【プロ講師解説】このページでは『活性化エネルギーと反応熱(グラフや各種用語など)』について図を用いて解説しています。解説は高校化学・化学基礎を扱うウェブメディア『化学のグルメ』を通じて6年間大学受験に携わるプロの化学講師が執筆します。

活性化エネルギーと反応熱

活性化エネルギー

反応物質が反応するために必要なエネルギー

活性化状態

活性化エネルギーを得て反応途中の段階にある、非常に不安定な状態

反応熱

化学反応の進行に伴って出入りする熱(エネルギー)
Point!

活性化エネルギーと反応熱の違いについてきちんと区別できていない人は多い。ここでは、水素H2とヨウ素I2がヨウ化水素HIになる反応を例に説明していくので、必ず理解しておくようにしよう。

水素とヨウ素の反応

水素H2とヨウ素I2の反応は、以下の化学反応式で表される。

\[
H_{2}+I_{2}→2HI
\]

ただし、H2とI2を反応させても、いきなり安定なHIができるわけではない。
次の2STEPで反応の流れを確認する。

STEP1 反応物(H2・I2)に外部から活性化エネルギーが加わる
→ 活性化状態(遷移状態)になる
STEP2 活性化状態からエネルギーを放出し、生成物(HI)ができる
Point!

STEP1

まずは、反応物であるH2とI2に外部エネルギー(活性化エネルギー)が加わり、「活性化状態」となる。

活性化状態は、H2とI2が反応してHIになりかけてはいるけれども、エネルギー状態が高く非常に不安定である。

STEP2

活性化状態から、エネルギーを放出して安定したHIになる。

このとき、「最初のH2・I2のエネルギーと、安定したHIのエネルギーの差」を反応熱という。

活性化エネルギーと反応速度

活性化エネルギー(大)→反応速度(小)
活性化エネルギー(小)→反応速度(大)
Point!

活性化エネルギーが大きい場合

活性化エネルギーは「反応物が活性化状態になるために必要なエネルギー」である。したがって、これが大きいということは「反応物が活性化状態になるまで時間がかかる」ということになる。すると当然、反応全体にかかる時間も長くなる。

活性化エネルギーが小さい場合

活性化エネルギーが小さい場合、「反応物が活性化状態になるまでにかかる時間が短い」ということなので、反応全体にかかる時間も短くなる。

活性化エネルギーと反応熱に関する演習問題

問1

【】に当てはまる用語を答えよ。

分子同士が衝突して化学反応が起こるとき、エネルギーの高い状態(【1】)を経由する。物質を【1】にするために必要な最低限のエネルギーを【2】という。

【問1】解答/解説:タップで表示
解答:【1】活性化状態【2】活性化エネルギー


問2

【】に当てはまる用語を答えよ。

活性化エネルギーが小さいほど、反応速度は【1(速or遅)】くなる。

【問2】解答/解説:タップで表示
解答:【1】速
活性化エネルギー(大)→反応速度(小)
活性化エネルギー(小)→反応速度(大)
Point!

活性化エネルギーが大きい場合

活性化エネルギーは「反応物が活性化状態になるために必要なエネルギー」である。したがって、これが大きいということは「反応物が活性化状態になるまで時間がかかる」ということになる。すると当然、反応全体にかかる時間も長くなる。

活性化エネルギーが小さい場合

活性化エネルギーが小さい場合、「反応物が活性化状態になるまでにかかる時間が短い」ということなので、反応全体にかかる時間も短くなる。

問3

【】に当てはまる用語を答えよ。

反応物のエネルギーと生成物のエネルギーの差を【1】という。

【問3】解答/解説:タップで表示
解答:【1】反応熱


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著者プロフィール

・化学のグルメ運営代表
・高校化学講師
・薬剤師
・デザイナー/イラストレーター

数百名の個別指導経験あり(過去生徒合格実績:東京大・京都大・東工大・東北大・筑波大・千葉大・早稲田大・慶應義塾大・東京理科大・上智大・明治大など)
2014年よりwebメディア『化学のグルメ』を運営
公式オンラインストアで販売中の理論化学ドリルシリーズ・有機化学ドリル等を執筆

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