はじめに

カルボン酸・エステルは大学入試超頻出事項の1つ。このページではカルボン酸・エステルについて、定義から構造、一覧、性質、製法、各種反応を一から丁寧に解説していく。ぜひこの機会にカルボン酸・エステルをマスターして他の受験生と差をつけよう!


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カルボン酸とは

カルボン酸とはカルボキシ基(-COOH)をもつ化合物である。

カルボン酸一覧

分類 名称 構造式
飽和脂肪酸 ギ酸
酢酸
プロピオン酸
不飽和脂肪酸 アクリル酸
ジカルボン酸 シュウ酸
マレイン酸
フマル酸
アジピン酸
芳香族カルボン酸 安息香酸
フタル酸
テレフタル酸
ヒドロキシ酸 乳酸
リンゴ酸

カルボン酸は古来より知られていたものが多く、したがって慣用名で呼ばれることが多い。上記のものはいずれも重要なカルボン酸なので名前と構造式を対応させて必ず覚えておこう。

鎖式炭化水素のH1つをカルボキシ基で置換したカルボン酸を脂肪酸という。脂肪酸のうち、炭化水素基が単結合のみのものを飽和脂肪酸、二重結合などを含むものを不飽和脂肪酸という。

また、カルボキシ基を2つもつものをジカルボン酸、ベンゼンのH原子をカルボキシ基で置換したものを芳香族カルボン酸、ヒドロキシ基をもつカルボン酸をヒドロキシ酸という。

カルボン酸についたカルボキシ基の数をそのカルボン酸の価数という。

カルボン酸の製法

カルボン酸の製法はそれぞれによって異なる。(一価のカルボン酸は以下の様に第1級アルコールの酸化によって得られる)

Point!

第一級アルコールを酸化すると、一段階目でアルデヒドが、二段階目でカルボン酸が生成する。

カルボン酸の性質

・炭化水素部分が小さければ、水に溶けて酸性を示す
・分子間で水素結合を形成する(異性体であるエステルに比べて沸点が高い)
・ギ酸は還元性がある
Point!

カルボン酸は、炭化水素部分が小さければ水に溶けて酸性を示す。
また、分子間で水素結合を形成するので結合が切れにくく、異性体であるエステルに比べて沸点が高い。

カルボン酸の中で「ギ酸HCOOH」だけは(アルデヒド基があるため)還元性をもつ。

カルボン酸の反応①(中和反応)

上で説明したように、カルボン酸は酸性なので塩基と中和反応を起こす。

\[
R-COOH+NaHCO_{3}→R-COONa+\underbrace{ CO_{2}+H_{2}O }_{ H_{2}CO_{3} }
\]

ちなみに、カルボン酸の酸としての強さは以下の通りである。

\[
HCl>\underbrace{ R-SO_{3}H }_{ スルホン酸 }>\underbrace{ R-COOH }_{ カルボン酸 }>H_{2}CO_{3}>フェノール
\]

カルボン酸の反応②(エステル化)

Point!

カルボン酸は、アルコールと反応しエステル結合を形成する。
例として「酢酸とエタノールによるエステル形成反応」を確認しよう。

カルボン酸の反応③(脱水反応)

Point!

カルボン酸2分子間で脱水が起こると「酸無水物」が形成される。(カルボン酸は比較的安定した物質なのでよくある硫酸による脱水は不可。十酸化四リンP4O10+加熱などの特別な処理が必要になる)

例として酢酸の脱水、マレイン酸の脱水を確認しよう。

PLUS+

マレイン酸の異性体「フマル酸」はトランス形なので加熱しても脱水しない。

カルボキシ基が離れているのでうまく脱水できないんだね。

カルボン酸の反応④(脱炭酸反応)

