活性化エネルギーと反応熱

目次

はじめに

【プロ講師解説】このページでは『活性化エネルギーと反応熱』について解説しています。


活性化エネルギーと反応熱

  • 反応物質が反応するために必要なエネルギーを活性化エネルギーという。
  • 活性化エネルギーを得て反応途中の段階にある、非常に不安定な状態を活性化状態という。
  • 化学反応の進行に伴って出入りする熱(エネルギー)を反応熱という。

●活性化エネルギー
反応物質が反応するために必要なエネルギー
●活性化状態
活性化エネルギーを得て反応途中の段階にある、非常に不安定な状態
●反応熱
化学反応の進行に伴って出入りする熱(エネルギー)


水素とヨウ素の反応

  • 水素H2とヨウ素I2の反応は、次の化学反応式で表される。

\[ \mathrm{H_{2}+I_{2}→2HI} \]

  • ただし、H2とI2を反応させても、いきなり安定なHIができるわけではない。次の2STEPで反応の流れを確認する。

●STEP1
反応物(H2・I2)に外部から活性化エネルギーが加わる。
→ 活性化状態(遷移状態)になる。
●STEP2
活性化状態からエネルギーを放出し、生成物(HI)ができる。

STEP
反応物(H2・I2)に外部から活性化エネルギーが加わる。
→ 活性化状態(遷移状態)になる。

まずは、反応物(H2・I2)に外部から活性化エネルギーが加わる。その結果、活性化状態(遷移状態)になる。

活性化状態は、H2とI2が反応してHIになりかけてはいるけれども、エネルギー状態が高く非常に不安定である。

STEP
活性化状態からエネルギーを放出し、生成物(HI)ができる。

次に、活性化状態からエネルギーを放出し、生成物(HI)ができる。

このとき、最初のH2・I2のエネルギーと、安定したHIのエネルギーの差を反応熱という。


活性化エネルギーと反応速度

  • 活性化エネルギーと反応速度の関係について解説する。

活性化エネルギー(大)→反応速度(小)
活性化エネルギー(小)→反応速度(大)

活性化エネルギーが大きい場合

  • 活性化エネルギーは「反応物が活性化状態になるために必要なエネルギー」である。したがって、これが大きいということは「反応物が活性化状態になるまで時間がかかる」ということになる。すると当然、反応全体にかかる時間も長くなる。

活性化エネルギーが小さい場合

  • 活性化エネルギーが小さい場合、「反応物が活性化状態になるまでにかかる時間が短い」ので、反応全体にかかる時間も短くなる。

演習問題

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問1

分子同士が衝突して化学反応が起こるとき、エネルギーの高い状態(【1】)を経由する。物質を【1】にするために必要な最低限のエネルギーを【2】という。

解答/解説:タップで表示

解答:【1】活性化状態【2】活性化エネルギー

●活性化エネルギー
反応物質が反応するために必要なエネルギー
●活性化状態
活性化エネルギーを得て反応途中の段階にある、非常に不安定な状態

問2

活性化エネルギーが小さいほど、反応速度は【1(速 or 遅)】くなる。

解答/解説:タップで表示

解答:【1】速

活性化エネルギーが大きい場合

活性化エネルギーは「反応物が活性化状態になるために必要なエネルギー」である。したがって、これが大きいということは「反応物が活性化状態になるまで時間がかかる」ということになる。すると当然、反応全体にかかる時間も長くなる。

活性化エネルギーが小さい場合

活性化エネルギーが小さい場合、「反応物が活性化状態になるまでにかかる時間が短い」ので、反応全体にかかる時間も短くなる。

問3

反応物のエネルギーと生成物のエネルギーの差を【1】という。

解答/解説:タップで表示

解答:【1】反応エンタルピー

反応物のエネルギーと生成物のエネルギーの差を反応エンタルピーという。

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著者情報

元講師、薬剤師、イラストレーター
数百名の中高生向け指導経験あり(過去生徒合格実績:東工大・東北大・筑波大・千葉大・岡山大・早稲田大・慶應義塾大・東京理科大・上智大・明治大など)。
2014年よりwebメディア『化学のグルメ』を運営
公式オンラインストアで販売中の理論化学ドリルシリーズ・有機化学ドリル等を執筆
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