はじめに

化学に限らず、勉強をする際は始めに「全体像」を把握しておくと勉強しやすくなる。有機化学を学ぶ際もまずはきちんと「全体像」を眺め、そのあとに個別の内容を詳しく学ぶ。こうすることで、今全体のどのあたりを学んでいるのか、あとどれくらいで学び終えるのかをイメージしやすくなり、格段に勉強が捗る。このページでは、有機化学の全体像について概説する。有機化学で登場する有機化合物をいくつかのカテゴリーで分類し、大雑把に眺める。ぜひこの機会に有機化合物の全体像を把握し、有機化学を学ぶ基盤を形成しよう。


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C原子の骨格による分類

有機化合物は炭素C原子の骨格によって鎖式化合物と環式化合物に分類することができる。

鎖式

C原子による骨格が鎖状の有機化合物を鎖式化合物脂肪族化合物)という。C原子が一直線につながった直線上のものと枝分かれがあるものが存在する。

環式

C原子による骨格が環状の有機化合物を環式化合物という。環式化合物のうち、ベンゼン環を持つものを特に芳香族化合物という。

C原子間の結合による分類

有機化合物はC原子間の結合によって飽和化合物と不飽和化合物に分類することができる。

飽和

C原子間の結合が全て飽和結合(単結合)の有機化合物を飽和化合物という。

不飽和

C原子間の結合に不飽和結合(二重結合や三重結合)が含まれる有機化合物を不飽和化合物という。


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炭化水素の分類

分類 名称
鎖式炭化水素 飽和炭化水素 アルカン
不飽和炭化水素 アルケン, アルキン
環状炭化水素 脂環炭化水素 飽和炭化水素 シクロアルカン
不飽和炭化水素 シクロアルケン,シクロアルキン
芳香族炭化水素 ベンゼン

炭素と水素からなる有機化合物を炭化水素という。炭化水素は鎖式・環式及び飽和・不飽和の組み合わせによって分類することができる。

鎖式飽和炭化水素をアルカンという。

鎖式不飽和炭化水素のうち、二重結合を1つもつものをアルケン、三重結合を1つもつものをアルキンという。

また、環式炭化水素のうち、環が1つで飽和なものをシクロアルカン、環が1つで二重結合を1つもつものをシクロアルケンという。

これらはいずれも鎖式炭化水素(脂肪族炭化水素)に性質が似ている環式炭化水素なので、脂環式炭化水素の仲間である。環式炭化水素には脂環式炭化水素の他に、ベンゼン環を含む芳香族炭化水素などもある。


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官能基による分類

有機化合物の性質や反応性に大きく影響する原子団や結合様式を官能基という。同じ官能基をもつ有機化合物は性質が似るのでまとめて分類される。

有機化合物はC原子が作る骨格に、水素H原子又は官能基が結合した構造をしている。これらのうち、C原子とH原子からなる部分は炭化水素基と呼ばれ、有機化合物の性質にはあまり影響を与えない。一方、官能基は有機化合物の性質に深く関わっている。

有機化合物を「牛丼」に例えると、ご飯が炭化水素基、牛肉が官能基である。ご飯の量が普通であっても大盛りであっても「牛丼」であることは変わらないように、炭化水素基の大きさが多少異なっても同じ種類の有機化合物として扱われる。一方、牛肉がカツに変わればカツ丼、天ぷらに変われば天丼になるように、官能基が変わると全く異なる種類の有機化合物となる。

炭化水素基一覧

官能基名 構造
メチル基
エチル基
プロピル基
イソプロピル基

官能基一覧

官能基名 構造 化合物群の名称 化合物の例
ヒドロキシ基※1 アルコール エタノール
フェノール類 フェノール
エーテル結合※2 エーテル ジエチルエーテル
アルデヒド基 アルデヒド アセトアルデヒド
ケトン基※3 ケトン アセトン
カルボキシ基※4 カルボン酸 酢酸
エステル結合※5 エステル 酢酸エチル
ニトロ基 ニトロ化合物 ニトロベンゼン
アミノ基 アミン アニリン
スルホ基 スルホン酸 ベンゼンスルホン酸

以下、官能基に関する注意点。

※1 昔はヒドロキシル基と呼ばれていた。(古い表記の参考書もあり)炭化水素のH原子をヒドロキシ基で置き換えた化合物をアルコール、ベンゼン環のC原子に直接ヒドロキシ基が結合した化合物をフェノール類という。
※2 O原子の両隣にC原子が結合しているものをエーテル結合という。O原子の片方にH原子が結合している場合は-OHなのでヒドロキシ基である。
※3 C原子の両隣にC原子が結合しているものをケトン基という。片方にH原子が結合している場合はアルデヒド基となる。アルデヒド基とケトン基のC=Oの部分を総称してカルボニル基ともいう。
※4 カルボキシル基と呼ばれる場合もある
※5 O原子の隣にC原子が結合しているものをエステル結合という。H原子が結合している場合はカルボキシ基である。

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