【プロ講師解説】このページでは『見かけの分子量(平均分子量)』について解説しています。解説は高校化学・化学基礎を扱うウェブメディア『化学のグルメ』を通じて6年間大学受験に携わるプロの化学講師が執筆します。

見かけの分子量とは

混合気体は2種類以上の気体が混ざったものである。

したがって、混合気体の分子量を考えるときは(これと決まった分子量がないため)少し工夫をする必要がある。

Point!

混合気体の分子量は、各気体の分子量に各気体のモル分率を掛けたものを足し合わせることで求めることができる。

混合気体そのものの分子量というのは定められていないので、各元素の分子量を使って「見かけ上(計算上)」の値を算出するイメージである。

混合気体の分子量は計算で求めた理論上の値であるので、見かけの分子量(平均分子量)と呼ばれる。

演習問題

問1

【】に当てはまる用語を答えよ。

混合気体の分子量を考えるときは、各気体の分子量に各気体のモル分率を掛けたものを足し合わせる。こうして求めた理論上の分子量を【1】という。
【問1】解答/解説:タップで表示
解答:【1】平均分子量(見かけの分子量)
Point!

問2

27℃で8.3Lの容器にN2が0.80mol、O2が0.20mol入っている。次の問いに答えよ。(気体定数R=8.3×103とする)

(1)容器内の圧力(Pa)を求めよ。
(2)混合気体の平均分子量(見かけの分子量)を求めよ。

【問2】解答/解説:タップで表示
解答:(1)3.0×105Pa(2)29

(1)
気体の状態方程式を使って圧力Pを求める。

\[
\begin{align} PV&=nRT\\
P&=\frac{ nRT }{ V }\\
&=\frac{ 1.0×8.3×10^{3}×(27+273) }{ 8.3 }\\
&=3.0×10^{5} \end{align}
\]

(2)
先ほどの公式を使う。

\[
\begin{align}M_{全}&=M_{A}×\frac{ n_{A} }{ n_{A}+n_{B} }+M_{B}×\frac{ n_{B} }{ n_{A}+n_{B} }\\
&=28×\frac{ 0.80 }{ 0.80+0.20 }+32×\frac{ 0.20 }{ 0.80+0.20 }\\
&=22.4+6.4\\
&=28.8 \end{align}
\]

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著者プロフィール

・化学のグルメ運営代表
・高校化学講師
・薬剤師
・デザイナー/イラストレーター

数百名の個別指導経験あり(過去生徒合格実績:東京大・京都大・東工大・東北大・筑波大・千葉大・早稲田大・慶應義塾大・東京理科大・上智大・明治大など)
2014年よりwebメディア『化学のグルメ』を運営
公式オンラインストアで販売中の理論化学ドリルシリーズ・有機化学ドリル等を執筆

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