はじめに

同位体についてきちんと説明できる高校生は意外と少ない。このページでは、同位体の定義から性質、同位体の存在比を使った計算問題の解法、同位体と名前の似ている同素体との区別などを一から丁寧に解説していく。ぜひこの機会に同位体をマスターして、他の受験生と差をつけよう!


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同位体とは

同位体とは原子番号が同じで、質量数の異なる原子同士のことである。

水素を例に説明する。

水素には、天然に3つの同位体が存在する。

これら3つは、同じ”水素”の仲間ではあるけれど、質量数が異なっている。原子番号(=陽子の数)が一緒なのに質量数が違うということはつまり、中性子の数が異なっている」ということである。(この辺りについては原子の構造!陽子・中性子・電子・原子核・質量数・原子番号の数と関係を参照)

また、同位体によって存在比が存在比が違っていることにも注意。普通の水素が一番多く99.9%、次が重水素で0.1%。三重水素はほとんど存在しない。

さらに、同位体は「化学的性質(反応性など)にあまり変化が見られない。」ということも知っておくべきである。同素体は「変化が見られる」ので、対比させて聞かれる。同位体の存在比など詳しいことを覚える必要はないが、同位体を使った計算は定期テストや入試で頻出なのでぜひ出来るようにしておこう。(【決定版】相対質量・原子量・分子量・式量の定義、求め方、計算問題化合物に含まれる同位体の物質量比を求める問題の解き方などに記載)


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同位体の存在比

上で説明したように、同位体は全てが等量存在している訳ではなく、存在比(存在している割合)が異なる場合がある。
代表的な同位体の存在比は次の通り。

元素名 元素記号 存在比
水素 1H 99.985%
2H 0.015%
炭素 12C 98.90%
13C 1.10%
窒素 14N 99.634%
15N 0.366%
酸素 16O 99.762%
17O 0.038%
18O 0.200%
ナトリウム 23Na 100%
塩素 35Cl 75.77%
37Cl 24.23%
63Cu 69.17%
65Cu 30.83%

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放射性同位体

同位体の中には原子核が“不安定”で放射線を出しながら崩壊(壊変)していくものがあり、このような同位体を放射性同位体という。

放射性同位体は遺物の年代測定・医療などに利用される。

プラスの知識

【α(アルファ)壊変】
α線(=ヘリウムの原子核)を放出する。
ヘリウムの原子核は「陽子2個+中性子2個」で構成されているので、α壊変が一回起こると原子番号は2減少、質量数は4減少する。

【β(ベータ)壊変】
β線(=電子)を放出する。
放出される電子は中性子が陽子に変化することで放出されるので、β壊変が一回起こると質量数は変わらないが原子番号は1増加する。

【γ(ガンマ)壊変】
γ線(=α、β壊変の後に出る余分なエネルギー)を放出する。質量数や原子番号に変化はない。


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同位体の存在比を使って物質量比を求める問題

問題

銅粉15.9gを加熱し完全に酸化したところ、黒色の酸化銅(Ⅱ)19.9gが生成した。この酸化銅(Ⅱ)に含まれる63Cuと65Cuの物質量の比を求めなさい。ただし、63Cuの相対質量は63.0、65Cuの相対質量は65.0とする。

『慶応大学 2008年 参考』

この問題は、次の3STEPで解いていく。

STEP1

反応したO2のmolを求める

まずは、反応したO2のmolを求めていく。この反応の反応式は以下の通りである。

\[
\mathtt{ 2Cu + O_2 → 2CuO }
\]

銅に酸素がくっついて酸化銅(Ⅱ)が生成しているので、生成した酸化銅(Ⅱ)の質量から銅の質量を引けば、銅にくっついた酸素の質量が求められるはずである。

\[
\mathtt{ 19.9(g) – 15.9(g) = 4.0(g) }
\]

酸素のモル質量(分子量)は32(g/mol)なので、酸素のmolは次のように求めることができる。

\[
\mathtt{ 4.0(g) ÷ 32(g/mol) = 0.125(mol) }
\]

STEP2

STEP1で求めた値からCuのmolを求め、それを使ってCuの見かけ上のモル質量(原子量)を求める

次に、STEP1で求めた酸素のmolからCuのmolを求め、それを使ってCuの見かけ上のモル質量(原子量)を求めていく。

もう一度反応式を確認する。

\[
\mathtt{ 2Cu + O_2 → 2CuO }
\]

CuとO2の係数比は2:1である。従って、この反応に必要なCuのmolは酸素の2倍のはずなので…

\[
\mathtt{ 0.125(mol) × 2 = 0.25(mol) }
\]

この値を使って、銅の見かけ上のモル質量(原子量)を求めていく。

反応で使われた銅は問題文に書いてある通り15.9gなので…

\[
\mathtt{ 15.9(g) ÷ 0.25(mol) = 63.6(g/mol) }
\]

STEP3

同位体の片方の存在比をxとおき、式を立ててxを求める

最後に、同位体の片方の存在比をxとおき、式を立ててxを求めていく。

\[
\mathtt{ 63.0 × x + 65.0 × (1-x) = 63.6 }
\]

