【プロ講師解説】このページでは『コロイド(種類や大きさ、透析、電気泳動など)』について解説しています。解説は高校化学・化学基礎を扱うウェブメディア『化学のグルメ』を通じて6年間大学受験に携わるプロの化学講師が執筆します。

コロイドとは

直径10-9~10-7mの粒子
Point!

コロイドとは、直径が10-9から10-7m程度の大きさの粒子である。

また、コロイドが均一に混ざった溶液をコロイド溶液、コロイド溶液中に入っているコロイド粒子を分散質、コロイド粒子を分散している(溶かしている)物質を分散媒、分散質と分散媒を合わせて分散系という。

コロイドの分類

コロイドは「構造」「水との親和性」「表面電荷」「流動性」などによって細かく分類することができる。

構造による分類

構造
分子コロイド 1つの巨大分子がコロイドとして存在 高分子(タンパク質・デンプンなど)
会合コロイド
(ミセルコロイド)
小さな分子が多数組み合わさることで形成 セッケン・FeCl3
分散コロイド 分散法で作られたもの 無機物(硫黄・水酸化鉄など)

分子コロイドは、とても大きな分子がそれ1つでコロイド粒子として存在するもので、例としてはタンパク質やデンプンなどが挙げられる。

会合コロイドは、小さな分子が多数組み合わさることで形成されるもので、セッケンやFeCl3などがこれにあたる。

水との親和性による分類

水との親和性
親水コロイド 大きい 有機物(タンパク質・デンプンなど)
疎水コロイド 小さい 無機物(硫黄・水酸化鉄など)

親水コロイドとは、水との親和性が大きいコロイドで、タンパク質やデンプンなどの有機物がこれにあたる。

疎水コロイドとは、水との親和性が小さいコロイドで、硫黄や水酸化鉄などの無機物が例として挙げられる。

PLUS+

疎水コロイドに親水コロイドを加えると、疎水コロイドが親水コロイドに取り込まれ、結果として凝析が起こりにくくなる。(凝析について詳しくは凝析と塩析を参照)

このような作用を保護作用といい、疎水コロイドを取り囲んでいる親水コロイドを保護コロイドという。

表面電荷による分類

電荷
正コロイド プラス タンパク質・水酸化鉄・水酸化アルミニウムなど
負コロイド マイナス デンプン・硫黄・粘土など

正の電荷を帯びているコロイドを正コロイド、負の電荷を帯びているコロイドを負コロイドという。

PLUS+

コロイド溶液に電圧をかけると、正コロイドが負極に、負コロイドが正極に引き寄せられる。

この現象を電気泳動という。

流動性による分類

名称 流動性 状態
ゾル 高い 液体
ゲル 低い 半固体
キセロゲル 極めて低い 固体

流動性をもつ液体状のコロイドをゾル、半固体状のコロイドをゲル、ゲルを乾燥した固体状のコロイドをキセロゲルという。

コロイドの製法

STEP1 コロイド溶液を調製する
STEP2 透析により不純物を取り除く
Point!

コロイドの代表的な製法として「凝集法」というものがある。
凝集法は「コロイド溶液の調製」「透析」の2段階で行われる。

今回は例として「水酸化鉄Fe(OH)3のコロイド溶液の調製」を使って解説する。

STEP1

コロイド溶液を調製する

沸騰した水に塩化鉄FeCl3を加えると、次のような反応が起こる。

\[
FeCl_{3} + 3H_{2}O → \color{#B40404}{ Fe(OH)_{3} } + 3HCl
\]

これにより、赤褐色のFe(OH)3のコロイド溶液を得ることができる。

STEP2

透析により、不純物を取り除く

STEP1で調製したコロイド溶液には、Fe(OH)3以外の生成物(HCl)から電離したHやClが含まれているため、「透析」という操作を行いそれらの不純物を取り除く。

半透膜(セロハンなど)は、分子やイオンなどの細かい物質は通すが、コロイドのように大きな粒子は通すことができない。

この性質を利用して、不純物としてイオンを含むコロイド溶液からそれを取り除くことができる。

まず、不純物を含むコロイド溶液を半透膜でできた袋に入れ、純水に浸す。

すると、不純物であるイオンは半透膜を通って袋から出ていき、純粋なコロイド粒子だけが袋の中に残る。(不純物とコロイドを分離できた)

