【プロ講師解説】このページでは『高分子化合物(定義や分類、全体的な特徴など)』について解説しています。解説は高校化学・化学基礎を扱うウェブメディア『化学のグルメ』を通じて6年間大学受験に携わるプロの化学講師が執筆します。
高分子とは
高分子(高分子化合物)とは、分子量が約1万以上の巨大分子である。
高分子(高分子化合物)はその大きさ故に、低分子量の化合物とは異なる性質をもっている。
高分子の特徴
単量体が繋がってできる
単量体(モノマー)という小さな分子が共有結合で多数繋がると高分子となる。単量体が互いに繋がっていく現象を重合といい、重合でできた高分子を重合体(ポリマー)、重合体1分子を構成する繰り返し単位の数を重合度という。
コロイドを形成する
高分子(高分子化合物)は1コあたりのサイズが大きいため、溶液中では主にコロイド(分子コロイド)として存在している。
※コロイドについて詳しくはコロイド(例・種類・大きさ・透析・電気泳動など)を参照
分子量は平均分子量で表す
反応条件によって重合度にバラツキが生じるため、高分子(高分子化合物)は同じ名称でも分子量が異なる場合がある。
そのため、高分子の分子量は基本的に「平均分子量」の意味で用いられる。
※平均分子量(見かけの分子量)について詳しくは見かけの分子量(平均分子量)を参照
分子量測定
高分子(高分子化合物)は分子量が非常に大きく、溶媒にも溶けにくいため、溶液中のモル濃度が小さい。
したがって、凝固点降下法などで分子量を測定するのは困難なので、モル濃度が小さくても測定可能な浸透圧法が用いられる。
一定の融点を示さない
高分子(高分子化合物)の固体は、分子が規則的に配列した結晶部分と、不規則に配列した非晶質(非結晶)部分が混ざった構造になっている。
したがって、加熱をしても一定の融点を示すことはなく、徐々に軟化して液体となる。
よって、軟化点(柔らかくなって変形し始める点)を融点として用いることが多い。
演習問題
問1
分子量が約1万以上の巨大分子を【1】という。
問2
単量体が多数繋がると高分子となる。単量体が互いに繋がっていく現象を【1】といい、【1】でできた高分子を【2】、【2】1分子を構成する繰り返し単位の数を【3】という。
問3
高分子は1個あたりのサイズが大きいため、溶液中では主に【1】として存在している。
問4
反応条件によって重合度にバラツキが生じるため、高分子の分子量は【1】で表される。
問5
高分子の固体は、分子が規則的に配列した結晶部分と、不規則に配列した【1】部分が混ざった構造になっている。
したがって、加熱をしても一定の融点を示すことはなく、徐々に【2】して液体となる。
よって、【2】点を融点として用いることが多い。
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・化学のグルメ運営代表
・高校化学講師
・薬剤師
・デザイナー/イラストレーター
数百名の個別指導経験あり(過去生徒合格実績:東京大・京都大・東工大・東北大・筑波大・千葉大・早稲田大・慶應義塾大・東京理科大・上智大・明治大など)
2014年よりwebメディア『化学のグルメ』を運営
公式オンラインストアで販売中の理論化学ドリルシリーズ・有機化学ドリル等を執筆
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