63Cuの存在比(物質量比)を「x」とすると、65Cuの存在比は「1-x」と表すことができるね。同位体それぞれの相対質量に存在比をかけたものを足すと、見かけ上の原子量になる。

この式を解いて…

x = 0.7(70%)となる。


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同位体の存在比を使って原子量を求める問題

問題

炭素原子の2つの同位体12C(相対質量=12.0),13C(相対質量=13.0)の存在比が、 それぞれ98.9%、1.1%であるとき、炭素の原子量を求めよ。

同位体の相対質量に、それぞれの存在比をかけて足す。

\[
\mathtt{ \underbrace{12.0 × \frac{ 98.9 }{ 100 } }
_{ ^{ 12 }\text{ C }} +
\underbrace{13.0 × \frac{ 1.1 }{ 100 } }
_{ ^{ 13 }\text{ C }} = 12.011}
\]

約12になったね。これが炭素の原子量だ。ちなみに、このような原子量計算をするときの有名な工夫がある。

\[
\mathtt{ 12.0 × \frac{ 98.9 }{ 100 } + 13.0 × \frac{ 1.1 }{ 100 } \\
= 12.0 × \frac{ 98.9 }{ 100 } + (12.0+1.00) × \frac{ 1.1 }{ 100 } \\
= 12.0 × \frac{ 98.9 }{ 100 } + 12.0 × \frac{ 1.1 }{ 100 } + 1.00 × \frac{ 1.1 }{ 100 }\\
= 12.0 × (\frac{ 98.9 }{ 100 } + \frac{ 1.1 }{ 100 }) + 1.00 × \frac{ 1.1 }{ 100 }\\
= 12.0 × 1 + 1.00 × \frac{ 1.1 }{ 100 }\\
= 12.0 + 0.011\\
= 12.011}
\]

この問題は、定期テストなどでよく出るやつだから、しっかり解けるようにしておいてね。また、もう1つのパターンとして「原子量が分かっている状態で存在比を求める」ものがある。そちらも一応練習しておこう。

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同位体の原子量を使って存在比率を求める問題

問題

塩素原子の原子量が35.5のとき、塩素原子の2つの同位体35Cl(相対質量=35.0),37Cl(相対質量=37.0)の存在比をそれぞれ求めよ。

こちらも同じように、「同位体の相対質量に、それぞれの存在比をかけて足すと原子量が出る」ということを利用して解く。

\[
\mathtt{ \underbrace{35.0 × \frac{ x }{ 100 } }
_{ ^{ 35 }\text{ Cl }} +
\underbrace{37.0 × \frac{ 100-x }{ 100 } }
_{ ^{ 37 }\text{ Cl }} = 35.5}
\]

片方の存在比(%)をxとおけば、全部で100(%)だからもう片方は100-x(%)と考えられるね。
この式をxについて解くと、x=0.75となるので、

\[
\mathtt{ ^{35}Cl = 75(\%) \\
^{37}Cl = 25(\%)}
\]

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確認問題

問1

原子番号が同じで、【1】の数が異なるもの同士を互いに【2】であるという。【2】の【3】的性質はほぼ同じである。
【問1】解答/解説:タップで表示
解答:【1】質量数【2】同位体(アイソトープ)【3】化学

同位体について詳しくは「同素体と同位体の違いは?硫黄・炭素・酸素・リンの同素体の特徴も!」を確認しよう。

問2

原子番号が1の【1】原子には3つの同位体が存在する。質量数が1の水素、【2】が1コ多いために質量数が2である【3】、【2】が2コ多いために質量数が3である【4】がある。
【問2】解答/解説:タップで表示
解答:【1】水素【2】中性子【3】重水素(ジュウテリウム)【4】三重水素(トリチウム)

同位体について詳しくは「同素体と同位体の違いは?硫黄・炭素・酸素・リンの同素体の特徴も!」を確認しよう。

問3

2種類の炭素原子(12C・13C)と2種類の塩素原子(35Cl・37Cl)を組み合わせて四塩化炭素CCl4を作るとき、【1】パターンの分子量の異なる四塩化炭素が生成しうる。
【問3】解答/解説:タップで表示
解答:【1】10

この計算について詳しくは「相対質量の異なる分子数の数え方〜四塩化炭素〜」を確認しよう。
また、同位体について詳しくは「同素体と同位体の違いは?硫黄・炭素・酸素・リンの同素体の特徴も!」を確認しよう。

問4

陽子の数が同じで中性子の数が異なる原子同士を互いに【1】という。【1】の中には、不安定で【2】を出しながら壊れる(別の元素に変化する)ものがあり、それらを総称して【3】という。また、【2】を出す性質(能力)のことを【4】という。【3】が壊れて半分の量になる時間のことを【5】といい、これを利用して遺跡の【6】などが行われる。
【問4】解答/解説:タップで表示
解答:【1】同位体【2】放射線【3】放射性同位体(ラジオアイソトープ)【4】放射能【4】半減期【5】年代測定

放射性同位体について詳しくは「同素体と同位体の違いは?硫黄・炭素・酸素・リンの同素体の特徴も!」を確認しよう。


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