【プロ講師解説】このページでは『半反応式・酸化還元反応式の作り方』について解説しています。解説は高校化学・化学基礎を扱うウェブメディア『化学のグルメ』を通じて6年間大学受験に携わるプロの化学講師が執筆します。

半反応式・酸化還元反応式とは

半反応式+半反応式=酸化還元反応式
Point!

フッ素F2と硫化水素H2Sの酸化還元反応は、次の式で表すことができる。

\[
\mathrm{ F_{2} + H_{2}S → S + 2HF }
\]

この反応において、H2SはF2にHを与えて還元させているので還元剤、反対にF2はH2SからHを奪い取って酸化させているので酸化剤である。(酸化剤・還元剤については酸化剤・還元剤とは?それぞれの定義から違い、例、一覧など大公開!を参照)

このように、酸化剤と還元剤を用いて酸化還元反応を表した式を酸化還元反応式という。

酸化還元反応式は、酸化剤に関する(仮の)反応式と、還元剤に関する(仮の)反応式を組み合わせることによって作られている。

この、酸化還元反応式を作る際に必要な酸化剤・還元剤に関する仮の反応式のことを「半反応式」という。

半反応式の作り方

STEP1 酸化剤(還元剤)が何から何になるのかを書く
STEP2 両辺について、OとH以外の原子の数を合わせる
STEP3 両辺について、O原子の数をH2Oを用いて合わせる
STEP4 両辺について、H原子の数をH+を用いて合わせる
STEP5 両辺について、電荷をeを用いて合わせる
Point!

これが半反応式を作る際の手順。どんな半反応式でもこの5STEPで書くことができるので必ず覚えるようにしよう。これ以降、例を使って半反応式を実際に作成していく。

二クロム酸カリウム

STEP1

酸化剤(還元剤)が何から何になるのかを書く
\[
\mathrm{ Cr_{2}O_{7}^{ \,2-} → Cr^{3+} }
\]

ここは、暗記しておくべきところ。
(まだ覚えていなかったら半反応式一覧を確認)

STEP2

両辺について、OとH以外の原子の数を合わせる
\[
\mathrm{ Cr_{2}O_{7}^{ \,2-} → 2Cr^{3+} }
\]

STEP3

両辺について、O原子の数をH2Oを用いて合わせる
\[
\mathrm{ Cr_{2}O_{7}^{ \,2-} → 2Cr^{3+} + 7H_{2}O }
\]

STEP4

両辺について、H原子の数をH+を用いて合わせる
\[
\mathrm{ Cr_{2}O_{7}^{ \,2-} + 14H^{+} → 2Cr^{3+} + 7H_{2}O }
\]

STEP5

両辺について、電荷をeを用いて合わせる
\[
\mathrm{ Cr_{2}O_{7}^{ \,2-} + 14H^{+} + 6e^{-} → 2Cr^{3+} + 7H_{2}O }
\]

シュウ酸ナトリウム

STEP1

酸化剤(還元剤)が何から何になるのかを書く
\[
\mathrm{ C_{2}O_{4}^{ \,2-} → CO_{2} }
\]

ここは、暗記しておくべきところ。
(まだ覚えていなかったら半反応式一覧を確認)

STEP2

両辺について、OとH以外の原子の数を合わせる
\[
\mathrm{ C_{2}O_{4}^{ \,2-} → 2CO_{2} }
\]

STEP3

両辺について、O原子の数をH2Oを用いて合わせる
\[
\mathrm{ C_{2}O_{4}^{ \,2-} → 2CO_{2} }
\]

今回は、既に両辺のO原子の数が揃っているので特に何もしなくていい。

STEP4

両辺について、H原子の数をH+を用いて合わせる
\[
\mathrm{ C_{2}O_{4}^{ \,2-} → 2CO_{2} }
\]

今回は、反応式中にH原子が存在しないので何もしなくていい。

STEP5

両辺について、電荷をeを用いて合わせる
\[
\mathrm{ C_{2}O_{4}^{ \,2-} → 2CO_{2} + 2e^{-}}
\]

酸化還元反応式の作り方

次は、酸化剤の半反応式と還元剤の半反応式を組み合わせてできる「酸化還元反応式」の作り方について説明していく。

STEP1 2つの半反応式の電子(e)の数が揃うように調節する
STEP2 2つの式を足し合わせる
STEP3 反応物であるイオンの対となるイオンを加えて、式からイオンを消す(イオン式から通常の反応式へ)
Point!

