『化学の新演習』最強の難関大受験対策用問題集の使い方をレビュー。

目次

はじめに

難関大対策用の化学問題集として知られる「化学の新演習」。今回はこのベストセラー問題集について、その魅力から具体的な使い方、併用にオススメの参考書まで1つ1つ丁寧に解説していこうと思います。化学の新演習の購入を検討している人はもちろん、もう既に持っているよという人も是非参考にして下さい。


本の特徴と対象

本書は,化学に対するさらに深い理解力と思考力を身につけたいと念願している高校生や受験生のために書かれた,本格的な化学の大学入試用の問題集である。
 化学に対する理解力を深め実践力を養うには,最近出題された大学入試問題を数多く解くことが一番の早道であろう。しかし,数多くの入試問題を解くためには莫大な時間が必要であり,限られた時間内に多くの教科・科目を勉強しなければならない受験生にとっては,この方法はあまり効率のよい勉強法とはいえない。

本書は化学の内容の本質を問うた質の高い問題ばがりを集めてあるので,受験勉強をはじめた頃には少し難しい手ごわい問題集だと思うかも知れない。しかし,受験勉強の後半になって,もう少し詳しい突っ込んだ内容の問題に挑戦してみたいと思うようになった時,はじめて受験生にとって本当のお役に立てるように意図して編集したつもりである。このような本書の特徴をよく理解したうえで,本書を十分に活用し,所期の目的を達成されんことを心から念願する次第である。

三省堂公式HP

化学の新演習を一言で表すなら「難関大対策に特化した化学問題集」です。

この問題集には難関大レベルの問題が多く掲載されています。従って、既に基礎固めを終えて「より実践的」な演習を行いたい!という人に適しています。基礎問題精講などで一通り基礎的な事項を押さえてから取り組むようにしましょう。


本の構成

第1編 物質の構造
1 物質の構成と化学結合
2 物質量と化学反応式
第2編 物質の状態
3 物質の三態と状態変化
4 気体の法則
5 溶液の性質
第3編 物質の変化
6 化学反応と熱
7 反応の速さ
8 化学平衡
9 酸と塩基の反応
10 電離平衡
11 酸化還元反応
12 電池と電気分解
第4編 無機物質の性質
13 非金属とその化合物
14 金属とその化合物
15 無機化学総合
第5編 有機物質の性質
16 脂肪族化合物
17 芳香族化合物
第6編 高分子化合物
18 天然高分子化合物
19 合成高分子化合物

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化学の新演習では、理論化学・無機化学・有機化学の主要項目がほぼ全て網羅されています。従って、難関大対策として取り組む問題集はこれ一冊で事足りるでしょう。


メリット

化学の新演習にはメリットとデメリットが存在します。まずはメリットの方から紹介していきましょう。

網羅性

化学の新演習には理論化学・無機化学・有機化学の問題が網羅的に掲載されています。全ての分野において入試頻出のパターンが厳選されているので、難関大化学対策の問題集はこれ一冊に任せておけば問題ないでしょう。

化学の新研究と相性抜群

化学の新演習は、難関大受験用の参考書として非常に有名な「化学の新研究」の姉妹本で、著者も同じです。従って、両者の相性はバッチリでこの2冊をセットで使用している受験生は非常に多いです。

多くの人が使っている

化学の新演習は昔から有名な難関大対策用の問題集です。従って、使用者が極めて多くインターネット上にこの本に関する情報が豊富に揃っています。使い方や併用参考書など参考にできる情報が多いのはメリットの1つであると言えるでしょう。

また、多くの人が使っているということは「化学の新演習に掲載されている問題を解ける受験生は非常に多い」ということです。入試において大切なのは、みんなが解けない問題を解けるようにすることではなく、みんなが解ける問題を確実に解けるようにすることです。その点、この問題集をきっちりやっておけば、解ける人が多い問題を落としづらくなるでしょう。反対に、化学の新演習をやらないというのはそれだけでリスクになり得ると考えられます。


デメリット

化学の新演習は非常にいい問題集ではありますが、デメリットもいくつか存在します。次はそれらを紹介していきましょう。

解説が簡潔

化学の新演習の解説では基礎的な事項が省かれている場合が多々あります。難関大受験対策用であることを考えるとそれも当然と言えば当然ですが、基礎が固まっていない受験生が使うことは難しくなるでしょう。(ちなみに、基本ができている状態で読むとコンパクトでわかりやすい解説に見えると思います。)

