ボルタ電池の仕組み

ボルタ電池の仕組みについて、「電池のキソ」で紹介した3STEPで説明していく。
STEP1
まずは、イオン化傾向の大きい金属板が溶ける。
CuとZnではZnの方がイオン化傾向が高い。従って、Zn板が溶け出す。
また、ZnがZn2+という陽イオンになったので、eーが発生していることも確認しておこう。
STEP2
次に、STEP1で発生したeーがCu板側に伝わる。
この時、電子が通過することで(電流が発生して)豆電球が点灯していることに注目しよう。
STEP3
Cu板に流れてきた電子は、希H2SO4中に存在しているH+とくっつく。(=気体のH2発生)
ボルタ電池の問題点

ボルタ電池は、正極で気体の水素(H2)を発生する。
ボルタ電池を使い続けるとこのH2がCu板の周りに溜まってきてしまうんだ。
溜まったH2は、水溶液中のH+が負極からやってきたeーを受け取るのを妨害してしまう。
その結果、電子の受け渡しに不具合が生じ、電圧が急激に低下する「分極」という現象が起こる。
このような問題点があったため、ボルタ電池は実用化には至らなかった。
問題演習
問題
(2)放電してすぐに電圧が低下することをなんというか。
(3)(2)の語を用いてボルタ電池の問題点を指摘しなさい。
解答
負極:Zn→Zn2++2e–
(2)分極
(3)例:発生したH2が気泡としてCu板の表面にくっついてしまい、それが邪魔で新たにきたe–をH+が受け取りづらくなって分極を起こしてしまうから。
解説
- (1)
-
正極:2H++2e–→H2
負極:Zn→Zn2++2e–まずは、イオン化傾向の高いZn板が溶け出す。
これが負極の反応式だね。
次に、Cu板へと伝わってきたe–を水溶液中のH+が受け取って水素が発生する。 - (2)
-
これは覚えてるかどうかだね。
放電後にすぐ電圧が下がってしまう現象を分極という。 - (3)
-
これも、解答に書いてあるとおりだ。
関連:個性豊かな電池たち。
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