はじめに

鉛蓄電池に関する問題は大学入試や定期テストで超頻出にも関わらず、苦手な高校生が多い。このページでは鉛蓄電池の仕組みから各極の反応式、鉛蓄電池が絡んだ計算問題の解き方などを1から丁寧に解説していく。ぜひこの機会に鉛蓄電池をマスターしてライバルと差をつけよう!

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鉛蓄電池の仕組み

鉛蓄電池とは鉛Pb板と酸化鉛PbO2を希H2SO4に浸けて作られる電池のことである。

この電池の仕組みについて、正極と負極に分けて説明していこう。

負極

電池の仕組みを解説!〜イオン化傾向との関わり・正極と負極・電子と電流の向き〜でやったように、先に溶け出して自身がイオンとなり、電子(e)を放出する金属板を負極という。

今回登場する2つの金属板PbとPbO2では、どちらが先に溶け出すのか、つまり負極となるのかを考えてみよう。

PbとPbO2は、溶解するとそれぞれPb2+とPb4+になる。

Pb2+とPb4+は同じ「鉛」がイオンとなったものではあるが、その「安定性」に少し差がある。

Pb2+とPb4+の安定性を比べると、Pb2+の方がより安定になっている。
従って、(イオンがより安定な方が溶けてイオンになりやすいので)鉛蓄電池で先に溶け出す極板、つまり負極は「Pb板」ということになる。

ここからは、次の3STEPに従って負極における反応の流れを説明していこう。

STEP1

Pb板が溶ける

イオン化傾向の大きいPb板が溶け出す。

STEP2

eが銅線を伝わってPbO2板の方へ移動

STEP1でPb板が溶け出すことによって発生したeが、2つの金属板を繋いでいる銅線を伝わって正極であるPbO2板の方へと移動する。

STEP3

発生したPb2+は溶液中のSO42ーとくっつく

STEP1で発生したPb2+は、希H2SO4水溶液中の硫酸イオンSO42ーとくっつき「PbSO4」が生成する。


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正極

電池の仕組みを解説!〜イオン化傾向との関わり・正極と負極・電子と電流の向き〜でやったように、負極から流れてきたeを受け取る金属板のことを正極という。

鉛蓄電池における正極の反応について、次の2STEPに従って説明していこう。

STEP1

負極から流れてきたeをPbO2を構成しているPb4+が受け取る

Pb板から流れてきたeがPbO2板まで到達すると、PbO2板を構成しているPb4+がこれを受け取る。

eを受け取ったPb4+はPb2+となる。

STEP2

Pb2+は溶液中のSO42ーとくっつく

STEP1でできたPb2+が、希H2SO4水溶液中の硫酸イオンSO42ーとくっつき「PbSO4」が生成する。


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各極の反応

負極・正極での反応をまとめておこう。

負極での反応

上で説明したように、負極ではPb板が溶けてPb2+が発生する。

\[
\mathrm{ Pb → Pb^{2+} + 2e^{-} }
\]

Pb2+は溶液中のSO42ーと反応するので、両辺にSO42ーを足すと…

\[
\mathrm{ Pb + SO_{4}^{2-} → PbSO_{4} + 2e^{-} }
\]

これが、鉛蓄電池の負極の反応式である。

正極での反応

正極では、PbO2板が、負極から流れてきたeを受け取る。

\[
\mathrm{ PbO_{2} + 4H^{+} + 2e^{-} → Pb^{2+} + 2H_{2}O }
\]

負極同様、Pb2+は溶液中のSO42ーと反応するので、両辺にSO42ーを足すと…

\[
\mathrm{ PbO_{2} + 4H^{+} + SO_{4}^{2-} + 2e^{-} → PbSO_{4} + 2H_{2}O }
\]

これが、鉛蓄電池の正極の反応式である。

全体の反応

最後に、負極・正極の反応式を使って「鉛蓄電池全体の反応式」を作ってみよう。

鉛蓄電池は二次電池

電子を負極から正極に流して電流を発生させることを「放電」、それとは逆向きに電子を流すことを「充電」という。

また、充電を行って繰り返し使用できる電池のことを「2次電池」、一回しか使うことができない電池ことを「1次電池」という。

今回説明している鉛蓄電池は「2次電池」なので充電可能である。


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鉛蓄電池の計算問題

鉛蓄電池に関する計算問題は入試でもよく出題される。基本的にワンパターンなので解き方を覚えてしまおう。

問題を解く前に、”前準備”として鉛蓄電池の「負極・正極における質量の変化」について説明しておく。

鉛蓄電池の負極・正極での反応式を見ると、負極では「SO4分」、正極では「SO2分」の質量が増加していることが分かる。
従って、(どちらの式もeの係数が2なので)電子2molあたり、負極では96g、正極では64g、質量が増加するんだ。

このことを踏まえて、以下の例題を解いてみよう。

問題

電解液は30%の希H2SO4200ml(密度:1.25g/ml)とする。
この電池を20秒間放電したところ、平均して2.0Aの電流が流れた。以下の問いに答えなさい。

(1)両極での反応を、eを含むイオン反応式で書け。
(2)最初と比べて、放電後のPbO2の質量は何g増加したか。(ファラデー定数はF=9.65×104[C/mol]とする。)
(3)この鉛蓄電池を充電する場合、外部電源の負極はPbとPbO2のどちらにつなげば良いか。

(1)

負極

\[
\mathrm{ Pb + SO_{4}^{2-} → PbSO_{4} + 2e^{-} }
\]

正極

\[
\mathrm{ PbO_{2} + 4H^{+} + SO_{4}^{2-} + 2e^{-} → PbSO_{4} + 2H_{2}O }
\]

(2)

まずは、電子eのmolを求めよう。

\[
\mathrm{ \begin{align}
e^{-}(mol)&=\frac{ [2.0(A)×20(秒)](C) }{ 9.65×10^{4}(C/mol) }\\
&=4.15×10^{-4}
\end{align} }
\]

前準備として説明したように、反応の前後で正極の質量を比較すると…

となっている。これは、電子が2molのときの話なので、今回の数値で求めていく。

比を用いてxを求めると…

\[
2:64=4.15×10^{-4}:x\\
\leftrightarrow x=1.33×10^{-2}(g)
\]

(3)

充電するときは、外部電源の負極は電池の負極に、正極は正極につなぐ。


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