【プロ講師解説】このページでは『圧平衡定数(公式の導出や計算問題の解き方など)』について解説しています。解説は高校化学・化学基礎を扱うウェブメディア『化学のグルメ』を通じて6年間大学受験に携わるプロの化学講師が執筆します。
圧平衡定数
気相での化学平衡は、気体の濃度で表した平衡定数以外に、気体の分圧で表した平衡定数を用いることがある。
\[
2CO(気)+O_{2}(気)⇄2CO_{2}(気)
\]
2CO(気)+O_{2}(気)⇄2CO_{2}(気)
\]
【化学平衡】平衡定数やmol数の変化、グラフなどでやったように、この反応の平衡定数Kを表すと…
\[
K=\frac{ [CO_{2}]^{2} }{ [CO]^{2}[O_{2}] }・・・①
\]
K=\frac{ [CO_{2}]^{2} }{ [CO]^{2}[O_{2}] }・・・①
\]
気体の濃度(mol/L)は、単位体積あたりの物質量(mol)で表されるので、次のようになる。
\[
[CO]=\frac{ n_{CO} }{ V }\\
[O_{2}]=\frac{ n_{O_{2}} }{ V }\\
[CO_{2}]=\frac{ n_{CO_{2}} }{ V }
\]
[CO]=\frac{ n_{CO} }{ V }\\
[O_{2}]=\frac{ n_{O_{2}} }{ V }\\
[CO_{2}]=\frac{ n_{CO_{2}} }{ V }
\]
ここで、これらの気体を理想気体とみなし、気体の状態方程式PV=nRTを適応すると…
\[
[CO]=\frac{ n_{CO} }{ V }=\frac{ P_{CO} }{ RT }
\]
[CO]=\frac{ n_{CO} }{ V }=\frac{ P_{CO} }{ RT }
\]
このようになり、各気体のモル濃度は分圧を用いて表すことができるということがわかる。
これを①式へ適応すると、次のようになる。
\[
\begin{align}
K&=\frac{ (\frac{ P_{CO_{2}} }{ RT })^{2} }{ (\frac{ P_{CO} }{ RT })^{2}×(\frac{ P_{O_{2}} }{ RT }) }\\
&=\frac{ (P_{CO_{2}})^{2} }{ (P_{CO})^{2}×(P_{O_{2}}) }×RT
\end{align}
\]
\begin{align}
K&=\frac{ (\frac{ P_{CO_{2}} }{ RT })^{2} }{ (\frac{ P_{CO} }{ RT })^{2}×(\frac{ P_{O_{2}} }{ RT }) }\\
&=\frac{ (P_{CO_{2}})^{2} }{ (P_{CO})^{2}×(P_{O_{2}}) }×RT
\end{align}
\]
ここで、Rは気体定数なので一定、また温度Tが一定のとき平衡定数Kは一定なので…
\[
\frac{ (P_{CO_{2}})^{2} }{ (P_{CO})^{2}×(P_{O_{2}}) }=\underbrace{ \frac{ K }{ RT } }
_{ \text{ 一定 }}
\]
\frac{ (P_{CO_{2}})^{2} }{ (P_{CO})^{2}×(P_{O_{2}}) }=\underbrace{ \frac{ K }{ RT } }
_{ \text{ 一定 }}
\]
ここで、K/RTをKpとおくと..
\[
K_{p}=\frac{ (P_{CO_{2}})^{2} }{ (P_{CO})^{2}×(P_{O_{2}}) }
\]
K_{p}=\frac{ (P_{CO_{2}})^{2} }{ (P_{CO})^{2}×(P_{O_{2}}) }
\]
Kpはモル濃度の代わりに、平衡時の気体の分圧を用いた平衡定数であり、圧平衡定数と呼ばれる。
問題演習
問題
ピストンの付いた容器に四酸化二窒素N2O4n(mol)を入れ、全圧Pのもと一定温度で十分に放置すると、次の平衡状態になった。
\[
N_{2}O_{4}(気)⇄2NO_{2}(気)・・・①
\] N2O4の解離度をα(0≦α≦1)とし、①式の圧平衡定数Kpを文字式で表せ。
\[
N_{2}O_{4}(気)⇄2NO_{2}(気)・・・①
\] N2O4の解離度をα(0≦α≦1)とし、①式の圧平衡定数Kpを文字式で表せ。
今回求める圧平衡定数Kpは次のように表すことができる。
\[
K_{p}=\frac{ (P_{NO_{2}})^{2} }{ P_{N_{2}O_{4}} }
\]
K_{p}=\frac{ (P_{NO_{2}})^{2} }{ P_{N_{2}O_{4}} }
\]
全圧Pが与えられているので、①式での各成分のモル分率を求め、Pにかけると分圧を求めることができる。
ここで、平衡時の全モル数がn(1-α)+2nα=n(1+α)molであることを考慮すると、平衡時の各気体の分圧は以下のようになる。
\[
P_{N_{2}O_{4}}=P×\underbrace{ \frac{ n(1-α) }{ n(1+α) } }
_{ N_{2}O_{4}のモル分率 }=P×\frac{ 1-α }{ 1+α }\\
P_{NO_{2}}=P×\underbrace{ \frac{ 2nα }{ n(1+α) } }
_{ NO_{2}のモル分率 }=P×\frac{ 2α }{ 1+α }
\]
P_{N_{2}O_{4}}=P×\underbrace{ \frac{ n(1-α) }{ n(1+α) } }
_{ N_{2}O_{4}のモル分率 }=P×\frac{ 1-α }{ 1+α }\\
P_{NO_{2}}=P×\underbrace{ \frac{ 2nα }{ n(1+α) } }
_{ NO_{2}のモル分率 }=P×\frac{ 2α }{ 1+α }
\]
よって、圧平衡定数Kpは…
\[
\begin{align}
K_{p}&=\frac{ (P_{NO_{2}})^{2} }{ P_{N_{2}O_{4}} }\\
&=\frac{ (P・\frac{ 2α }{ 1+α })^{2} }{ P・\frac{ 1-α }{ 1+α } }\\
&=P・\frac{ 4α^{2} }{ (1+α)(1-α) }\\
&=P・\frac{ 4α^{2} }{ 1-α^{2} }
\end{align}
\]
\begin{align}
K_{p}&=\frac{ (P_{NO_{2}})^{2} }{ P_{N_{2}O_{4}} }\\
&=\frac{ (P・\frac{ 2α }{ 1+α })^{2} }{ P・\frac{ 1-α }{ 1+α } }\\
&=P・\frac{ 4α^{2} }{ (1+α)(1-α) }\\
&=P・\frac{ 4α^{2} }{ 1-α^{2} }
\end{align}
\]
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著者プロフィール
・化学のグルメ運営代表
・高校化学講師
・薬剤師
・デザイナー/イラストレーター
数百名の個別指導経験あり(過去生徒合格実績:東京大・京都大・東工大・東北大・筑波大・千葉大・早稲田大・慶應義塾大・東京理科大・上智大・明治大など)
2014年よりwebメディア『化学のグルメ』を運営
公式オンラインストアで販売中の理論化学ドリルシリーズ・有機化学ドリル等を執筆
著者紹介詳細
・化学のグルメ運営代表
・高校化学講師
・薬剤師
・デザイナー/イラストレーター
数百名の個別指導経験あり(過去生徒合格実績:東京大・京都大・東工大・東北大・筑波大・千葉大・早稲田大・慶應義塾大・東京理科大・上智大・明治大など)
2014年よりwebメディア『化学のグルメ』を運営
公式オンラインストアで販売中の理論化学ドリルシリーズ・有機化学ドリル等を執筆
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