【塩化ナトリウム型構造】イオン結晶の配位数・半径・限界半径比まとめ

目次

はじめに

【プロ講師解説】このページでは『【塩化ナトリウム型構造】イオン結晶の配位数・半径・限界半径比まとめ』について解説しています。


塩化ナトリウム型構造とは

  • 次のような構造をもつイオン結晶を塩化ナトリウム型構造(NaCl型構造)という。

塩化ナトリウム型構造に含まれる陽イオン・陰イオンの数

  • 塩化ナトリウム型構造(NaCl型構造)に含まれる陽イオン、陰イオンの数を数える。

ナトリウムイオンNa

  • まずは、塩化ナトリウム型構造(NaCl型構造)に含まれるNa+を数える。
  • 塩化ナトリウム型構造(NaCl型構造)に含まれるNa+のうち、格子の各“辺”にあるものは、Na+を4分割した状態になっている。
  • 4分割(1/4)したものが辺の数分=12個あるので…

\[
\frac{ 1 }{ 4 }×12=3
\]

  • 辺にあるNa+の数は合わせて3個である。また、塩化ナトリウム型構造(NaCl型構造)に含まれるNa+のうち、格子の中心にあるものは丸々1個である。
  • 以上より、塩化ナトリウム型構造(NaCl型構造)に含まれるNa+の数は4個である。

\[
3+1=4
\]

塩化物イオンCl

  • 次に、塩化ナトリウム型構造(NaCl型構造)に含まれるClを数える。
  • 塩化ナトリウム型構造(NaCl型構造)に含まれるClのうち、格子の各頂点にあるものはClを8分割した状態になっている。
  • したがって、8分割(1/8)したものが頂点の数分=8個あるので…

\[
\frac{ 1 }{ 8 }×8=1
\]

  • 頂点にあるClの数は合わせて1個である。
  • 塩化ナトリウム型構造(NaCl型構造)に含まれるClのうち、各“面”の中心にあるものは、Clを2分割したものになっている。
  • したがって、2分割(1/2)したものが面の数分=6個あるため…

\[
\frac{ 1 }{ 2 }×6=3
\]

  • 面の中心にあるClの数は合わせて3個である。
  • 以上より、塩化ナトリウム型構造(NaCl型構造)に含まれるClの数は4個である。

\[
1+3=4
\]


塩化ナトリウム型構造の配位数

  • 塩化ナトリウム型構造(NaCl型構造)では、中心のNa+は周りの6個のClと接しており、同様にClも周りの6個のNa+と接している。
  • したがって、塩化ナトリウム型構造(NaCl型構造)の各イオンの配位数は6である。

塩化ナトリウム型構造のイオン半径と単位格子一辺の長さとの関係

  • Na+・Clのイオン半径をそれぞれrNa+・rCl、単位格子一辺の長さをaとし、塩化ナトリウム型構造(NaCl型構造)の面の部分に注目すると…

\[
\mathrm{a=2(r_{Na^{+} }+r_{Cl^{-}})}
\]

  • イオン半径と単位格子一辺の長さの間にこのような関係があることがわかる。

塩化ナトリウム型構造の限界半径比

  • 塩化ナトリウム型構造(NaCl型構造)の限界イオン半径比は0.41〜0.73である。

参考:限界イオン半径比(定義・求め方・配位数との関係など)


NaCl型構造まとめ

この『【塩化ナトリウム型構造】イオン結晶の配位数・半径・限界半径比まとめ』のページで解説した内容をまとめる。

  • 塩化ナトリウム型構造(NaCl型構造)に含まれるNa+の数は4個である。
  • 塩化ナトリウム型構造(NaCl型構造)に含まれるClの数は4個である。
  • 塩化ナトリウム型構造(NaCl型構造)の各イオンの配位数は6である。
  • イオン半径と単位格子一辺の長さの間には次の関係がある。
    \[ \mathrm{a=2(r_{Na^{+} }+r_{Cl^{-}})} \]
  • 塩化ナトリウム型構造(NaCl型構造)の限界イオン半径比は0.41〜0.73である。

