コロイド(例・種類・大きさ・透析・電気泳動など)

目次

はじめに

【プロ講師解説】このページでは『コロイド(例・種類・大きさ・透析・電気泳動など)』について解説しています。


コロイドとは

  • 直径が10ー9から10ー7m程度の大きさの粒子をコロイドという。
  • コロイドが均一に混ざった溶液をコロイド溶液、コロイド溶液中に入っているコロイド粒子を分散質、コロイド粒子を分散している(溶かしている)物質を分散媒、分散質と分散媒を合わせて分散系という。

コロイドの分類

  • コロイドは「構造」「水との親和性」「表面電荷」「流動性」などにより、細かく分類することができる。

構造による分類

  • 大きな分子がそれ1つでコロイド粒子として存在するものを分子コロイドという。例としてタンパク質やデンプンなどが挙げられる。
  • 小さな分子が多数組み合わさることで形成されるコロイドを会合コロイドという。例としてセッケンやFeCl3などが挙げられる。
  • 分散法でつくられるコロイドを分散コロイドという。例として硫黄や水酸化鉄などが挙げられる。
構造
分子コロイド1つの巨大分子がコロイドとして存在高分子(タンパク質・デンプンなど)
会合コロイド (ミセルコロイド)小さな分子が多数組み合わさることで形成セッケン・FeCl3など
分散コロイド分散法で作られたもの無機物(水酸化鉄など)

水との親和性による分類

  • 水との親和性が大きいコロイドを親水コロイドという。タンパク質やデンプンなどの有機物がこれにあたる。
  • 水との親和性が小さいコロイドを疎水コロイドという。硫黄や水酸化鉄などの無機物が例として挙げられる。
水との親和性
親水コロイド大きい有機物(タンパク質・デンプンなど)
疎水コロイド小さい無機物(硫黄・水酸化鉄など)

保護コロイド

  • 疎水コロイドに親水コロイドを加えると、疎水コロイドが親水コロイドに取り込まれ、結果として凝析が起こりにくくなる。

参考:凝析と塩析

  • このような作用を保護作用といい、疎水コロイドを取り囲んでいる親水コロイドを保護コロイドという。

表面電荷による分類

  • 正の電荷を帯びているコロイドを正コロイド、負の電荷を帯びているコロイドを負コロイドという。
電荷
正コロイドプラスタンパク質・水酸化鉄・水酸化アルミニウムなど
負コロイドマイナスデンプン・硫黄・粘土など

コロイドの電気泳動

  • コロイド溶液に電圧をかけると、正コロイドが負極に、負コロイドが正極に引き寄せられる。
  • この現象をコロイドの電気泳動という。

流動性による分類

  • 流動性をもつ液体状のコロイドをゾル、半固体状のコロイドをゲル、ゲルを乾燥した固体状のコロイドをキセロゲルという。
流動性状態
ゾル高い液体
ゲル低い半固体
キセロゲル極めて低い固体

コロイドの製法

●STEP1
コロイド溶液を調製する。
●STEP2
透析により不純物を取り除く。

  • コロイドの代表的な製法として凝集法がある。凝集法は「コロイド溶液の調製」と「透析」の2段階で行われる。
  • 今回は例として「水酸化鉄Fe(OH)3のコロイド溶液の調製」を使って解説する。
STEP
コロイド溶液を調製する。

沸騰した水に塩化鉄FeCl3を加えると、次のような反応が起こる。

\[ \mathrm{FeCl_{3} + 3H_{2}O → \textcolor{#B40404}{ Fe(OH)_{3} } + 3HCl} \]

これにより、赤褐色のFe(OH)3のコロイド溶液を得ることができる。

STEP
透析により不純物を取り除く。

STEP1で調製したコロイド溶液には、Fe(OH)3以外の生成物(HCl)から電離したHやClが含まれているため、「透析」という操作を行いそれらの不純物を取り除く。
半透膜(セロハンなど)は、分子やイオンなどの細かい物質は通すが、コロイドのように大きな粒子は通すことができない。

この性質を利用して、不純物としてイオンを含むコロイド溶液からそれを取り除くことができる。
まず、不純物を含むコロイド溶液を半透膜でできた袋に入れ、純水に浸す。

すると、不純物であるイオンは半透膜を通って袋から出ていき、純粋なコロイド粒子だけが袋の中に残る。(不純物とコロイドを分離できた)


