【プロ講師解説】このページでは『銀鏡反応とフェーリング反応(原理や反応式、沈殿、色変化など)』について解説しています。解説は高校化学・化学基礎を扱うウェブメディア『化学のグルメ』を通じて6年間大学受験に携わるプロの化学講師が執筆します。

アルデヒドの還元性

アルデヒドは酸化されてカルボン酸になりやすく、このとき相手の物質を還元する。
つまり、アルデヒドには還元性がある。
この、アルデヒドの還元性を確認する方法として「銀鏡反応」と「フェーリング反応」が存在する。

※アルデヒドについて詳しくはアルデヒド・ケトン(一覧・違い・命名法・製法・反応・性質など)を参照

銀鏡反応

アンモニア性硝酸銀水溶液にアルデヒド(R-CHO)を加えて穏やかに加熱すると、アンモニア性硝酸銀水溶液中に含まれる銀イオンAg+が還元されて銀Agの単体が生成し、鏡のようになる。
この反応を銀鏡反応という。
このとき、アルデヒドは酸化されてカルボン酸となる。

\[
R-CHO+2[Ag(NH_{3})_{2}]^{+}+3OH^{-}→R-COO^{-}+4NH_{3}+2H_{2}O+2Ag
\]

また、アンモニア性硝酸銀水溶液の作り方は次の通り。

硝酸銀水溶液にアンモニア水を加えると、褐色の酸化銀Ag2Oの沈殿を生じる。

\[
2Ag^{+}+2OH^{-}→Ag_{2}O+H_{2}O
\]

さらにアンモニア水を加えると、錯イオンをつくって沈殿が溶け、無色の溶液となる。

\[
Ag_{2}O+4NH_{3}+H_{2}O→2[Ag(NH_{3})_{2}]^{+}+2OH^{-}
\]

この溶液をアンモニア性硝酸銀水溶液という。

※錯イオンについて詳しくは【錯イオン】色・配位数・形・価数・命名法を総まとめを参照
※カルボン酸について詳しくはカルボン酸・エステル(一覧・構造・命名法・製法・反応・性質など)を参照
※酸化数について詳しくは酸化数(求め方・ルール・例外・例題・一覧・演習問題)を参照

フェーリング反応

フェーリング液は銅(Ⅱ)イオンCu2+の錯イオンを含む深青色の塩基性溶液である。

フェーリング液にアルデヒドを加えて穏やかに加熱すると、銅(Ⅱ)イオンが還元されて酸化銅(Ⅰ)Cu2Oの赤色沈殿を生じる。
この反応をフェーリング反応という。

\[
R-CHO+2Cu^{2+}+5OH^{-}→R-COO^{-}+3H_{2}O+Cu_{2}O
\]

フェーリング反応でも銀鏡反応と同様アルデヒドは酸化されてカルボン酸になる。

※カルボン酸について詳しくはカルボン酸・エステル(一覧・構造・命名法・製法・反応・性質など)を参照
※酸化数について詳しくは酸化数(求め方・ルール・例外・例題・一覧・演習問題)を参照

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著者プロフィール

・化学のグルメ運営代表
・高校化学講師
・薬剤師
・デザイナー/イラストレーター

数百名の個別指導経験あり(過去生徒合格実績:東京大・京都大・東工大・東北大・筑波大・千葉大・早稲田大・慶應義塾大・東京理科大・上智大・明治大など)
2014年よりwebメディア『化学のグルメ』を運営
公式オンラインストアで販売中の理論化学ドリルシリーズ・有機化学ドリル等を執筆

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