【プロ講師解説】このページでは『硫酸銅五水和物の化学式や構造式、入試頻出問題の解法など』について解説しています。(【図解】水和・水和物(定義・例・原理・仕組みなど)をまだ読んでいない人はそちらを先に読むことを推奨)解説は高校化学・化学基礎を扱うウェブメディア『化学のグルメ』を通じて6年間大学受験に携わるプロの化学講師が執筆します。

硫酸銅五水和物とは

硫酸銅(Ⅱ)水溶液を冷却して得られる結晶は、CuSO4:H2O=1:5の物質量比からなる結晶で、この結晶を硫酸銅(Ⅱ)五水和物といい、化学式は次のようになる。

\[
CuSO_{4}・5H_{2}O
\]

硫酸銅(Ⅱ)五水和物の構造は次のようになっている。

硫酸銅五水和物が絡んだ入試問題

硫酸銅五水和物関連の入試問題をいくつか紹介する。いずれも頻出パターンの問題なので必ず溶けるようにしておこう。

【理論】固体の溶解度絡みの問題

問題

(1)硫酸銅(Ⅱ)五水和物100g中に含まれる硫酸銅(Ⅱ)は何gか。(H=1,O=16,S=32,Cu=64)
(2)80℃の硫酸銅(Ⅱ)飽和水溶液100gを20℃まで冷却すると、硫酸銅(Ⅱ)五水和物の結晶が析出した。この結晶の質量は何gか。ただし、硫酸銅(Ⅱ)の溶解度は20℃で20、80℃で56とする。

(1)
硫酸銅(Ⅱ)五水和物の化学式はCuSO4・5H2O。
したがって、硫酸銅(Ⅱ)五水和物の式量は以下のように求められる。

\[
\underbrace{
\underbrace{ CuSO_{4} }
_{ \text{ 160 }}

\underbrace{ 5H_{2}O }
_{ \text{ 90 }}
}
_{ \text{ 250 }}
\]

Cu,S,Oの原子量はそれぞれ64,32,16なのでCuSO4は160、H,Oの原子量はそれぞれ1,16なので5H2Oは90、これらを足しあわせるとCuSO4・5H2Oの式量は250となる。

硫酸銅(Ⅱ)五水和物100g中に含まれる硫酸銅(Ⅱ)の割合を求めるには、硫酸銅(Ⅱ)五水和物の質量である100gに硫酸銅(Ⅱ)五水和物中に含まれる硫酸銅(Ⅱ)の割合をかければOK。

\[
100×\frac{ 160 }{ 250 }=64
\]

よって答えは64(g)

(2)
問題文より、硫酸銅(Ⅱ)の溶解度は80℃で56なので、80℃の飽和水溶液に含まれる硫酸銅(Ⅱ)の量は…

\[
\begin{align} 溶液:溶質 &=(100+56):56 \\
&= 100:x \end{align} \\
↔︎ x≒36(g)
\]

冷却後の硫酸銅(Ⅱ)の質量は、もともとあった36gから沈殿に含まれる硫酸銅(Ⅱ)分の質量を引いた値になる。

以上より、次のような式をたてることができる。

\[
\begin{align} 溶液:溶質 &=(100+20):20 \\
&= (100-y):(36-\frac{ 160 }{ 250 }y) \end{align} \\
↔︎ y≒41(g)
\]

【無機】硫酸銅五水和物を加熱したときの色変化を答える問題

問題

硫酸銅(Ⅱ)五水和物の結晶は何色か。また、硫酸銅(Ⅱ)五水和物を十分に加熱したときの色は何色か。

硫酸銅(Ⅱ)五水和物CuSO4・H2Oは青色である。
これを加熱していくと、徐々にH2Oが取れて、最終的に無水和物(無水物)であるCuSO4白色沈殿となる。

※この辺りについて詳しくは銅の単体・酸化物・銅原子を含む塩の性質や製法などを参照

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著者プロフィール

・化学のグルメ運営代表
・高校化学講師
・薬剤師
・デザイナー/イラストレーター

数百名の個別指導経験あり(過去生徒合格実績:東京大・京都大・東工大・東北大・筑波大・千葉大・早稲田大・慶應義塾大・東京理科大・上智大・明治大など)
2014年よりwebメディア『化学のグルメ』を運営
公式オンラインストアで販売中の理論化学ドリルシリーズ・有機化学ドリル等を執筆

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