【プロ講師解説】このページでは『置換反応と配向性(オルト・メタ・パラ)』について解説しています。解説は高校化学・化学基礎を扱うウェブメディア『化学のグルメ』を通じて6年間大学受験に携わるプロの化学講師が執筆します。
置換反応と配向性
ベンゼンの一置換体C6H5Xに置換反応を行う場合、先に入っている置換基Xの種類によって、ベンゼンのどの位置で置換反応が起こりやすいかが変化する。
ベンゼンの二置換体には、オルト・メタ・パラの位置が置換された3つの構造異性体がある。
新たな置換基Yがベンゼンの2位or6位に付くとオルト体、3位or5位に付くとメタ体、4位につくとパラ体となる。
オルト-パラ配向性の置換基
-OH、-NH2、-CH3などの置換基は、ベンゼン環に電子を与える電子供与性という性質をもつ。
与えた電子がベンゼン環に流れ込み、次のような一連の流れを見せる。
置換基は電子密度が高くなっている部分=電荷がマイナスの部分に付きやすいので、この場合オルト位、もしくはパラ位に置換基が付くことが予想される。(オルト-パラ配向性)
メタ配向性の置換基
-NO2、-COOHなどの置換基は、ベンゼン環の電子を引きつける電子吸引性という性質がある。
電子を吸引した結果、次のような一連の流れが見られる。
繰り返すが、置換基は電子密度が高くなっている部分=電荷がマイナスの部分に付きやすいので、この場合オルト位、パラ位の電子密度が低くなっているので、相対的に電子密度の高いメタ位に置換基が付くことが予想される。(メタ配向性)
PLUS+
各置換基が電子吸引基として働くのは、-NO2、-COOHの中でベンゼン環に直接結合している窒素N原子や炭素C原子が(より電気陰性度の高い酸素O原子の影響で)正の電荷をもち、これがベンゼン環の電子を引き寄せるためである。
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著者プロフィール
・化学のグルメ運営代表
・高校化学講師
・薬剤師
・デザイナー/イラストレーター
数百名の個別指導経験あり(過去生徒合格実績:東京大・京都大・東工大・東北大・筑波大・千葉大・早稲田大・慶應義塾大・東京理科大・上智大・明治大など)
2014年よりwebメディア『化学のグルメ』を運営
公式オンラインストアで販売中の理論化学ドリルシリーズ・有機化学ドリル等を執筆
著者紹介詳細
・化学のグルメ運営代表
・高校化学講師
・薬剤師
・デザイナー/イラストレーター
数百名の個別指導経験あり(過去生徒合格実績:東京大・京都大・東工大・東北大・筑波大・千葉大・早稲田大・慶應義塾大・東京理科大・上智大・明治大など)
2014年よりwebメディア『化学のグルメ』を運営
公式オンラインストアで販売中の理論化学ドリルシリーズ・有機化学ドリル等を執筆
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