酸化還元反応式の作成は、この3STEPに従って行う。

問題

硫酸酸性の二クロム酸カリウム水溶液にシュウ酸ナトリウム水溶液を加えたときの反応式を書け。

STEP1

2つの半反応式の電子(e)の数が揃うように調節する

今回は、シュウ酸ナトリウムの式に3をかけると2つの式の電子の数が揃う。

STEP2

2つの式を足し合わせる

次に、2つの式を足し合わせよう。両辺にある6eは打ち消される。

STEP3

反応物であるイオンの対となるイオンを加えて、式からイオンを消す(イオン式から通常の反応式へ)

この反応は、二クロム酸カリウム水溶液とシュウ酸ナトリウム水溶液の反応なので、この2つが左側(スタートの物質=反応物)にいなければならない。したがって、左辺に2K+と6Na+を加える。(2K+はCr2O72-とくっついてK2Cr2O7に、6Na+は3C2O42-とくっついて3Na2C2O4になる。)

しかし、勝手に左に加えて終わりにしてしまったら式は成り立たなくなってしまう。そこで、右辺にも2K+と6Na+を加える。その結果以下のようになる。

※今回は硫酸酸性の水溶液なので、H+の出所はH2SO4となる。したがって、式中のH+にはSO42-をくっつける。紫で囲んだところはまとめてK2SO4と3Na2SO4にしよう。

問題演習(半反応式・酸化還元反応式の作り方)

問1

塩素の半反応式を書け。
【問1】解答/解説:タップで表示
解答:Cl2 + 2e → 2Cl
STEP1 酸化剤(還元剤)が何から何になるのかを書く
STEP2 両辺について、OとH以外の原子の数を合わせる
STEP3 両辺について、O原子の数をH2Oを用いて合わせる
STEP4 両辺について、H原子の数をH+を用いて合わせる
STEP5 両辺について、電荷をeを用いて合わせる
Point!

STEP1

酸化剤(還元剤)が何から何になるのかを書く
\[
Cl_{2} → Cl^{-}
\]

ここは、暗記しておくべきところ。
(まだ覚えていなかったら半反応式一覧を確認)

STEP2

両辺について、OとH以外の原子の数を合わせる
\[
Cl_{2} → 2Cl^{-}
\]

STEP3

両辺について、O原子の数をH2Oを用いて合わせる
\[
Cl_{2} → 2Cl^{-}
\]

STEP4

両辺について、H原子の数をH+を用いて合わせる
\[
Cl_{2} → 2Cl^{-}
\]

STEP5

両辺について、電荷をeを用いて合わせる
\[
Cl_{2} + 2e^{-} → 2Cl^{-}
\]

問2

濃硝酸の半反応式を書け。
【問2】解答/解説:タップで表示
解答:HNO3 + H+ + e → NO2 + H2O
STEP1 酸化剤(還元剤)が何から何になるのかを書く
STEP2 両辺について、OとH以外の原子の数を合わせる
STEP3 両辺について、O原子の数をH2Oを用いて合わせる
STEP4 両辺について、H原子の数をH+を用いて合わせる
STEP5 両辺について、電荷をeを用いて合わせる
Point!

