単体

リンの単体には黄リンP4と赤リンPの2種類が存在する。
これら2つは、同じリン元素からできているため「同素体」の関係にあるが、様々な点で違いがある。
まずは、それぞれの特徴をまとめた次の表を見てみよう。
黄リン | 赤リン | |
---|---|---|
化学式 | P4 (分子式) |
P (組成式) |
構造 | ![]() 正四面体 |
![]() 無定形 |
毒性 | あり | なし |
その他特徴 | 自然発火する (水中に保存) 真空中で加熱すると赤リンに |
マッチの箱の横に付いているヤツ |
まずは、化学式に注目。
黄リンはP原子4つから成り立っているので分子式P4で表すのに対し、赤リンは無数のPが集まってできているので組成式Pで表す。
また、毒性についても決定的な違いがあり、黄リンは毒性を示すが、赤リンは示さない。重要な違いなので、よく覚えておこう。
化合物
酸化物「十酸化四リンP4O10」
黄リンや赤リンを空気中で燃焼させると、白色粉末の酸化物が生成する。これが十酸化四リンP4O10である。
十酸化四リンは潮解性があり吸湿性が極めて高いため、中性の乾燥剤として用いられる。
(乾燥剤に関して詳しいことは「目指せ乾燥剤マスター!高校化学で出てくる酸性・中性・塩基性の乾燥剤の一覧や分類・仕組みを徹底解説!!」を確認しよう。)
オキソ酸「リン酸H3PO4」
リンを含むオキソ酸として有名なのは、リン酸H3PO4である。
リン酸は、十酸化四リンに水を加えて加熱すると生じる。
P_{4}O_{10} + 6H_{2}O → 4H_{3}PO_{4}
\]
塩
リン酸を含む塩で有名なのは次の3つ。
リン酸イオン PO43- |
リン酸水素イオン HPO42- |
リン酸二水素イオン H2PO4– |
|
---|---|---|---|
Ca2+ | リン酸カルシウム Ca3(PO4)2 |
リン酸水素カルシウム CaHPO4 |
リン酸二水素カルシウム Ca(H2PO4)2 |
リン酸カルシウムCa3(PO4)2は骨や歯の主成分で、リン酸二水素カルシウムCa(H2PO4)2はCaSO4と混合して肥料などに用いられる。
また、Ca(H2PO4)2とCaSO4の混合物は過リン酸石灰と 呼ばれており、これを作る反応式は以下の通り。
Ca_{3}(PO_{4})_{2} + 2H_{2}SO_{4} → Ca(H_{2}PO_{4})_{2} + 2CaSO_{4}
\]
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