はじめに

中和滴定は酸・塩基の中で最も重要な分野の1つであり、大学入試や定期テストでも超頻出。それだけに多くの受験生がきちんと学習しており、ここで点を落とすと周りの受験生に差をつけられてしまう可能性が高い。このページでは、中和滴定について実験器具や操作法、指示薬、滴定曲線(グラフ)などを1から丁寧に解説していく。ぜひこの機会に中和滴定をマスターして、周りに置いて行かれないようにしよう!


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中和滴定とは

中和滴定とは、酸塩基反応を利用し、濃度が既にわかっている溶液(=標準液)を用いて、濃度不明の溶液(=試料)の濃度を求める操作のことである。

中和滴定で用いる実験器具

中和滴定は主に上の4つの器具を用いて行われる。それぞれの役割等は次の通り。

器具名 用途 洗い方
メスフラスコ 標準液を調整する 純粋で洗う→濡れたまま使用
ホールピペット 正確な量の溶液を計り取る 純粋で洗う→共洗い→濡れたまま使用
ビュレット 溶液を滴下し、滴下した体積を読み取る 純粋で洗う→共洗い→濡れたまま使用
三角フラスコ(コニカルビーカー) 標準液と濃度未知の溶液を反応させる 純粋で洗う→濡れたまま使用

中和滴定で使用する4つの器具、メスフラスコ・ホールピペット・ビュレット・三角フラスコ(コニカルビーカー)はいずれも使用前は純粋で洗浄する。その後、共洗いが必要なものは共洗いをし、共洗いが必要ないものは純粋で濡れたまま使用する。

【純粋で濡れたまま使用】
・メスフラスコ
希釈をするときに結局純粋を加えるため共洗いをする必要はない
・三角フラスコ
三角フラスコ内に含まれる酸・塩基の“物質量”に影響はないため共洗いの必要はない
【共洗いをしてから使用】
・ホールピペット
・ビュレット
純粋で濡れていると溶液の濃度が変化してしまうため共洗いをする必要がある

なお、共洗いをするさらに詳しい理由などについては【共洗い】中和滴定でビュレットとホールピペットを共洗いする理由や器具の覚え方など!を参照しよう。


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中和滴定の流れ

STEP1

まずは、標準溶液を調製する。標準溶液とは「あらかじめ濃度が分かっている溶液」のこと。中和滴定では、これを使って濃度が未知の溶液(=試料)の濃度を求めていく。標準溶液を調製する時は、「メスフラスコ」という道具を用いる。

メスフラスコの細くなった先端部分には「標線」という線があり、一定量の化学物質を入れた後にこの線まで水を入れることで、作りたい濃度の溶液を普通のフラスコよりも正確に調製することができる。

STEP2

次は、STEP1で調製した標準溶液を「ホールピペット」を用いて量り、三角フラスコに移動させる。

STEP3

次は、濃度不明の溶液を「ビュレット」に入れる。

ちなみに、ビュレットの目盛りはボコっとなっている液面の一番下の位置を読むということに注意しよう。

STEP4

最後に、ビュレットに入れた濃度未知の溶液を三角フラスコに入った濃度が既に分かっている溶液に滴下し、その量を用いて中和計算を行い、未知の濃度を求めていく。


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中和滴定と指示薬

中和滴定で用いる標準液・試料はともに無色であることが多い。従って、単に滴定をしただけではいつ中和点に達したのかを目で見て判断することが難しい。そこで、特定のpHで色が変化する物質である指示薬を用いて中和が完了したかどうかをチェックしていく。

高校化学でよく出てくる指示薬はフェノールフタレインとメチルオレンジの2つ。順番に説明していこう。

フェノールフタレイン

フェノールフタレイン約pH8.3〜pH10に変色域をもっており、pHがこの範囲より酸性側だと無色、塩基性側だと赤色になる。

メチルオレンジ

メチルオレンジ約pH3.1〜pH4.4に変色域をもっており、pHがこの範囲より酸性側だと赤色、塩基性側だと黄色
になる。

中和滴定をするときにどちらの指示薬を選択するのかについては次の滴定曲線を見ながら解説していこう。


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中和滴定と滴定曲線

滴定曲線とは、酸・塩基の滴下量に対して溶液のpHがどのように変化していくかを表したグラフのことである。

滴定曲線は、次の3STEPで見ていく。

STEP1

塩基を一滴も加えていないSTARTのときは、酸しかないのでpHは7より低い。

STEP2

そこに塩基を滴下していくと、pHは徐々に上がっていく。

STEP3

最終的にGOALの位置までpHは上昇していく。

星の位置は中和点である。垂直な部分(pHが急激に上昇=pHジャンプしている部分:)の中心部が中和点を表している。

それでは、この滴定曲線を指示薬の変域と組み合わせてみよう。

薄い赤はフェノールフタレインの変色域であるpH8.3〜pH10、薄いオレンジはメチルオレンジの変色域であるpH3.1〜pH4.4を表している。

指示薬の変色域の中にpHジャンプの部分が入っていればその指示薬を用いて中和点を確認することができるので、このグラフの滴定だとフェノールフタレイン・メチルオレンジともに使用可能であることがわかる。

