逆滴定(例題・計算問題の解き方・原理など)

目次

はじめに

【プロ講師解説】このページでは『逆滴定(例題・計算問題の解き方・原理など)』について解説しています。


逆滴定とは

  • 気体(例:アンモニア)など、通常の中和滴定を行いにくい物質を滴定するための特殊な滴定法を逆滴定という。

アンモニアNH3の逆滴定

  • 逆滴定の流れについて「アンモニアNH3の逆滴定」を例に解説する。
  • まず、酸である硫酸H2SO4を大量に用意する。
  • ここにアンモニアNH3を完全に吸収させる。
  • すると、NH3は水中に存在するHの一部と反応してNH4になる。
  • 徐々に中和されていき…
  • 完全に中和したときこのような状態になる。HはすべてOHと合わさり水になっている。(Naは省略)
  • これが、逆滴定の流れである。要するに、酸である硫酸を2種類の塩基(NaOH、NH3)で滴定しているということである。

逆滴定計算の流れ

  • 逆滴定の計算問題の解き方について、例を用いて解説する。

●STEP1
直線を書き数値を並べる。
●STEP2
中和計算をする。

問題

0.10(mol/L)の硫酸H2SO42.0(L)を中和するために必要な0.20(mol/L)の水酸化ナトリウムNaOHは何(L)か。

STEP
直線を書き数値を並べる。

まずは、直線を書き数値を並べる。

酸と塩基で上下に分けて、それぞれの物質とそのmol/L、Lを書き並べる。

STEP
中和計算をする。

【公式あり】中和計算を一瞬で解く方法を理由を交えて徹底解説!でやったように、中和点で酸と塩基のmol数が等しくなることを利用して計算式を立て、中和計算をする。

\[ \begin{align}&\underbrace{ \mathrm{0.50(mol/L) × \frac{ 200 }{ 1000 }(L) × 2} }
_{ \mathrm{H_{2}SO_{4}}\text{ の放出する }H^{+}\text{ のmol }}
=
\underbrace{ \mathrm{1.0(mol/L) × \frac{ 20 }{ 1000 }(L) × 1 }}
_{ \mathrm{NaOH}\text{ の受け取る }H^{+}\text{ のmol }}
+
\underbrace{ x\mathrm{(mol/L) × \frac{ 100 }{ 1000 }(L) × 1} }
_{ \mathrm{NH{3}}\text{ の受け取る }\mathrm{H^{+}}\text{ のmol }} \\
\\
&↔︎ x\mathrm{=1.8(mol/L)}\end{align} \]


逆滴定まとめ

この『逆滴定(例題・計算問題』のページで解説した内容をまとめる。

  • 気体(例:アンモニア)など、通常の中和滴定を行いにくい物質を滴定するための特殊な滴定法を逆滴定という。
  • 逆滴定は次の2STEPで行う。
    ●STEP1
    直線を書き数値を並べる。
    ●STEP2
    中和計算をする。

演習問題

化学のグルメでは、高校化学・化学基礎の一問一答問題を公開しています。問題一覧は【スマホで出来る】一問一答(高校化学・化学基礎)でご覧下さい。

問1

濃度不明のアンモニア400(ml)の濃度を調べるために以下の実験を行った。
【実験】1.0(mol/L)の硫酸200(ml)にアンモニアをすべて溶かした。その後、この溶液に0.50(mol/L)の水酸化ナトリウムを滴下した。すると、200(ml)加えたところで完全に中和した。
このときのアンモニアのモル濃度は何(mol/L)か。

解答/解説:タップで表示

解答:0.75mol/L

\[ \begin{align}&\underbrace{ \mathrm{1.0(mol/L) × \frac{ 200 }{ 1000 }(L) × 2} }
_{ \mathrm{H_{2}SO_{4}}\text{ の放出する }\mathrm{H^{+}}\text{ のmol }}
=
\underbrace{\mathrm{ 0.50(mol/L) × \frac{ 200 }{ 1000 }(L) × 1} }
_{ \mathrm{NaOH}\text{ の受け取る }\mathrm{H^{+}}\text{ のmol }}
+
\underbrace{ x\mathrm{(mol/L) × \frac{ 400 }{ 1000 }(L) × 1} }
_{ \mathrm{NH_{3}}\text{ の受け取る }\mathrm{H^{+}}\text{ のmol }} \\
\\
&↔︎ x\mathrm{=0.75(mol/L)}
\end{align} \]

問2

濃度不明のアンモニア200(ml)の濃度を調べるために以下の実験を行った。
【実験】2.0(mol/L)の硫酸100(ml)にアンモニアをすべて溶かした。その後、この溶液に0.5(mol/L)の水酸化ナトリウムを滴下した。すると、40(ml)加えたところで完全に中和した。
このときのアンモニアの濃度は何(mol/L)か。

解答/解説:タップで表示

解答:1.9mol/L

\[ \begin{align}&\underbrace{ \mathrm{2.0(mol/L) × \frac{ 100 }{ 1000 }(L) × 2} }
_{ \mathrm{H_{2}SO_{4}}\text{ の放出する }\mathrm{H^{+}}\text{ のmol }}
=
\underbrace{ \mathrm{0.50(mol/L) × \frac{ 40 }{ 1000 }(L) × 1 }}
_{ \mathrm{NaOH}\text{ の受け取る }\mathrm{H^{+}}\text{ のmol }}
+
\underbrace{ x\mathrm{(mol/L) × \frac{ 200 }{ 1000 }(L) × 1} }
_{ \mathrm{NH_{3}}\text{ の受け取る }\mathrm{H^{+}}\text{ のmol }} \\
\\
&↔︎ x\mathrm{=1.9(mol/L)}
\end{align} \]

【新課程対応】化学の計算ドリル大好評発売中!

高校化学・化学基礎の計算問題が苦手な人に向けた計算ドリルを発売しました。豊富な問題数で、入試頻出の計算問題の解き方を身につけることができます。

【新課程対応】無機化学ドリル発売中!

無機化学の知識を総ざらいできるオリジナル問題集ができました。解答・解説編には入試頻出事項が一通りまとめられており、まとめノート/参考書としての役割も果たします。

【新課程対応】有機化学ドリル発売中!

有機化学に関する入試頻出事項を演習することのできるオリジナル問題集が紙の本になりました。暗記項目だけではなく、計算問題や思考力が問われる問題についても触れています。

著者情報

元講師、薬剤師、イラストレーター
数百名の中高生向け指導経験あり(過去生徒合格実績:東工大・東北大・筑波大・千葉大・岡山大・早稲田大・慶應義塾大・東京理科大・上智大・明治大など)。
2014年よりwebメディア『化学のグルメ』を運営
公式オンラインストアで販売中の理論化学ドリルシリーズ・有機化学ドリル等を執筆
気に入ったらシェアしてね!
目次