【プロ講師解説】このページでは『中和と中性の違い(pH7が中和点とは限らない理由など)』について解説しています。解説は高校化学・化学基礎を扱うウェブメディア『化学のグルメ』を通じて6年間大学受験に携わるプロの化学講師が執筆します。

中性とは

pH=7
Point!

中性とはpHが”ちょうど7”の状態である。
ちなみに、pHが7より小さい場合は酸性、7より大きい場合は塩基性という。

中和とは

酸と塩基の打ち消し合い
Point!

中和とは酸と塩基がお互いの性質を打ち消しあうことである。

中和が起こった結果、塩と水が生じる。

中和と中性の違い

中和と中性の違いは「中性はpHが7、中和はpHが7とは限らない」という点である。

中和反応の結果生じる「塩」には水に溶けて酸性や塩基性を示すものが存在する。

例えば、酢酸ナトリウムCH3COONaと水H2Oを例に挙げると…

\[
CH_{3}COONa + H_{2}O ⇄ CH_{3}COOH + NaOH
\]

CH3COONa(塩)とNaOH(強塩基)は電離度が大きいため(ほぼ)完全に電離するが、H2OとCH3COOH(弱酸)は電離度が小さく(ほぼ)電離しない。したがって、次のように考えることができる。

\[
CH_{3}COO^{-} + \cancel{Na^{+}} + H_{2}O ⇄ CH_{3}COOH + \cancel{Na^{+}} + OH^{-} \\
↔︎ CH_{3}COO^{-} + H_{2}O ⇄ CH_{3}COOH + \underbrace{ OH^{-} }
_{ \text{ 塩基性 } }
\]

Na+は両辺に存在するので消すことができる。また、OHが存在するため結果的に水溶液の液性は塩基性となる。

このように、中和で生じた塩が最終的に水に溶けて(中性ではなく)酸性や塩基性を示す場合があるため、中和したからといって必ずしもpH=7(中性)にはならない。

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著者プロフィール

・化学のグルメ運営代表
・高校化学講師
・薬剤師
・デザイナー/イラストレーター

数百名の個別指導経験あり(過去生徒合格実績:東京大・京都大・東工大・東北大・筑波大・千葉大・早稲田大・慶應義塾大・東京理科大・上智大・明治大など)
2014年よりwebメディア『化学のグルメ』を運営
公式オンラインストアで販売中の理論化学ドリルシリーズ・有機化学ドリル等を執筆

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