それではここから8パターンの滴定曲線を紹介していこう。


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酸に塩基を加えていく際の滴定曲線

まずは、酸に塩基を加えていく滴定曲線を4パターンご紹介。

強酸+強塩基

【STEP1】
強酸は基本的にpHが2以下なので、そこからスタートする。
【STEP2】
強塩基を加えていくと、徐々にpHが上昇する。
【STEP3】
最終的にpH12程度までいった後、一定になる。

このグラフでは、pHジャンプの範囲(=pHが急激に変化している範囲=垂直になっている範囲)が約pH3〜11で、フェノールフタレイン・メチルオレンジ両方の変色域を含むので、どちらの指示薬も使用できる。

強酸+弱塩基

【STEP1】
強酸は基本的にpHが2以下なので、そこからスタートする。
【STEP2】
弱塩基を加えていくとpHは徐々に上がっていく。
【STEP3】
最終的にpH12に届かないくらいまでいった後、一定になる。(強塩基だと12以上、弱塩基だと12以下になる場合が多い)

このグラフでは、pHジャンプの範囲が約pH3〜8で、メチルオレンジの変色域を含むので、指示薬として用いるのはメチルオレンジである。

弱酸+強塩基

【STEP1】
弱酸は基本的にpHが2以上なので、そのあたりからスタートする。
【STEP2】
強塩基を加えていくとpHは徐々に上がっていく。
【STEP3】
最終的に、pH12程度で一定となる。

このグラフでは、pHジャンプの範囲が約pH6〜11で、フェノールフタレインの変色域を含むので、指示薬として用いるのはフェノールフタレインである。

弱酸+弱塩基

【STEP1】
弱酸は基本的にpHが2以上なので、そのあたりからスタートする。
【STEP2】
弱塩基を加えていくとpHは徐々に上がっていく。
【STEP3】
最終的に、pH12程度で一定となる。

このグラフでは、グラフが垂直になっている部分はない。(なんとな〜く緩やかに上がっていく感じ)
従って、どちらの指示薬も使うことができない。また、弱酸と弱塩基の中和滴定の中和点はpH7付近になるが、電離度の関係で7ぴったりで止まることはない。

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塩基に酸を加えていく際の滴定曲線

次に、塩基に酸を加えていく滴定曲線を4パターンご紹介。

強塩基+強酸

【STEP1】
強塩基は基本的にpHが12以上なので、そのあたりからスタートする。
【STEP2】
強酸を加えていくとpHは徐々に下がっていく。
【STEP3】
強酸のpHは2以下なので、最終的にpH2程度で一定となる。

このグラフでは、pHジャンプの範囲(=pHが急激に変化している範囲=垂直になっている範囲)が約pH3〜11で、フェノールフタレイン・メチルオレンジ両方の変色域を含むので、どちらの指示薬も使用できる。

強塩基+弱酸

【STEP1】
強塩基は基本的にpHが12以上なので、そのあたりからスタートする。
【STEP2】
強酸を加えていくとpHは徐々に下がっていく。
【STEP3】
弱酸のpHは2以上なので、最終的にpH2より少し上のところで一定となる。

このグラフでは、pHジャンプの範囲が約pH6〜11で、フェノールフタレインの変色域を含むので、指示薬として用いるのはフェノールフタレインである。

弱塩基+強酸

【STEP1】
弱塩基は基本的にpHが12以下なので、そのあたりからスタートする。
【STEP2】
強酸を加えていくとpHは徐々に下がっていく。
【STEP3】
強酸のpHは2以下なので、最終的にpH2程度で一定となる。

このグラフでは、pHジャンプの範囲が約pH3〜8で、メチルオレンジの変色域を含むので、指示薬として用いるのはメチルオレンジである。

弱塩基+弱酸

【STEP1】
弱塩基は基本的にpHが12以下なので、そのあたりからスタートする。
【STEP2】
弱酸を加えていくとpHは徐々に下がっていく。
【STEP3】
弱酸のpHは2以上なので、最終的にそのあたりで一定となる。

このグラフでは、グラフが垂直になっている部分はない。(なんとな〜く緩やかに上がっていく感じ)
従って、どちらの指示薬も使うことができない。また、弱酸と弱塩基の中和滴定の中和点はpH7付近になるが、電離度の関係で7ぴったりで止まることはない。

中和滴定と中和計算

中和の具体的な計算解法については【公式あり】中和計算を一瞬で解く方法を理由を交えて徹底解説!を見てみてね!


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演習問題

 問1

中和滴定に用いる指示薬で、pH8〜pH10に変色域を持つものはなにか。

【問1】解答/解説:タップで表示
解答:フェノールフタレイン

フェノールフタレインはpH8〜pH10に変色域をもつ指示薬である。

 問2

中和滴定に用いる指示薬で、pH3〜pH4.5に変色域を持つものはなにか。

【問2】解答/解説:タップで表示
解答:メチルオレンジ

メチルオレンジはpH3〜pH4.5に変色域をもつ指示薬である。

 問3

強酸に弱塩基を加えていく中和滴定で使える指示薬はなにか。

【問3】解答/解説:タップで表示
解答:メチルオレンジ

強酸に弱塩基を加えていく中和滴定では、中和点は酸性に偏る。従って、使える指示薬はメチルオレンジである。

関連:特殊な中和滴定たち。

このページで扱ったのは、最もシンプルな中和滴定。他にもいくつか変わった中和滴定が存在し、いずれも入試頻出なので必ず原理を理解しておこう。

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