質=反応物)にいなければならない。従って、左辺に2K+と6Na+を加える。(2K+はCr2O72-とくっついてK2Cr2O2に、6Na+は3C2O42-とくっついて3Na2C2O4になる。)

しかし、勝手に左に加えて終わりにしてしまったら式は成り立たなくなってしまう。そこで、右辺にも2K+と6Na+を加える。その結果以下のようになる。

※今回は硫酸酸性の水溶液なので、H+の出所はH2SO4となる。従って、式中のH+にはSO42-をくっつける。紫で囲んだところはまとめてK2SO4と3Na2SO4にしよう。


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問題演習

問題

次の物質の半反応式を書け。

(1) 塩素
(2) 濃硝酸
(3) 過マンガン酸カリウム
(4) 硫化水素
(5) シュウ酸

次の物質の反応式を書きなさい。

(6) 塩素と硫化水素
(7) 濃硝酸とシュウ酸

解答

(1) Cl2 + 2e → 2Cl
(2) HNO3 → NO2
(3) MnO4 + 8H+ + 5e → Mn2+ +4H2O
(4) H2S → S + 2H+ +2e
(5) H2C2O4 → 2CO2 + 2H+ + 2e
(6) Cl2 + H2S → 2HCl + S
(7) 2HNO3 + H2C2O4 → 2NO2 + 2CO2 + 2H2O

解説

(1枚目:半反応式の作り方、2枚目:酸化還元反応式の作り方)

これらの手順に従っていく。

(1)

1.Cl2 → Cl
塩素の半反応式では、Cl2からClになる。
(これは覚えること。「半反応式一覧」をみてね。)
2.Cl2 → 2Cl
Cの数を合わせる。
3.Cl2 → 2Cl
左右で、O原子の数をH2Oを使って合わせる。
今回はOがないので関係ない。
4.Cl2 → 2Cl
左右で、H原子の数をH+を使って合わせる。
今回はHがないので関係ない。5.Cl2 + 2e → 2Cl
左右で、電荷を電子(e)を使って合わせる。

(2)

1.HNO3 → NO2
濃硝酸の半反応式では、HNO3からNO2になる。
(これは覚えること。「半反応式一覧」をみてね。)
2.HNO3 → NO2
Nの数はそろっているのでここでやることはない
3.HNO3 → NO2 + H2O
左右で、O原子の数をH2Oを使って合わせる。
4.HNO3 + H+ → NO2 + H2O
左右で、H原子の数をH+を使って合わせる。
5.HNO3 + H+ + e → NO2 + H2O
左右で、電荷を電子(e)を使って合わせる。

(3)

1.MnO4 → Mn2+
過マンガン酸カリウムの半反応式では、MnO4からMn2+になる。
(これは覚えること。「半反応式一覧」をみてね。)
2.MnO4 → Mn2+
Mnの数はそろっているのでここでやることはない
3.MnO4 → Mn2+ + 4H2O
左右で、O原子の数をH2Oを使って合わせる。
4.MnO4 + 8H+ → Mn2+ + 4H2O
左右で、H原子の数をH+を使って合わせる。
5.MnO4 + 8H+ + 5e → Mn2+ + 4H2O
左右で、電荷を電子(e)を使って合わせる。

(4)

1.H2S → S
硫化水素の半反応式では、H2SからSになる。
(これは覚えること。「半反応式一覧」をみてね。)
2.H2S → S
Sの数はそろっているのでここでやることはない
3.H2S → S
左右で、O原子の数をH2Oを使って合わせる。
ただし今回はOがないのでここでやることはない。
4.H2S → S + 2H+
左右で、H原子の数をH+を使って合わせる。
5.H2S → S + 2H+ + 2e
左右で、電荷を電子(e)を使って合わせる。

(5)

1.H2C2O4 → CO2
シュウ酸の半反応式では、H2C2O4からCO2になる。
(これは覚えること。「半反応式一覧」をみてね。)
2.H2C2O4 → 2CO2 
Cの数を合わせる。
3.H2C2O4 → 2CO2
左右で、O原子の数をH2Oを使って合わせる。
ただし今回はOがないのでここでやることはない。
4.H2C2O4 → 2CO2 + 2H+
左右で、H原子の数をH+を使って合わせる。
5.H2C2O4 → 2CO2 + 2H+ + 2e
左右で、電荷を電子(e)を使って合わせる。

(6)

(1)と(4)でつくった半反応式を使って、1つの反応式を作成していく。

1.

2つの式の電子(e-)の数がそろうようにかけ算で調節する。
しかしここでは最初からそろっているので何もしない。

2.

2つの式を足し合わせる。
ここで、電子は左右に同じ数あるので消す。

3.

反応物(左側のヤツ)であるイオンの対のイオンを加えてイオンを消す。
しかし、ここでは反応物にイオンは書かれていないので何もしない。

(7)

(2)と(5)でつくった半反応式を使って、1つの反応式を作成していく。

1.

2つの式の電子(e-)の数がそろうようにかけ算で調節する。
この場合は上の式を2倍すると電子の数がそろうね。

2.

2つの式を足し合わせる。
そしたら、電子と水素イオンが両辺に同じ数ずつ出てくるので消す。

3.

反応物(左側のヤツ)であるイオンの対のイオンを加えてイオンを消す。
しかし、ここでは反応物にイオンは書かれていないので何もしない。


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