【プロ講師解説】このページでは『凝析・塩析』について解説しています。解説は高校化学・化学基礎を扱うウェブメディア『化学のグルメ』を通じて6年間大学受験に携わるプロの化学講師が執筆します。

塩析とは

親水コロイドが多量の電解質により沈殿する現象
Point!

親水コロイドは、水中で多くの水分子に支えられて安定化している。(=水和している)

ここに、多量の電解質を加えると…

電解質が電離して生じた陽イオンや陰イオンに(コロイドの安定化に貢献していた)水を奪われて、親水コロイドは不安定となり沈殿する。

このように、親水コロイドが多量の電解質によって沈殿する現象を塩析という。

凝析とは

疎水コロイドが少量の電解質により沈殿する現象
Point!

疎水コロイドはその名の通り水との親和性が小さいコロイドであるため、水による安定化を受けず、コロイド同士で反発し分散している。

この状態で少量の電解質を加えると、電解質が電離して生じた陽イオン(陰イオン)が疎水コロイドの表面の電荷に引きつけられて表面の電荷が打ち消される。

表面の電荷を打ち消された疎水コロイドは、反発する力を失うため分散せずに固まって沈殿する。

このように、疎水コロイドが少量の電解質によって沈殿する現象を凝析という。

塩析と凝析の違い

塩析と凝析の違いを表にまとめておこう。

関与するコロイド 電解質の量
塩析 親水コロイド 多い
凝析 疎水コロイド 少ない

塩析は、水によって安定化しているコロイドから水を引きはがすわけなので、かなりの力が必要。したがって、使う電解質の量は多量になる。

対して、凝析では、電解質を「引きはがすため」に使うのではなく、コロイド同士をつなぐ”接着剤”として用いているので、塩析ほどの量は必要ない。

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著者プロフィール

・化学のグルメ運営代表
・高校化学講師
・薬剤師
・デザイナー/イラストレーター

数百名の個別指導経験あり(過去生徒合格実績:東京大・京都大・東工大・東北大・筑波大・千葉大・早稲田大・慶應義塾大・東京理科大・上智大・明治大など)
2014年よりwebメディア『化学のグルメ』を運営
公式オンラインストアで販売中の理論化学ドリルシリーズ・有機化学ドリル等を執筆

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