はじめに

酸化数は入試超頻出事項の1つ。このページではその酸化数について、定義からルール、求め方などについて例題を交えながら1つ1つ丁寧に解説していく。是非この機会に酸化数をマスターしてテストで出てきても困らないようにしておこう!


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酸化数とは

酸化数とは、物質の持つ電子が基準よりも多いか少ないかを表した値である。

酸化された物質は、マイナスの電荷をもつ電子eを失うためプラスに帯電する。電子eを1つ失うと酸化数+1、2つ失うと酸化数+2となる。

対して、還元された物質は、マイナスの電荷をもつ電子eを得るため、マイナスに帯電する。電子eを1つ得ると酸化数−1、2つ得ると酸化数−2となる。


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様々な原子の酸化数

原子の酸化数をどのように決定するのかについて具体的に説明していこう。全て電気陰性度を使って説明するので電気陰性度についてよく復習してから見ることをオススメする。(参考:電気陰性度とは?周期表での傾向から極性との関係、求め方、希ガスの値まで!

単体の酸化数

単体の酸化数は0である。

単体の場合、2つの原子の電気陰性度に差がないため共有電子対は真ん中に存在する。従って、原子は電子eを得ることも失うこともないため、酸化数は0となる。

化合物の酸化数

化合物全体の酸化数は0である。

化合物は異なる原子同士が結合してできており、原子の電気陰性度には当然差がある。今回の化合物HClでは、共有電子対が電気陰性度の大きいClの方に引きつけられており、Clは電子eを得ていると考えることができる。

しかし、化合物全体で電子eの総数は変化していないため、化合物全体の酸化数は0となる。

単原子イオンの酸化数

単原子イオンの酸化数はそのイオンの電荷と等しくなる。

これは酸化数の定義が「電子eが基準より多いか少ないかを表した値」であることを考えると当然だね。

多原子イオンの酸化数

多原子イオンの酸化数については単原子イオンの酸化数と同様の考え方をすればいい。

構成する原子の酸化数の総和がイオンの価数と一致する。


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水素H原子の酸化数

水素H原子は、他の非金属元素と比べると電気陰性度が小さいため、共有電子対が結合している相手の方に引きつけられ、酸化数は+1となる。

ただし、金属元素と比べると電気陰性度が大きいため、金属の水素化物の場合は共有電子対が水素H原子の方に引きつけられて酸化数は−1となる。

酸素O原子の酸化数

酸素O原子は電気陰性度が大きく、2組の共有電子対を自分の方に引きつけるため、酸化数は−2となる。

ただし、過酸化水素H2O2のような過酸化物(-O-O-構造をもつ)の場合、(片方の電子対しか引きつけないため)酸化数は−1となるので注意しよう。

アルカリ金属・二族元素の酸化数

アルカリ金属(水素以外の一族元素)や二族元素は電気陰性度が小さく、共有電子対が結合している相手の方に引きつけられているため、酸化数はそれぞれ+1、+2となる。

ハロゲンの酸化数

ハロゲンは電気陰性度が大きく、共有電子対を自身の方に引きつけるため、酸化数は−1となる。


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酸化数の求め方・ルール

ここからは、実際の入試や定期テストでよく見られる「化合物中のある元素の酸化数を求める問題」の解き方を説明していこう。

酸化数は上のルールに基づいて決定していく。ここでは、二酸化炭素CO2を例に説明していこう。

まず、CO2は化合物なので、ベースのルールのRULE2よりCO2全体の酸化数は0である。

次に、プラスのルールのRULE3より、O原子の酸化数を−2とする。(今回はOが2つあるので(−2)×2になる)

以上より、化合物全体の酸化数が0、O原子の酸化数の合計が−4なので、C原子の酸化数は「+4」となる。


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例題

問題

次の化合物中で、カッコ内の原子の酸化数を求めなさい。
(1)H2O(O)
(2)CO2(C)
(3)NaHCO3(C)
(4)H2SO4(S)
(5)SO42-(S)

解答・解説

(1)H2O(O)

先ほどまとめた優先順位を確認しよう。

1.アルカリ金属=+1、二族元素=+2、ハロゲン=ー1
2.水素原子=+1
3.酸素原子=ー2
4.硫黄原子=−2

まず、H原子の酸化数が決まるね。
+1が2コで+2だ。

でもって、「酸化数決定のルール1」より分子全体の酸化数は0だから、Oの酸化数は−2となる。

注意

「酸化数決定のルール2」で酸素の酸化数を「ー2」と書いたが、最初から「酸素の酸化数はー2だ!」と決めつけてはいけない。(H2Oの場合はそれでもよかったが。)

例えばH2O2

こいつのOの酸化数を求めたいとしよう。

優先順位より、まずはHの酸化数を「+1」と決める。
そうすると、Hは2コあるから合わせて「+2」だね。

次にOの酸化数を求める。
ここでルール通り「ー2」にしてしまうと、「ー2」が2つで「ー4」となり、分子全体の酸化数が「0」にならない。

よってここでは優先度が高いHにOが負けて、O1つの酸化数が「ー1」となる。

(2)CO2(C)

先ほどまとめた優先順位を確認しよう。

1.アルカリ金属=+1、二族元素=+2、ハロゲン=ー1
2.水素原子=+1
3.酸素原子=ー2
4.硫黄原子=−2

まず、優先順位よりOの酸化数が「ー2」。

今回は2コあるから合わせて「ー4」だね。

それで、分子全体の酸化数が「0」であることを考慮して、
Cの酸化数は「+4」となる。

(3)NaHCO3(C)

