【プロ講師解説】このページでは『水和・水和物(原理や仕組みなど)』について解説しています。解説は高校化学・化学基礎を扱うウェブメディア『化学のグルメ』を通じて6年間大学受験に携わるプロの化学講師が執筆します。
水和の原理
水和とは、水分子が溶質の分子やイオンと強く引き合うことである。
例)塩化ナトリウムNaCl
水和しているイオンを水和イオン、水和している分子を水和分子という。また、陽イオンでは水和陽イオン、陰イオンでは水和陰イオンと呼ばれることもある。
水和は、主に電気陰性度(極性)が原因となって起こる現象である。
水分子は極性分子(分子内に極性が生じている分子:極性について詳しくは極性(分子の形との関係・見分け方・例・打ち消しなど)を参照)であり、分子内の一部はややプラスに、一部はややマイナスに電荷が偏っている。
また、NaClは水の中で次のように電離している。
NaCl → Na^{+}+Cl^{-}
\]
電離の結果できたNa+とCl–の周りには、それぞれ水分子のδ–部分とδ+部分が近づいてくる。
結果、いわゆる”水和”した状態となり、ナトリウムイオンNa+とCl–は引き離される。(塩を構成しているイオンが引き離されると、いわゆる”溶けた”状態と言える)
水和物とは
水和物とは、水和水が分子にくっついたものである。
例えば、高校化学で頻出の水和物である硫酸銅五水和物の化学式は次のようになる。
CuSO_{4}・5H_{2}O
\]
硫酸銅五水和物
硫酸銅(Ⅱ)水溶液を冷却して得られる結晶は、CuSO4:H2O=1:5の物質量比からなる結晶で、この結晶を硫酸銅五水和物といい、化学式は次のようになる。
CuSO_{4}・5H_{2}O
\]
硫酸銅五水和物の構造は以下の通り。
実際のところ、硫酸銅五水和物の構造を覚えている必要はない。しかし、硫酸銅五水和物が絡んだ問題は入試で超頻出なので、理論化学や無機化学における「硫酸銅五水和物が絡んだ問題」をまとめた硫酸銅五水和物(化学式・構造式・頻出問題の解法など)のページは必ず確認しておこう。
演習問題
問1
水分子が溶質の分子やイオンと強く引き合うことを【1】という。
問2
水和しているイオンを【1】、水和している分子を【2】という。
問3
水分子は【1(極性or無極性)】分子であり、塩化ナトリウムNaClを入れると水H2O分子の水素H原子が【2】イオンを、酸素O原子が【3】イオンを取り囲み、いわゆる”溶けた”状態になる。
問4
水和水が分子にくっついたものを【1】といい、代表的な【1】である硫酸銅五水和物の化学式は【2】である。
関連:計算ドリル、作りました。
化学のグルメオリジナル計算問題集「理論化学ドリルシリーズ」を作成しました!モル計算や濃度計算、反応速度計算など入試頻出の計算問題を一通りマスターできるシリーズとなっています。詳細は【公式】理論化学ドリルシリーズにて!


・化学のグルメ運営代表
・高校化学講師
・薬剤師
・デザイナー/イラストレーター
数百名の個別指導経験あり(過去生徒合格実績:東京大・京都大・東工大・東北大・筑波大・千葉大・早稲田大・慶應義塾大・東京理科大・上智大・明治大など)
2014年よりwebメディア『化学のグルメ』を運営
公式オンラインストアで販売中の理論化学ドリルシリーズ・有機化学ドリル等を執筆
著者紹介詳細