凝析と塩析

凝析と塩析は、正コロイドと負コロイドの相互作用が関係した性質である。

詳しくは凝析と塩析を確認

チンダル現象とブラウン運動

チンダル現象とブラウン運動は、コロイド粒子の大きさが関係した性質である。

詳しくはブラウン運動とチンダル現象を確認

コロイドに関する演習問題

問1

【】に当てはまる用語を答えよ。

直径が10-9から10-7m程度の大きさの粒子を【1】という。
【問1】解答/解説:タップで表示
解答:【1】コロイド

コロイドとは、直径が10-9から10-7m程度の大きさの粒子である。

問2

【】に当てはまる用語を答えよ。

コロイドが均一に混ざった溶液を【1】、【1】中に入っているコロイド粒子を【2】、コロイド粒子を分散している物質を【3】、【2】と【3】を合わせて【4】という。
【問2】解答/解説:タップで表示
解答:【1】コロイド溶液【2】分散質【3】分散媒【4】分散系

コロイドが均一に混ざった溶液をコロイド溶液、コロイド溶液中に入っているコロイド粒子を分散質、コロイド粒子を分散している(溶かしている)物質を分散媒、分散質と分散媒を合わせて分散系という。

問3

【】に当てはまる用語を答えよ。

構造
【1】 1つの巨大分子がコロイドとして存在 高分子(タンパク質・デンプンなど)
【2】 小さな分子が多数組み合わさることで形成 セッケン・FeCl3
【3】 分散法で作られたもの 無機物(硫黄・水酸化鉄など)
【問3】解答/解説:タップで表示
解答:以下参照
構造
分子コロイド 1つの巨大分子がコロイドとして存在 高分子(タンパク質・デンプンなど)
会合コロイド
(ミセルコロイド)
小さな分子が多数組み合わさることで形成 セッケン・FeCl3
分散コロイド 分散法で作られたもの 無機物(硫黄・水酸化鉄など)

問4

【】に当てはまる用語を答えよ。

水との親和性
【1】 大きい 有機物(タンパク質・デンプンなど)
【2】 小さい 無機物(硫黄・水酸化鉄など)
【問4】解答/解説:タップで表示
解答:以下参照
親和性
親水コロイド 大きい 有機物(タンパク質・デンプンなど)
疎水コロイド 小さい 無機物(硫黄・水酸化鉄など)

問5

【】に当てはまる用語を答えよ。

疎水コロイドに親水コロイドを加えると、疎水コロイドが親水コロイドに取り込まれ、【1】が起こりにくくなる。このような作用を【2】といい、疎水コロイドを取り囲んでいる親水コロイドを【3】という。
【問5】解答/解説:タップで表示
解答:【1】凝析【2】保護作用【3】保護コロイド

疎水コロイドに親水コロイドを加えると、疎水コロイドが親水コロイドに取り込まれ、結果として凝析が起こりにくくなる。(凝析について詳しくは凝析と塩析を参照)

このような作用を保護作用といい、疎水コロイドを取り囲んでいる親水コロイドを保護コロイドという。

※凝析について詳しくは凝析と塩析を参照

問6

【】に当てはまる用語を答えよ。

電荷
【1】 プラス タンパク質・水酸化鉄・水酸化アルミニウムなど
【2】 マイナス デンプン・硫黄・粘土など
【問6】解答/解説:タップで表示
解答:以下参照
電荷
正コロイド プラス タンパク質・水酸化鉄・水酸化アルミニウムなど
負コロイド マイナス デンプン・硫黄・粘土など

問7

【】に当てはまる用語を答えよ。

コロイド溶液に電圧をかけると、正コロイドが負極に、負コロイドが正極に引き寄せられる。

この現象を【1】という。

【問7】解答/解説:タップで表示
解答:【1】電気泳動

コロイド溶液に電圧をかけると、正コロイドが負極に、負コロイドが正極に引き寄せられる。

この現象を電気泳動という。

問8

【】に当てはまる用語を答えよ。

名称 流動性 状態
【1】 高い 液体
【2】 低い 半固体
【3】 極めて低い 固体
【問8】解答/解説:タップで表示
解答:以下参照
名称 流動性 状態
ゾル 高い 液体
ゲル 低い 半固体
キセロゲル 極めて低い 固体

