【プロ講師解説】このページでは『陽イオン交換樹脂・陰イオン交換樹脂(作り方や原理・反応式など)』について解説しています。解説は高校化学・化学基礎を扱うウェブメディア『化学のグルメ』を通じて6年間大学受験に携わるプロの化学講師が執筆します。
イオン交換樹脂とは
イオンを含む溶液にある物質を触れさせておくと、その物質中のイオンと溶液中のイオンが入れ替わる。この現象をイオン交換という。また、このような作用を行う物質をイオン交換樹脂という。
イオン交換樹脂の作り方
スチレンに少量のp-ジビニルベンゼンを混ぜて共重合させ、立体網目状構造の樹脂を作成する。
さらに、ベンゼン環に置換基を導入し、直径が1mm程度のビーズ状に加工すると、イオン交換樹脂をつくることができる。
イオン交換樹脂の仕組み
陽イオン交換樹脂、陰イオン交換樹脂の原理について紹介していく。
陽イオン交換樹脂
カラムと呼ばれる円筒形の管に陽イオン交換樹脂(R-SO3–H+)を詰め、そこに上から塩化ナトリウムNaCl水溶液を流す。
その結果、水溶液中のNa+は陽イオン交換樹脂中のH+と置き換わって、下から塩酸HClが出てくる。
式で表すと次のようになる。
\[
R-SO_{3}^{-}H^{+}+Na^{+}Cl^{-}⇄R-SO_{3}^{-}Na^{+}+H^{+}Cl^{-}・・・①
\]
R-SO_{3}^{-}H^{+}+Na^{+}Cl^{-}⇄R-SO_{3}^{-}Na^{+}+H^{+}Cl^{-}・・・①
\]
陰イオン交換樹脂
陰イオン交換樹脂(R-N+(CH3)3OH–)を詰めたカラムにNaCl水溶液を流す。
結果、水溶液中のCl–が陰イオン交換樹脂中のOH–と置き換わって、下から水酸化ナトリウムNaOH水溶液が出てくる。
\[
R-N^{+}(CH_{3})_{3}OH^{-}+Na^{+}Cl^{-}⇄R-N^{+}(CH_{3})_{3}Cl^{-}+Na^{+}OH^{-}・・・②
\]
R-N^{+}(CH_{3})_{3}OH^{-}+Na^{+}Cl^{-}⇄R-N^{+}(CH_{3})_{3}Cl^{-}+Na^{+}OH^{-}・・・②
\]
使用後の陽イオン・陰イオン交換樹脂は、塩酸や水酸化ナトリウム水溶液を加えることで①・②の反応を左向きに進めて、再生することができる。
演習問題
問1
【】に当てはまる用語を答えよ。
イオンを含む溶液にある物質を触れさせておくと、その物質中のイオンと溶液中のイオンが入れ替わる。この現象を【1】という。また、このような作用を行う物質を【2】という。
イオンを含む溶液にある物質を触れさせておくと、その物質中のイオンと溶液中のイオンが入れ替わる。この現象を【1】という。また、このような作用を行う物質を【2】という。
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著者プロフィール
・化学のグルメ運営代表
・高校化学講師
・薬剤師
・デザイナー/イラストレーター
数百名の個別指導経験あり(過去生徒合格実績:東京大・京都大・東工大・東北大・筑波大・千葉大・早稲田大・慶應義塾大・東京理科大・上智大・明治大など)
2014年よりwebメディア『化学のグルメ』を運営
公式オンラインストアで販売中の理論化学ドリルシリーズ・有機化学ドリル等を執筆
著者紹介詳細
・化学のグルメ運営代表
・高校化学講師
・薬剤師
・デザイナー/イラストレーター
数百名の個別指導経験あり(過去生徒合格実績:東京大・京都大・東工大・東北大・筑波大・千葉大・早稲田大・慶應義塾大・東京理科大・上智大・明治大など)
2014年よりwebメディア『化学のグルメ』を運営
公式オンラインストアで販売中の理論化学ドリルシリーズ・有機化学ドリル等を執筆
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