凝析と塩析

  • 凝析と塩析は、正コロイドと負コロイドの相互作用が関係した性質である。

参考:凝析と塩析


チンダル現象とブラウン運動

  • チンダル現象とブラウン運動は、コロイド粒子の大きさが関係した性質である。

参考:ブラウン運動とチンダル現象


演習問題

化学のグルメでは、高校化学・化学基礎の一問一答問題を公開しています。問題一覧は【スマホで出来る】一問一答(高校化学・化学基礎)でご覧下さい。

問1

直径が10ー9から10ー7m程度の大きさの粒子を【1】という。

解答/解説:タップで表示

解答:【1】コロイド

直径が10ー9から10ー7m程度の大きさの粒子をコロイドという。

問2

コロイドが均一に混ざった溶液を【1】、コロイド溶液中に入っているコロイド粒子を【2】、コロイド粒子を分散している(溶かしている)物質を【3】、分散質と分散媒を合わせて【4】という。

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解答:【1】コロイド溶液【2】分散質【3】分散媒【4】分散系

コロイドが均一に混ざった溶液をコロイド溶液、コロイド溶液中に入っているコロイド粒子を分散質、コロイド粒子を分散している(溶かしている)物質を分散媒、分散質と分散媒を合わせて分散系という。

問3

大きな分子がそれ1つでコロイド粒子として存在するものを【1】という。

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解答:【1】分子コロイド

大きな分子がそれ1つでコロイド粒子として存在するものを分子コロイドという。例としてタンパク質やデンプンなどが挙げられる。

問4

小さな分子が多数組み合わさることで形成されるコロイドを【1】という。

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解答:【1】会合コロイド

小さな分子が多数組み合わさることで形成されるコロイドを会合コロイドという。例としてセッケンやFeCl3などが挙げられる。

問5

分散法でつくられるコロイドを【1】という。

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解答:【1】分散コロイド

分散法でつくられるコロイドを分散コロイドという。例として硫黄や水酸化鉄などが挙げられる。

問6

水との親和性が大きいコロイドを【1】という。

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解答:【1】親水コロイド

水との親和性が大きいコロイドを親水コロイドという。タンパク質やデンプンなどの有機物がこれにあたる。

問7

水との親和性が小さいコロイドを【1】という。

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解答:【1】疎水コロイド

水との親和性が小さいコロイドを疎水コロイドという。硫黄や水酸化鉄などの無機物が例として挙げられる。

問8

疎水コロイドに親水コロイドを加えると、疎水コロイドが親水コロイドに取り込まれ、結果として凝析が起こりにくくなる。このような作用を【1】といい、疎水コロイドを取り囲んでいる親水コロイドを【2】という。

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解答:【1】保護作用【2】保護コロイド

疎水コロイドに親水コロイドを加えると、疎水コロイドが親水コロイドに取り込まれ、結果として凝析が起こりにくくなる。

参考:凝析と塩析

このような作用を保護作用といい、疎水コロイドを取り囲んでいる親水コロイドを保護コロイドという。

問9

正の電荷を帯びているコロイドを【1】、負の電荷を帯びているコロイドを【2】という。

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解答:【1】正コロイド【2】負コロイド

正の電荷を帯びているコロイドを正コロイド、負の電荷を帯びているコロイドを負コロイドという。

問10

コロイド溶液に電圧をかけると、正コロイドが負極に、負コロイドが正極に引き寄せられる。この現象を【1】という。

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解答:【1】電気泳動

コロイド溶液に電圧をかけると、正コロイドが負極に、負コロイドが正極に引き寄せられる。

この現象を電気泳動という。

問11

流動性をもつ液体状のコロイドを【1】、半固体状のコロイドを【2】、ゲルを乾燥した固体状のコロイドを【3】という。

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解答:【1】ゾル【2】ゲル【3】キセロゲル

流動性をもつ液体状のコロイドをゾル、半固体状のコロイドをゲル、ゲルを乾燥した固体状のコロイドをキセロゲルという。

問12

コロイドの代表的な製法として【1】がある。

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解答:【1】凝集法

コロイドの代表的な製法として凝集法がある。

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著者情報

元講師、薬剤師、イラストレーター
数百名の中高生向け指導経験あり(過去生徒合格実績:東工大・東北大・筑波大・千葉大・岡山大・早稲田大・慶應義塾大・東京理科大・上智大・明治大など)。
2014年よりwebメディア『化学のグルメ』を運営
公式オンラインストアで販売中の理論化学ドリルシリーズ・有機化学ドリル等を執筆
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