演習問題

化学のグルメでは、高校化学・化学基礎の一問一答問題を公開しています。問題一覧は【スマホで出来る】一問一答(高校化学・化学基礎)でご覧下さい。

問1

塩化ナトリウム型構造(NaCl型構造)に含まれるNa+の数は【1】個である。

解答/解説:タップで表示

解答:【1】4

塩化ナトリウム型構造(NaCl型構造)に含まれるNa+のうち、格子の各“辺”にあるものは、Na+を4分割した状態になっている。

4分割(1/4)したものが辺の数分=12個あるので…

\[
\frac{ 1 }{ 4 }×12=3
\]

辺にあるNa+の数は合わせて3個である。また、塩化ナトリウム型構造(NaCl型構造)に含まれるNa+のうち、格子の中心にあるものは丸々1個である。

以上より、塩化ナトリウム型構造(NaCl型構造)に含まれるNa+の数は4個である。

\[
3+1=4
\]

問2

塩化ナトリウム型構造(NaCl型構造)に含まれるClの数は【1】個である。

解答/解説:タップで表示

解答:【1】4

塩化ナトリウム型構造(NaCl型構造)に含まれるClのうち、格子の各頂点にあるものはClを8分割した状態になっている。

したがって、8分割(1/8)したものが頂点の数分=8個あるので…

\[
\frac{ 1 }{ 8 }×8=1
\]

頂点にあるClの数は合わせて1個である。

塩化ナトリウム型構造(NaCl型構造)に含まれるClのうち、各“面”の中心にあるものは、Clを2分割したものになっている。

したがって、2分割(1/2)したものが面の数分=6個あるので…

\[
\frac{ 1 }{ 2 }×6=3
\]

面の中心にあるClの数は合わせて3個である。

以上より、塩化ナトリウム型構造(NaCl型構造)に含まれるClの数は4個である。

\[
1+3=4
\]

問3

塩化ナトリウム型構造(NaCl型構造)の各イオンの配位数は【1】である。

解答/解説:タップで表示

解答:【1】6

塩化ナトリウム型構造(NaCl型構造)では、中心のNa+は周りの6個のClと接しており、同様にClも周りの6個のNa+と接している。

したがって、塩化ナトリウム型構造(NaCl型構造)の各イオンの配位数は6である。

問4

イオン半径rと単位格子一辺の長さaの間には次の関係がある。
\[ \mathrm{a=【1】(r_{Na^{+} }+r_{Cl^{-}}) }\]

解答/解説:タップで表示

解答:【1】2

Na+・Clのイオン半径をそれぞれrNa+・rCl、単位格子一辺の長さをaとし、塩化ナトリウム型構造(NaCl型構造)の面の部分に注目すると…

問5

塩化ナトリウム型構造(NaCl型構造)の限界イオン半径比は0.41〜【1】である。

解答/解説:タップで表示

解答:【1】0.73

塩化ナトリウム型構造(NaCl型構造)の限界イオン半径比は0.41〜0.73である。

参考:限界イオン半径比(定義・求め方・配位数との関係など)

【高校化学の計算ドリル】大好評発売中!

高校化学・化学基礎の計算問題が苦手な人に向けた計算ドリルを発売しました。豊富な問題数で、入試頻出の計算問題の解き方を身につけることができます。

著者情報

元講師、薬剤師、イラストレーター
数百名の中高生向け指導経験あり(過去生徒合格実績:東工大・東北大・筑波大・千葉大・岡山大・早稲田大・慶應義塾大・東京理科大・上智大・明治大など)。
2014年よりwebメディア『化学のグルメ』を運営
公式オンラインストアで販売中の理論化学ドリルシリーズ・有機化学ドリル等を執筆
気に入ったらシェアしてね!
目次