問9

【】に当てはまる用語を答えよ。

コロイドの代表的な製法として【1】がある。【1】ではまずコロイド溶液を調整した後、それを【2】することで不純物を取り除く。
【問9】解答/解説:タップで表示
解答:【1】凝集法【2】透析

コロイドの代表的な製法として「凝集法」というものがある。
凝集法は「コロイド溶液の調製」「透析」の2段階で行われる。

例)水酸化鉄Fe(OH)3のコロイド溶液の調製

STEP1

コロイド溶液を調製する

沸騰した水に塩化鉄FeCl3を加えると、次のような反応が起こる。

\[
FeCl_{3} + 3H_{2}O → \color{#B40404}{ Fe(OH)_{3} } + 3HCl
\]

これにより、赤褐色のFe(OH)3のコロイド溶液を得ることができる。

STEP2

透析により、不純物を取り除く

STEP1で調製したコロイド溶液には、Fe(OH)3以外の生成物(HCl)から電離したHやClが含まれているため、「透析」という操作を行いそれらの不純物を取り除く。

半透膜(セロハンなど)は、分子やイオンなどの細かい物質は通すが、コロイドのように大きな粒子は通すことができない。

この性質を利用して、不純物としてイオンを含むコロイド溶液からそれを取り除くことができる。

まず、不純物を含むコロイド溶液を半透膜でできた袋に入れ、純水に浸す。

すると、不純物であるイオンは半透膜を通って袋から出ていき、純粋なコロイド粒子だけが袋の中に残る。(不純物とコロイドを分離できた)

問10

【】に当てはまる用語を答えよ。

親水コロイドが多量の電解質によって沈殿する現象を【1】、疎水コロイドが少量の電解質によって沈殿する現象を【2】という。
【問10】解答/解説:タップで表示
解答:【1】塩析【2】凝析
関与するコロイド 電解質の量
塩析 親水コロイド 多い
凝析 疎水コロイド 少ない

※塩析・凝析について詳しくは凝析と塩析を参照

問11

【】に当てはまる用語を答えよ。

コロイド溶液を顕微鏡で観察すると、コロイド粒子が「不規則な運動」をしている。この運動を【1】という。【1】は分散媒を構成している分子が、動き回ることで【2】に衝突し続けていることが原因となって起こる。
【問11】解答/解説:タップで表示
解答:【1】ブラウン運動【2】コロイド粒子

コロイド溶液を顕微鏡で観察すると、コロイド粒子が”不規則な運動”をしているのがよくわかる。

この運動をブラウン運動という。

分散媒を構成している分子(上の図では水分子)が、動き回ることでコロイド粒子に衝突し続けていることが原因と考えられている。

※ブラウン運動について詳しくはブラウン運動とチンダル現象を参照

問12

【】に当てはまる用語を答えよ。

コロイド溶液に横から強い光を当てると、光の通路が明るく光って見える。この現象を【1】という。【1】はコロイド粒子が(他の一般的な粒子に比べて)【2(大きor小さ)】いため光を散乱させることが原因となって起こる。
【問12】解答/解説:タップで表示
解答:【1】チンダル現象【2】大き

コロイド溶液に横から強い光を当てると、光の通路が明るく光って見える。

この現象をチンダル現象という。

この現象はコロイド粒子が(他の一般的な粒子に比べて)大きいため光を散乱させることが原因となって起こる。

※チンダル現象について詳しくはブラウン運動とチンダル現象を参照

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著者プロフィール

・化学のグルメ運営代表
・高校化学講師
・薬剤師
・デザイナー/イラストレーター

数百名の個別指導経験あり(過去生徒合格実績:東京大・京都大・東工大・東北大・筑波大・千葉大・早稲田大・慶應義塾大・東京理科大・上智大・明治大など)
2014年よりwebメディア『化学のグルメ』を運営
公式オンラインストアで販売中の理論化学ドリルシリーズ・有機化学ドリル等を執筆

著者紹介詳細