重問で十分

化学の新演習とよく比較される問題集として重要問題集があります。重要問題集の方がやや対象レベルが低いですが、ほとんどの大学は重要問題集で受験を乗り切ることが可能です。具体的には東大・京大・東工大・早慶の一部学部など以外は重要問題集で十分だと感じます。自分が使っている参考書(化学の新研究を使っているのであれば挙げた大学以外を志望していても新演習を使うのはあり)や自身が受ける大学のレベルを考慮して選択しましょう。


使い方

次に、化学の新演習の具体的な使い方を紹介していきます。むやみに使っても効果は出づらいので、まずはこれから紹介するやり方を参考にしていただき、状況に応じて自分流の使い方を見つけていきましょう。

全ての問題を解く

これが化学の新演習の最もスタンダードな使い方です。

化学の新演習はある程度問題数がありますが、基礎が固まっている状態であればそれほど時間をかけることなく全ての問題に触れることができるでしょう。もちろん最初から全て解けるわけではないと思いますが、1週目でわからない問題は印をつけてすぐに解説を見て、理解できたら次の問題に進んでい久野がオススメです。また、わからないことを調べるときは姉妹本の「化学の新研究」を使うのがオススメです。

解く問題を絞る

筆者は過去の大学入試問題の中から,(i)出題頻度が高く,今後も類似の問題が数多く出題されると思われる頻出問題,(ii)比較的長文で実力強化に役立つと思われる重要問題など,いわゆる良問だけを厳選した。このうち,そのまま問題として掲載したのは約10%で,残りは筆者独自の判断により,各問題どうしの重複を避けるために一部を削除したり,欠落している内容を加筆するなど大胆とも思える改作を行い,より完成度の高い問題に仕上げたのが本書である。また,各問題には★印の数で難易度を表示した。
  ★印……標準~発展的な内容を少し含む典型的な重要問題。
 ★★印……発展的でしかも思考力を要する応用問題。
★★★印……程度の高い内容を含むやや難しい問題や新傾向の問題。

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化学の新演習に掲載されている問題は3つのレベルに分かれています。東大・京大・東工大などの超難関大以外の大学を受験する人が問題演習の量をこなすためにこの問題集を使っている場合は★印と★★印の問題だけを解く使い方もありでしょう。一方、超難関大を受ける人は★★★印の問題を解かなければあまりこの問題集を使っている意味がありません。全ての問題を解ききることができるような勉強計画を立てて取り組みましょう。


併用したい参考書

化学の新演習はあくまで入試対策の問題演習を行うためのものであり、化学の現象や計算で使う式等について詳しく解説されているわけではありません。そこで以下で紹介するような「解説型」の参考書を併用することをお勧めします。

化学の新研究

化学の新研究を一言で表すなら「最も”詳しい”化学参考書」です。
教科書のような雰囲気でありながら、現象や実験に関する原理がこれでもかというほど詰め込まれ、化学をしっかり勉強したい人にとってこれ以上ない仕上がりになっています。化学の新演習とセットで使っていくのがオススメです。

鎌田の理論化学の講義

「〜の講義」は非常に人気のシリーズです。基礎から丁寧に解説されており、化学初学者から難関大受験生まで幅広いレベルの人に利用されています。「鎌田の理論化学の講義」以外にも「福間の無機化学の講義」「鎌田の有機化学の講義」があるので3冊セットで使っていくのがオススメです。

総合的研究

総合的研究は化学の新研究と似た立ち位置ですが、化学の新研究に比べると図やポイントのまとめが豊富なため非常に見やすく使いやすいです。また、内容も大学入試対策として必要なことに絞って書かれているため(化学の新研究と比べて)オーバーワークになりにくいでしょう。


化学の新演習の代替案

化学の新演習が合わないから、同じようなレベルの問題集は他にありませんか?という質問はよく受けます。そういう時にオススメしているのは「重要問題集」と「標準問題精講」です。

重要問題集は化学問題集の王様的存在です。おそらく受験化学対策用の問題集としてはシェアNo.1で、数多くの高校生・受験生が使用しています。難しい問題も多く、難関大対策としてオススメです。

標準問題精講は解説の丁寧さが売りです。難易度としては重要問題集と化学の新演習の中間程度、掲載されている問題の数は2つと比べてやや少なめです。基礎固めを基礎問題精講でやった人は著者が一緒であり解説の仕方が似ているこの問題集を用いてもいいでしょう。

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著者情報

元講師、薬剤師、イラストレーター
数百名の中高生向け指導経験あり(過去生徒合格実績:東工大・東北大・筑波大・千葉大・岡山大・早稲田大・慶應義塾大・東京理科大・上智大・明治大など)。
2014年よりwebメディア『化学のグルメ』を運営
公式オンラインストアで販売中の理論化学ドリルシリーズ・有機化学ドリル等を執筆
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