陽イオン交換樹脂・陰イオン交換樹脂(作り方・原理・反応式など)

目次

はじめに

【プロ講師解説】このページでは『陽イオン交換樹脂・陰イオン交換樹脂(作り方・原理・反応式など)』について解説しています。


イオン交換樹脂とは

  • イオンを含む溶液にある物質を触れさせておくと、その物質中のイオンと溶液中のイオンが入れ替わる。この現象をイオン交換という。また、このような作用を行う物質をイオン交換樹脂という。

イオン交換樹脂の作り方

  • スチレンに少量のp-ジビニルベンゼンを混ぜて共重合させ、立体網目状構造の樹脂を作成する。
  • さらに、ベンゼン環に置換基を導入し、直径が1mm程度のビーズ状に加工すると、イオン交換樹脂をつくることができる。

イオン交換樹脂の仕組み

  • 陽イオン交換樹脂、陰イオン交換樹脂の原理について解説する。

陽イオン交換樹脂

  • カラムとよばれる円筒形の管に陽イオン交換樹脂(R-SO3H)を詰め、そこに上から塩化ナトリウムNaCl水溶液を流す。
  • その結果、水溶液中のNaは陽イオン交換樹脂中のHと置き換わって、下から塩酸HClが出てくる。
  • 式で表すと次のようになる。

\[ \mathrm{R-SO_{3}^{-}H^{+}+Na^{+}Cl^{-}⇄R-SO_{3}^{-}Na^{+}+H^{+}Cl^{-}・・・① }\]

陰イオン交換樹脂

  • 陰イオン交換樹脂(R-N(CH3)3OH)を詰めたカラムにNaCl水溶液を流す。
  • 結果、水溶液中のClが陰イオン交換樹脂中のOHと置き換わって、下から水酸化ナトリウムNaOH水溶液が出てくる。

\[ \mathrm{R-N^{+}(CH_{3})_{3}OH^{-}+Na^{+}Cl^{-}⇄R-N^{+}(CH_{3})_{3}Cl^{-}+Na^{+}OH^{-}・・・②} \]

  • 使用後の陽イオン・陰イオン交換樹脂は、塩酸や水酸化ナトリウム水溶液を加えることで①・②の反応を左向きに進めて、再生することができる。

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著者情報

元講師、薬剤師、イラストレーター
数百名の中高生向け指導経験あり(過去生徒合格実績:東工大・東北大・筑波大・千葉大・岡山大・早稲田大・慶應義塾大・東京理科大・上智大・明治大など)。
2014年よりwebメディア『化学のグルメ』を運営
公式オンラインストアで販売中の理論化学ドリルシリーズ・有機化学ドリル等を執筆
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