カルボン酸の脱炭酸反応(炭酸イオンCO32-が抜けるような反応)によって、アルカンケトンが生成する。

メタンやアセトンを実験室で生成する次の反応はこのカルボン酸の脱炭酸反応である。

メタンの製法

酢酸ナトリウムCH3COONaに水酸化ナトリウムNaOHを加えて加熱する。

\[
CH_{3}COONa+NaOH→\underbrace{ CH_{4} }_{ メタン }+Na_{2}CO_{3}
\]

アセトンの製法

酢酸カルシウムを乾留する。

※乾留とは空気を遮断して加熱すること。生成物のアセトンの蒸気が引火しやすいので空気(酸素)を遮断した状態で加熱する必要がある。

エステルとは

エステルとは分子内にエステル結合(-COO-)をもつ化合物である。

エステルの命名法

エステルの命名法は至って簡単。ここをHで置き換えた「カルボン酸」の名前の後にR’(炭化水素基)の名称をつけるだけだ。例えば、上でエステルの例として挙げたこちらは…

COOに続いているメチル基CH3をHに変えてできるカルボン酸が“酢酸”なので「酢酸メチル」となる。

エステルの製法

高校化学で覚えておきたいエステルの製法には、酸触媒を使った合成法、カルボン酸無水物を使った合成法、アルケンやアルキンにカルボン酸を付加する方法の3種類存在する。

酸触媒を使った合成法

Point!

カルボン酸をアルコールと共に濃硫酸を触媒として加熱するとエステルが生じる。
例として「酢酸とエタノールによるエステル形成反応」を確認しよう。

PLUS+

この合成法の反応機構をざっくりと紹介しておく。(覚える必要はなし)

この反応は可逆的であり、したがって、出来るだけ平衡を右に移動させる(多くのエステルを得る)ためにはH2Oを少なくする必要がある。(ルシャトリエの原理)そこで触媒として濃硫酸が用いられている。

カルボン酸無水物を使った合成法

無水酢酸をアルコールと反応させるとエステルが生じる。

この反応は、エステル結合とともにアセチル基(COCH3)も生成しているので「アセチル化」と捉えることもできるね。

(エステルの製法というより)「ヒドロキシ基-OHの検出反応」として知られているので一応頭に入れておくようにしよう。

PLUS+

この合成法の反応機構も紹介。(覚える必要はなし)

この反応は不可逆的であり、H2Oは生じない。

アルケンやアルキンにカルボン酸を付加する方法

アルケンやアルキンにカルボン酸を付加するとエステルが生じる。

例としてエチレンと酢酸から酢酸エチルができる反応を確認しよう。

PLUS+

次のように考えるとエステルができるのに納得できるはず。

また、この考え方は「カルボン酸無水物を使った合成法」でも適応できる。

カルボン酸から先にH2Oを抜くか、あとで抜くかの違いということだね。

エステルの性質

・中性
・水に溶けにくく、有機溶媒に溶けやすい
・芳香性をもつ
・ギ酸エステルは還元性をもつ
Point!

エステルは(異性体であるカルボン酸と異なり)中性である。
また、ギ酸エステルはカルボン酸のところで紹介したギ酸と同様、アルデヒド基があるので還元性を示す。

エステルの反応

酸触媒を使った加水分解

Point!

エステルを加水分解するとカルボン酸とアルコールが生じる。

例として酢酸エチルの加水分解を確認しよう。

製法のときと逆で、希硫酸のように水を多く含む酸触媒を用いることで平衡を左に傾かせると多くのエステルを加水分解することができる。

塩基を使った加水分解(けん化)

Point!

エステルを強塩基(NaOH・KOH)により加水分解することを「けん化」という。

ここでは「酢酸エチルの水酸化ナトリウムNaOHによるけん化」を例に確認しよう。

PLUS+

けん化の反応機構は次のようになる。

カルボン酸とアルコキシドイオンからカルボン酸とアルコールが生成したあと、カルボン酸はアルコールと比べてH+を出しやすいので逆変化は起こらず、けん化が成立する。

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