はじめに

入試頻出項目である「沸点上昇と蒸気圧降下」。言葉は知っていても、グラフと絡めてきちんと理解できている人は意外と少ない。このページでは沸点上昇と蒸気圧降下それぞれの定義からこの現象が起こる理由、典型的な計算問題の解き方まで一つ一つ丁寧に解説していく。是非この機会に「沸点上昇&蒸気圧マスター」を目指そう!


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沸点上昇とは

純溶媒に溶質を溶かすと、気体に変わる溶媒分子数が減少する。

つまり、沸点が上がることになり、これを沸点上昇という。

沸点上昇のグラフ

水の状態図は次の通り。

水にブドウ糖などの溶質を溶解させると次のようになる。

グラフを見ると、沸点は水よりもブドウ糖水溶液の方が高くなっていることがわかるね。

PLUS+

沸点が上がる理由

沸点とは蒸気圧が外圧(大気圧)を上回る温度である。溶質があることで蒸気圧が下がるので(蒸気圧降下)、蒸気圧が外圧以上になるためにはより多くの加熱が必要になる。その結果沸点が上昇する。

沸点上昇の公式

沸点上昇の公式

ΔTb = Kb・m

ΔTb:沸点上昇度
Kb:モル沸点上昇(K・kg/mol)(定数:溶媒に固有)
m:質量モル濃度(mol/kg)

Point!

上の公式は沸点上昇の計算問題を解く上で必要なので覚えよう。

ΔTbは沸点上昇度といい、モル沸点上昇Kb(溶媒によって決まる値)と質量モル濃度をかけたものである。

それではこの公式を使って沸点上昇の計算問題を解いていこう。

沸点上昇の計算問題

入試で頻出の沸点上昇の計算問題の解き方を1つずつ確認していこう。

スクロース(ショ糖)の沸点上昇度を求める問題

問題

質量モル濃度が0.1(mol/kg)であるスクロース水溶液の沸点上昇度はいくつか。ただし、水のモル沸点上昇は0.52(K・kg/mol)とする。

先ほど紹介した沸点上昇の公式を用いると…

\[
\begin{align} ΔT_{b}&=K_{b}・m \\
&= 0.52×0.10\\
&= 0.052 \end{align}
\]

スクロース(ショ糖)の沸点を求める問題

問題

スクロースC12H22O1168.4gを400gの水に溶かしてできたスクロース水溶液の沸点は何℃か。ただし、水のモル沸点上昇は0.52(K・kg/mol)で、原子量はH=1,C=12、O=16とする。

これも、上で示した沸点上昇の公式を用いて式をたてる。

\[
\begin{align} ΔT_{b}&=K_{b}・m \\
&= 0.52×\frac{ \frac{ 68.4 }{ 342 } }{ \frac{ 400 }{ 1000 } }\\
&= 0.26 \end{align}
\]

よって、沸点は100.26(℃)となる。

演習問題

必要であれば以下の値を用いて良い。
水のモル沸点上昇Kb=0.52(K・kg/mol)
原子量:H=1.00、C=12.0、N=14.0、0=16.0、Na=23.0、Cl=35.5、Ca=40.0、Ba=137

問1

スクロースC12H22O1168.4gを200gの水に溶かしてできた水溶液の沸点は何℃か。
【問1】解答/解説:タップで表示
解答:100.52℃
\[
\begin{align} ΔT_{b}&=K_{b}・m \\
&= 0.52×\frac{ \frac{ 68.4 }{ 342 } }{ \frac{ 200 }{ 1000 } }\\
&= 0.52 \end{align}
\]

よって沸点は100.52℃

問2

グルコースC6H12O690gを200gの水に溶かしてできた水溶液の沸点は何℃か。
【問2】解答/解説:タップで表示
解答:101.3℃
\[
\begin{align} ΔT_{b}&=K_{b}・m \\
&= 0.52×\frac{ \frac{ 90 }{ 180 } }{ \frac{ 200 }{ 1000 } }\\
&= 1.3 \end{align}
\]

よって沸点は101.3℃

問3

尿素CO(NH2)212gを400gの水に溶かしてできた水溶液の沸点は何℃か。
【問3】解答/解説:タップで表示
解答:100.26℃
\[
\begin{align} ΔT_{b}&=K_{b}・m \\
&= 0.52×\frac{ \frac{ 12 }{ 60 } }{ \frac{ 400 }{ 1000 } }\\
&= 0.26 \end{align}
\]

よって沸点は100.26℃

問4

ある非電解質3.0gを測りとり100gの水に溶かした。水溶液が100.26℃で沸騰したとすると、この非電解質の分子量はいくつと考えられるか。
【問4】解答/解説:タップで表示
解答:60

沸点が100.26℃ということは沸点上昇度は0.26なので、分子量x(g/mol)とおくとを次のような式をたてることができる。

\[
\begin{align} &ΔT_{b}=K_{b}・m \\
↔︎&0.26= 0.52×\frac{ \frac{ 3.0 }{ x } }{ \frac{ 100 }{ 1000 } }\\
↔︎&x= 60 \end{align}
\]

問5

ある非電解質6.0gを測りとり100gの水に溶かした。水溶液が101.04℃で沸騰したとすると、この非電解質の分子量はいくつと考えられるか。
【問5】解答/解説:タップで表示
解答:30

沸点が10.26℃ということは沸点上昇度は0.26なので、分子量x(g/mol)とおくとを次のような式をたてることができる。

\[
\begin{align} &ΔT_{b}=K_{b}・m \\
↔︎&1.04= 0.52×\frac{ \frac{ 6.0 }{ x } }{ \frac{ 100 }{ 1000 } }\\
↔︎&x= 30 \end{align}
\]

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