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同素体と同位体の違いは?硫黄・炭素・酸素・リンの同素体の特徴も!

約 12 分
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同素体・同位体とは

同素体と同位体。
この2つは言葉が似ているため混同してしまう人が多い。違いをはっきり理解して、混同しないようにしよう。

同素体
同じ元素からなる単体で、化学的性質(反応性など)が異なるもの
同位体
原子番号が同じで、質量数の異なる原子同士のこと。
化学的性質(反応性など)にあまり変化が見られない

同素体と同位体の違いは上記の通りだ。
この時点ではっきりとわかる必要はない。これから順に説明していこう。

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同素体


上でもまとめたが、同素体とは「同じ元素からなる単体で、化学的性質(反応性など)が異なるもの」のことだ。

例を挙げると、「酸素(O2)とオゾン(O3)」。

この2つは同じ「O」という元素からできているけど、色やにおいなどの化学的性質は異なっている。

同素体の単元では、基本的に4つの原子しか登場しない。それらについてまとめたあと、個別に解説していこう。

元素記号 元素名 単体名 化学式 特性
S 硫黄 斜方硫黄 S8 黄色 非常に安定
単斜硫黄 S8 黄色 放っとくと斜方硫黄になる
ゴム状硫黄 S(組成式) 高純度で黄色、低純度で褐色 放っとくと斜方硫黄になる
C 炭素 ダイヤモンド C(組成式) 無色透明 非常に固い
電気伝導性なし
黒鉛(グラファイト) C(組成式) 黒色 もろい(砕けやすい)
電気伝導性あり
フラーレン C60,C70 (溶液中) ナノテクノロジーに関与
O 酸素 酸素 O2 無色 無臭
助燃性有り
オゾン O3 淡青色 特異臭
紫外線吸収効果
P リン 黄リン P4 黄色 有毒、不安定
赤リン P(組成式) 赤色 無毒、安定

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硫黄

斜方硫黄 単斜硫黄 ゴム状硫黄
化学式 S8 S8 S(組成式)
黄色 黄色 高純度で黄色、低純度で褐色
特性 非常に安定 放っておくと斜方硫黄になる 放っておくと斜方硫黄になる

硫黄の同素体は3種類。

斜方硫黄単斜硫黄ゴム状硫黄だ。

はじめに、「斜方硫黄が一番安定している」ということを押さえてほしい。
そのため、単斜硫黄もゴム状硫黄も放っておくと斜方硫黄になっちゃうんだ。不安定より安定の方がいいからね。

次に、単斜硫黄とゴム状硫黄の特徴について説明しよう。
斜方硫黄は安定してるからこれといった特徴はないんだけど、他の2つはその形や性質に少し特徴がある。

単斜硫黄
針状の結晶
ゴム状硫黄
あまり決まった形をしていない。
名前の通り、ゴムのような弾力がある。

これらのおおざっぱな特徴を頭の中に入れておいてほしい。
詳しいことは、無機化学「硫黄Sの単体と化合物の性質・製法」で扱っていく。

炭素


炭素の同素体は、ダイヤモンド黒鉛(グラファイト)フラーレンの3つ。

ダイヤモンドと黒鉛はみんなも知っているよね。ダイヤモンドは宝石として指輪などに使われていて、黒鉛は鉛筆の芯の原料だ。

ただ、化学を学んでいるキミたちにはもう少し細かい知識をもっていてほしい。

この2つの「硬さ」「電気伝導性」についてだ。

硬さ
硬さについてはイメージ通りかもしれない。
ダイヤモンドは非常に硬く、黒鉛は比較的柔らかい。
硬さに違いが生じる理由など、詳しいことについては「無機化学」の範囲になるから今はあまり気にしないでOK。
電気伝導性
電気伝導性、つまり電気の通しやすさにも違いがある。
ダイヤモンドは電気しにくく、黒鉛は電気を通しやすいつまり、「ダイヤモンドは電気伝導性が低く、黒鉛は高い」んだ。よく覚えておこう。

フラーレンについてはナノテクノロジーで使われてるよっていうのを知ってれば大丈夫。

ちなみにこの3つは形(結合)等にも特徴があるが、詳しいことは炭素Cの単体・化合物の性質・製法で扱う。

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酸素

酸素(O2 オゾン(O3
化学式 O2 O3
直線型 折れ線型
無色 淡青色
におい 無臭 特異臭
特性 助燃性有り 紫外線吸収効果

酸素オゾン。この2つが酸素の同素体だ。

酸素を知らないはずはないし、オゾンもどこかで聞いたことがあるだろう。

理論化学を学んでいる段階で覚えておいてほしいのは、酸素が無色無臭なのに対して、オゾンは淡青色で特異臭がするということくらいだ。

酸素やオゾンに関する細かい知識は無機化学「酸素Oの単体・化合物の性質・製法」の方で紹介しているのでよかったら見てみてほしい。

リン


リンの同素体は2つ。黄リン赤リンだ。

黄リン

黄リンは、かなり危険なヤツだ。

なんと、「空気中で放っておくと、いきなり火が点いてしまう」んだ。(こういうのを自然発火という)