STEP1

酸化剤(還元剤)が何から何になるのかを書く
\[
HNO_{3} → NO_{2}
\]

ここは、暗記しておくべきところ。
(まだ覚えていなかったら半反応式一覧を確認)

STEP2

両辺について、OとH以外の原子の数を合わせる
\[
HNO_{3} → NO_{2}
\]

STEP3

両辺について、O原子の数をH2Oを用いて合わせる
\[
HNO_{3} → NO_{2} + H_{2}O
\]

STEP4

両辺について、H原子の数をH+を用いて合わせる
\[
HNO_{3} + H^{+} → NO_{2} + H_{2}O
\]

STEP5

両辺について、電荷をeを用いて合わせる
\[
HNO_{3} + H^{+} + e^{-} → NO_{2} + H_{2}O
\]

問3

過マンガン酸カリウムの半反応式を書け。
【問3】解答/解説:タップで表示
解答:MnO4 + 8H+ + 5e → Mn2+ + 4H2O
STEP1 酸化剤(還元剤)が何から何になるのかを書く
STEP2 両辺について、OとH以外の原子の数を合わせる
STEP3 両辺について、O原子の数をH2Oを用いて合わせる
STEP4 両辺について、H原子の数をH+を用いて合わせる
STEP5 両辺について、電荷をeを用いて合わせる
Point!

STEP1

酸化剤(還元剤)が何から何になるのかを書く
\[
MnO_{4}^{-} → Mn^{2+}
\]

ここは、暗記しておくべきところ。
(まだ覚えていなかったら半反応式一覧を確認)

STEP2

両辺について、OとH以外の原子の数を合わせる
\[
MnO_{4}^{-} → Mn^{2+}
\]

STEP3

両辺について、O原子の数をH2Oを用いて合わせる
\[
MnO_{4}^{-} → Mn^{2+} + 4H_{2}O
\]

STEP4

両辺について、H原子の数をH+を用いて合わせる
\[
MnO_{4}^{-} + 8H^{+} → Mn^{2+} + 4H_{2}O
\]

STEP5

両辺について、電荷をeを用いて合わせる
\[
MnO_{4}^{-} + 8H^{+} + 5e^{-} → Mn^{2+} + 4H_{2}O
\]

問4

硫化水素の半反応式を書け。
【問4】解答/解説:タップで表示
解答:H2S → S + 2H+ + 2e
STEP1 酸化剤(還元剤)が何から何になるのかを書く
STEP2 両辺について、OとH以外の原子の数を合わせる
STEP3 両辺について、O原子の数をH2Oを用いて合わせる
STEP4 両辺について、H原子の数をH+を用いて合わせる
STEP5 両辺について、電荷をeを用いて合わせる
Point!

STEP1

酸化剤(還元剤)が何から何になるのかを書く
\[
H_{2}S → S
\]

ここは、暗記しておくべきところ。
(まだ覚えていなかったら半反応式一覧を確認)

STEP2

両辺について、OとH以外の原子の数を合わせる
\[
H_{2}S → S
\]

STEP3

両辺について、O原子の数をH2Oを用いて合わせる
\[
H_{2}S → S
\]

STEP4

両辺について、H原子の数をH+を用いて合わせる
\[
H_{2}S → S + 2H^{+}
\]

STEP5

両辺について、電荷をeを用いて合わせる
\[
H_{2}S → S + 2H^{+} + 2e^{-}
\]

問5

シュウ酸の半反応式を書け。
【問5】解答/解説:タップで表示
解答:H2C2O4 → 2CO2 + 2H+ + 2e
STEP1 酸化剤(還元剤)が何から何になるのかを書く
STEP2 両辺について、OとH以外の原子の数を合わせる
STEP3 両辺について、O原子の数をH2Oを用いて合わせる
STEP4 両辺について、H原子の数をH+を用いて合わせる
STEP5 両辺について、電荷をeを用いて合わせる
Point!

STEP1

酸化剤(還元剤)が何から何になるのかを書く
\[
H_{2}C_{2}O_{4} → CO_{2}
\]

ここは、暗記しておくべきところ。
(まだ覚えていなかったら半反応式一覧を確認)

STEP2

両辺について、OとH以外の原子の数を合わせる
\[
H_{2}C_{2}O_{4} → 2CO_{2}
\]

STEP3

両辺について、O原子の数をH2Oを用いて合わせる
\[
H_{2}C_{2}O_{4} → 2CO_{2}
\]

STEP4

両辺について、H原子の数をH+を用いて合わせる
\[
H_{2}C_{2}O_{4} → 2CO_{2} + 2H^{+}
\]

STEP5

両辺について、電荷をeを用いて合わせる
\[
H_{2}C_{2}O_{4} → 2CO_{2} + 2H^{+} + 2e^{-}
\]

問6

塩素と硫化水素の酸化還元反応式を書け。
【問6】解答/解説:タップで表示
解答:Cl2 + H2S → 2HCl + S
STEP1 2つの半反応式の電子(e)の数が揃うように調節する
STEP2 2つの式を足し合わせる
STEP3 反応物であるイオンの対となるイオンを加えて、式からイオンを消す(イオン式から通常の反応式へ)
Point!