先ほどまとめた優先順位を確認しよう。

1.アルカリ金属=+1、二族元素=+2、ハロゲン=ー1
2.水素原子=+1
3.酸素原子=ー2
4.硫黄原子=−2

まず、優先順位よりアルカリ金属であるNaの酸化数が「+1」と決まる。

次に優先順位の高いHの酸化数が「+1」。

Oの酸化数が「ー2」。(3コあることに注意)

最後に、化合物全体の酸化数が「0」になることを考慮して、Cの酸化数が「+4」と決まる。

(4)H2SO4(S)

先ほどまとめた優先順位を確認しよう。

1.アルカリ金属=+1、二族元素=+2、ハロゲン=ー1
2.水素原子=+1
3.酸素原子=ー2
4.硫黄原子=−2

優先順位より、まずHの酸化数が「+1」と決まる。

毎度のことながら、2コあることに注意ね。

次に、Oの酸化数が「ー2」。

でもって、化合物全体の酸化数が「0」であることを考慮すると、Sの酸化数は「+6」となる。

(5)SO42-(S)

先ほどまとめた優先順位を確認しよう。

1.アルカリ金属=+1、二族元素=+2、ハロゲン=ー1
2.水素原子=+1
3.酸素原子=ー2
4.硫黄原子=−2

優先順位より、まずOの酸化数が「ー2」と決まる。

「酸化数決定のルール1」より、イオンの電荷である「ー2」がイオン全体の酸化数になるはずなので、Sの酸化数は「+6」だ。

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演習問題(酸化数の求め方)

 問1

NO2中の窒素原子Nの酸化数を求めよ。

【問1】解答/解説:タップで表示
解答:+4
1.アルカリ金属=+1、二族元素=+2、ハロゲン=ー1
2.水素原子=+1
3.酸素原子=ー2
4.硫黄原子=−2

上の酸化数を求める際のルールに基づいて考えると、酸素原子2つ分の酸化数は(−2×2をして)「−4」であることがわかる。
分子全体の酸化数は「0」でなければならないので窒素原子の酸化数は「+4」となる。

 問2

CH4中の炭素原子Cの酸化数を求めよ。

【問2】解答/解説:タップで表示
解答:ー4
1.アルカリ金属=+1、二族元素=+2、ハロゲン=ー1
2.水素原子=+1
3.酸素原子=ー2
4.硫黄原子=−2

上の酸化数を求める際のルールに基づいて考えると、水素原子4つ分の酸化数は(+1×4をして)「+4」であることがわかる。
分子全体の酸化数は「0」でなければならないので炭素原子の酸化数は「−4」となる。

 問3

CH3OH中の炭素原子Cの酸化数を求めよ。

【問3】解答/解説:タップで表示
解答:ー2
1.アルカリ金属=+1、二族元素=+2、ハロゲン=ー1
2.水素原子=+1
3.酸素原子=ー2
4.硫黄原子=−2

上の酸化数を求める際のルールに基づいて考えると、水素原子4つ分の酸化数は(+1×4をして)「+4」、酸素原子1つ分の酸化数は「−2」であることがわかる。
分子全体の酸化数は「0」でなければならないので炭素原子の酸化数は「−2」となる。

 問4

H2O2中の酸素原子Oの酸化数を求めよ。

【問4】解答/解説:タップで表示
解答:ー1
1.アルカリ金属=+1、二族元素=+2、ハロゲン=ー1
2.水素原子=+1
3.酸素原子=ー2
4.硫黄原子=−2

上の酸化数を求める際のルールに基づいて考えると、水素原子2つ分の酸化数は(+1×2をして)「+2」である。酸素原子1つの酸化数をルール通りの酸化数「−2」にしたい所ではあるが、H2O2中に酸素原子は2つあるため1つの酸化数が−2だと−2×2で「−4」となり、これでは分子全体の酸化数が0にならない。従って、H2O2中の酸素原子1つの酸化数は「−1」となる。(ようするに、酸化数決定の優先順位においてH原子の方が優先度が上なのでO原子側が妥協するということだね!)

 問5

CO32-中の炭素原子Cの酸化数を求めよ。

【問5】解答/解説:タップで表示
解答:+4
1.アルカリ金属=+1、二族元素=+2、ハロゲン=ー1
2.水素原子=+1
3.酸素原子=ー2
4.硫黄原子=−2

上の酸化数を求める際のルールに基づいて考えると、酸素原子3つ分の酸化数は(−2×3をして)「−6」である。イオン全体の酸化数はイオンの価数と等しくなるので今回の全体の酸化数は「−2」になるはずである。従って、(酸素原子3つ分の酸化数−6と合わせて全体の酸化数が−2になるように)炭素の酸化数を求めると「+4」となる。

 問6

HCO3中の炭素原子Cの酸化数を求めよ。

【問6】解答/解説:タップで表示
解答:+4
1.アルカリ金属=+1、二族元素=+2、ハロゲン=ー1
2.水素原子=+1
3.酸素原子=ー2
4.硫黄原子=−2

上の酸化数を求める際のルールに基づいて考えると、水素原子1つの酸化数は「+1」、酸素原子3つ分の酸化数は(−2×3をして)「−6」である。イオン全体の酸化数はイオンの価数と等しくなるので今回の全体の酸化数は「−1」になるはずである。従って、(水素1つ分の酸化数+1、酸素原子3つ分の酸化数−6と合わせて全体の酸化数が−1になるように)炭素の酸化数を求めると「+4」となる。


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