だから、研究室とかで保存するときはビンに水をいれてその中に突っ込んでおく
水中に置いておけば、空気に直接触れないから自然発火は起こらないんだね。

あと、こいつは毒性ももっているんだ。自然発火と合わせてよく覚えておこう。

赤リン

赤リンは、マッチの箱の横に付いていて、マッチに火を点けるときに使うヤツだ。あの擦る部分ね。

これはみんな普段から使っているものだから、当然「無毒だし自然発火もしない」

リンについてさらに詳しいことが知りたかったらリンPの単体・化合物の性質・製法をみてね。

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同位体


次は同位体だ。
最初にも書いたが、同位体とは、「原子番号が同じで、質量数の異なる原子同士」のことだ。

水素を例に説明しよう。

水素には、天然に3つの同位体が存在する。

これら3つは、同じ”水素”の仲間ではあるけれど、質量数が異なっている。
原子番号(=陽子の数)が一緒なのに質量数が違うということはつまり、「中性子の数が異なっている」ということだね。

また、同位体によって存在比が存在比が違っていることにも注意しよう。
普通の水素が一番多く99.9%、次が重水素で0.1%。三重水素はほとんど存在しない。

さらに、同位体は「化学的性質(反応性など)にあまり変化が見られない。」ということも知っておこう。同素体は「変化が見られる」ので、対比させて聞かれる。同位体の数などの詳しいことを覚える必要はないが、同位体を使った計算は定期テストや入試で頻出なのでぜひ出来るようにしておいてほしい。(【決定版】相対質量・原子量・分子量・式量の定義、求め方、計算問題に記載)

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演習問題

問1
同じ元素からなる単体で、化学的性質(反応性など)が異なるものをなんと呼ぶか。
問1:解答・解説
解答:同素体

同じ元素からなる単体で、化学的性質(反応性など)が異なるものは同素体と呼ばれる。

問2
原子番号が同じで、質量数の異なる化学的性質(反応性など)にあまり変化が見られない原子同士のことをなんと呼ぶか。
問2:解答・解説
解答:同位体

原子番号が同じで、質量数の異なる化学的性質(反応性など)にあまり変化が見られない原子同士のことは同位体と呼ばれる。

問3
同素体を持つ代表的な原子を4つ挙げなさい。
問3:解答・解説
解答:硫黄S・炭素C・酸素O・リンP

同素体を持つ原子で大学入試で頻出なのは硫黄S・炭素C・酸素O・リンPの4つである。

問4
硫黄の同素体を3つ挙げなさい。
問4:解答・解説
解答:斜方硫黄・単斜硫黄・ゴム状硫黄

硫黄の同素体は斜方硫黄・単斜硫黄・ゴム状硫黄の3つである。

問5
硫黄の同素体の中で中で最も安定しているものは何か。
問5:解答・解説
解答:斜方硫黄

硫黄の同素体の中で最も安定しているのは斜方硫黄である。それ故に単斜硫黄やゴム状硫黄は放っておくと斜方硫黄になる。

問6
炭素の同素体のうち、サッカーボール状でナノテクノロジーに用いられるものは何か。
問6:解答・解説
解答:フラーレン

炭素の同素体として有名なのはダイヤモンド・黒鉛・フラーレンの3つである。これらのうちサッカーボール状でナノテクノロジーに用いられるものはフラーレンである。また、ダイヤモンドは宝石や研磨剤として、黒鉛は鉛筆の芯などとして用いられる。

問7
酸素の同素体を2つ挙げなさい。
問7:解答・解説
解答:酸素・オゾン

酸素の同位体は酸素とオゾンの2つである。

問8
リンの同素体のうち毒性をもち、自然発火を起こす可能性もあるものは何か。
問8:解答・解説
解答:黄リン

リンの同素体として有名なのは赤リンと黄リンの2つである。これらのうち、毒性をもち自然発火を起こす可能性があるのは黄リンである。黄リンは自然発火を防ぐために通常は水を入れたビンの中に保存される。ちなみに、赤リンはマッチの箱の側面に付いており着火をする際などに用いられ、無毒である。

問9
水素の同位体のうち、最も存在量が少ないのはどれか。
問9:解答・解説
解答:三重水素

水素の同位体は、水素・重水素・三重水素の3種類存在する。これらの同位体は陽子の数は同じであるが中性子の数が異なっている(水素0コ・重水素1コ・三重水素2コ)。3つの自然界での存在確率は順に「99.9:0.09:極微量」となっており、最も存在確率が低いのは三重水素である。

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