STEP1

2つの半反応式の電子(e)の数が揃うように調節する
\[
Cl_{2}+2e^{-}→2Cl^{-}\\
H_{2}S→S+2H^{+}+2e^{-}
\]

2つの式の電子(e)の数がそろうようにかけ算で調節する。
しかしここでは最初からそろっているので何もしない。

STEP2

2つの式を足し合わせる
\[
\begin{array}{rr}
& Cl_{2}+2e^{-}→2Cl^{-}\\
+\big{)}&H_{2}S→S+2H^{+}+2e^{-}\\
\hline
&Cl_{2}+H_{2}S+\bcancel{2e^{-}} →2HCl+S+\bcancel{2e^{-}}
\end{array}
\]

2つの式を足し合わせる。
ここで、電子は左右に同じ数あるので消す。

STEP3

反応物であるイオンの対となるイオンを加えて、式からイオンを消す(イオン式から通常の反応式へ)
\[
Cl_{2} + H_{2}S → 2HCl + S
\]

反応物(左側のヤツ)であるイオンの対のイオンを加えてイオンを消す。
しかし、ここでは反応物にイオンは書かれていないので何もしない。

問7

濃硝酸とシュウ酸の酸化還元反応式を書け。
【問7】解答/解説:タップで表示
解答:2HNO3 + H2C2O4 → 2NO2 + 2CO2 + 2H2O
STEP1 2つの半反応式の電子(e)の数が揃うように調節する
STEP2 2つの式を足し合わせる
STEP3 反応物であるイオンの対となるイオンを加えて、式からイオンを消す(イオン式から通常の反応式へ)
Point!

STEP1

2つの半反応式の電子(e)の数が揃うように調節する
\[
HNO_{3} + H^{+} + e^{-} → NO_{2} + H_{2}O ×2\\
H_{2}C_{2}O_{4} → 2CO_{2} + 2H^{+} + 2e^{-}
\]

2つの式の電子(e)の数がそろうようにかけ算で調節する。
しかしここでは最初からそろっているので何もしない。

STEP2

2つの式を足し合わせる
\[
\begin{array}{rr}
& HNO_{3} + H^{+} + e^{-} → NO_{2} + H_{2}O ×2\\
+\big{)}&H_{2}C_{2}O_{4} → 2CO_{2} + 2H^{+} + 2e^{-}\\
\hline
&2HNO_{3}+\bcancel{2H^{+}}+H_{2}C_{2}O_{4}+\bcancel{2e^{-}} →2NO_{2}+2CO_{2}+2H_{2}O+\bcancel{2H^{+}}+\bcancel{2e^{-}}
\end{array}
\]

2つの式を足し合わせる。
ここで、電子は左右に同じ数あるので消す。

STEP3

反応物であるイオンの対となるイオンを加えて、式からイオンを消す(イオン式から通常の反応式へ)
\[
2HNO_{3}+H_{2}C_{2}O_{4}→2NO_{2}+2CO_{2}+2H_{2}O
\]

反応物(左側のヤツ)であるイオンの対のイオンを加えてイオンを消す。
しかし、ここでは反応物にイオンは書かれていないので何もしない。

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著者プロフィール

・化学のグルメ運営代表
・高校化学講師
・薬剤師
・デザイナー/イラストレーター

数百名の個別指導経験あり(過去生徒合格実績:東京大・京都大・東工大・東北大・筑波大・千葉大・早稲田大・慶應義塾大・東京理科大・上智大・明治大など)
2014年よりwebメディア『化学のグルメ』を運営
公式オンラインストアで販売中の理論化学ドリルシリーズ・有機化学ドリル等を執筆

著者紹介詳細