【プロ講師解説】このページでは『気体の溶解度(ヘンリーの法則を使った計算問題の解き方や体積や圧力との関係など)』について解説しています。解説は高校化学・化学基礎を扱うウェブメディア『化学のグルメ』を通じて6年間大学受験に携わるプロの化学講師が執筆します。

気体の溶解度

温度(高) ・ 圧力(小) → 溶解度(小)
Point!

気体の溶解度は温度が高いほど、圧力が小さいほど低くなる。

ヘンリーの法則

温度が一定のとき、気体の溶解度はその気体の圧力に比例する。これをヘンリーの法則という。

ヘンリーの法則は、水への溶解度が小さい(=水との反応性が小さい)気体において成立する。(アンモニアNH3や塩化水素HClなど水に溶けやすい気体には適用不可)

気体の溶解度計算(ヘンリーの法則を使った計算)

1種類の気体を溶解させるパターン

問題

0℃で酸素の圧力を2.0×105Paにした。このとき2.0Lの水に溶ける酸素は何Lか。ただし、酸素は0℃、1.0×105Paにおいて、水1.0Lに4.9×10-2L溶けるものとする。

ヘンリーの法則より、気体の溶ける量は圧力に比例する。また、当然水量にも比例する。
したがって、この問題は次のような式を使って解くことができる。

基準の量 × 圧力比 × 水量比
Point!
\[
4.9×10^{-2}(L)×\color{#3ADF00}{ \frac{ 2.0×10^{5}(Pa) }{ 1.0×10^{5}(Pa) }}× \color{#01DFD7}{\frac{ 2.0(L) }{ 1.0(L) }}\\
≒0.20(L)
\]

2種類の気体を溶解させるパターン

問題

酸素と窒素が1:4の体積比で混合した標準状態(0℃、1.0×105Pa)の空気がある。このとき、以下の問いに答えなさい。ただし、0℃、1.0×105Paのもとで1.0Lの水に窒素は23mL、酸素は49mL溶けるものとする。

(1)この空気と接している水2.0Lに溶解している窒素の体積(mL)を求めよ。
(2)この空気と接している水3.0Lに溶解している酸素の物質量(mol)を求めよ。
(3)この空気と接している水10Lに溶解している窒素と酸素の質量比(N2/O2)を求めよ。

(1)

分圧・全圧・モル分率にある「分圧=全圧×モル分率」の公式より、窒素の分圧は次のようになる。

\[
1.0×10^{5}×\frac{ 4 }{ 5 }
\]

したがって、次のような式をたてることができる。

\[
23(mL)×\color{#3ADF00}{ \frac{ 1.0×10^{5}(Pa)×\frac{ 4 }{ 5 } }{ 1.0×10^{5}(Pa) }}× \color{#01DFD7}{\frac{ 2.0(L) }{ 1.0(L) }}\\
≒37(mL)
\]

(2)
酸素の分圧を上と同様に求めると…

\[
1.0×10^{5}×\frac{ 1 }{ 5 }
\]

となる。
これを用いて式をたてると…

\[
\frac{ 49(mL)×\color{#3ADF00}{ \frac{ 1.0×10^{5}(Pa)×\frac{ 1 }{ 5 } }{ 1.0×10^{5}(Pa) }}× \color{#01DFD7}{\frac{ 3.0(L) }{ 1.0(L) }}}{ 22400(mL/mol) }\\
≒1.3×10^{-3}(mol)
\]

(3)
分母がO2のg、分子がN2のgになるように単位を揃えて約分すれば良い。

\[
\frac{w_{N_{2}}(g)}{w_{O_{2}}(g)}\\
=\frac{
\frac{ 23(mL)×\color{#3ADF00}{ \frac{ 1.0×10^{5}(Pa)×\frac{ 4 }{ 5 } }{ 1.0×10^{5}(Pa) }}× \color{#01DFD7}{\frac{ 10(L) }{ 1.0(L) }}}{ 22400(mL/mol) }×28(g/mol) }
{
\frac{ 49(mL)×\color{#3ADF00}{ \frac{ 1.0×10^{5}(Pa)×\frac{ 1 }{ 5 } }{ 1.0×10^{5}(Pa) }}× \color{#01DFD7}{\frac{ 10(L) }{ 1.0(L) }}}{ 22400(mL/mol) }×32(g/mol) }\\
≒1.6
\]

問題演習

問1

【】に当てはまる用語を答えよ。

気体の溶解度は【1(高or低)】温・【2(高or低)】圧で大きくなる。
【問1】解答/解説:タップで表示
解答:【1】低【2】高

気体は低温・高圧条件下で水によく溶ける。

問2

【】に当てはまる用語を答えよ。

温度が一定のとき、気体の溶解度はその気体の圧力に比例する。これを【1】の法則という。【1】の法則は、水への溶解度が【2(大きor小さ)】い気体において成り立つ。したがって、NH3など水によく溶ける気体には当てはま【3(るorらない)】。
【問2】解答/解説:タップで表示
解答:【1】ヘンリー【2】小さ【3】らない

温度が一定のとき、気体の溶解度はその気体の圧力に比例する。これをヘンリーの法則という。

ヘンリーの法則は、水への溶解度が小さい(=水との反応性が小さい)気体において成立する。(アンモニアNH3や塩化水素HClなど水に溶けやすい気体には適用不可)

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著者プロフィール

・化学のグルメ運営代表
・高校化学講師
・薬剤師
・デザイナー/イラストレーター

数百名の個別指導経験あり(過去生徒合格実績:東京大・京都大・東工大・東北大・筑波大・千葉大・早稲田大・慶應義塾大・東京理科大・上智大・明治大など)
2014年よりwebメディア『化学のグルメ』を運営
公式オンラインストアで販売中の理論化学ドリルシリーズ・有機化学ドリル等を執筆

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