はじめに

代表的な脂肪族化合物であるアルカン。このページではアルカンの定義から一般式の作り方、一覧、命名法、製法、反応などについて一から丁寧に解説していく。いずれも入試頻出なので必ず理解しよう。


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アルカンとは

アルカンとは一般式CnH2n+2で表される鎖式飽和炭化水素である。

アルカンの一般式の作り方

STEP1 炭素Cの数をnコとする
STEP2 Cの上下にHが1コずつ付いているので、Hの数を2nコとする
STEP3 両端のCにはさらにHが1コずつ付いているのでHの数を+2する
Point!

アルカンの一般式CnH2n+2がどのように導き出されるのか、上の3STEPを使って確認しよう。

STEP1

Cの数をnコとする

まずはCの数をnコとする。

STEP2

Cの上下にHが1コずつ付いているのでHの数を2nコとする

次にCの上下にHが1コずつ付いているのでHの数を2nコとする。

この時点で一般式はCnH2nとなる。

STEP3

両端のCにはHがさらに1つずつ付いているのでHの数を+2する

最後に両端のCにはHがさらに1つずつ付いているのでHの数を+2する。

以上より、アルカンの一般式はCnH2n+2となる。

アルカン一覧

n 名称 化学式
1 メタン CH4
2 エタン C2H6
3 プロパン C3H8
4 ブタン C4H10
5 ペンタン C5H12
6 ヘキサン C6H14
7 ヘプタン C7H16
8 オクタン C8H18
9 ノナン C9H20
10 デカン C10H22

高校化学でよく出てくるアルカンを一覧にまとめるとこのようになる。

アルカンの命名法

STEP1 最も長い炭素鎖の数を数えて、アルカン名のベースを決定する
STEP2 枝分かれや官能基がある場合、枝分かれしている炭素の番号ができるだけ小さくなるように主
鎖の炭素に番号をつける
STEP3 枝分かれしている炭素の番号と置換基名をベースの前にくっつける
Point!

今回は、次のアルカン分子を実際に上のやり方で命名してみようと思う。

STEP1

最も長い炭素鎖の炭素数を数えてアルカン名のベースを決定する。

まずは、最も長い炭素鎖(主鎖)の炭素数を数えてアルカン名のベースを決定する。(枝分かれしている短い炭素鎖は側鎖という)

今回の場合、主鎖の炭素数は4つなので上のアルカン一覧のところに載せたようにある感銘のベースは”ブタン”となる。

STEP2

枝分かれ(や官能基)がある場合枝分かれしている炭素の番号が小さくなるように主鎖の炭素に番号を付ける。

次に、枝分かれ(や官能基)がある場合枝分かれしている炭素の番号が小さくなるように主鎖の炭素に番号を付ける。

STEP3

枝分かれしている炭素の番号と置換基名をベースの前にくっつける

最後に、枝分かれしている炭素の番号と置換基名をベースの前にくっつける。

今回の場合は、2番目の炭素にメチル基がくっついているので”2ーメチルーブタン”となる。

アルカンの製法

工業的製法

天然ガスや石油を分留する

実験室的製法

酢酸ナトリウムとソーダ石灰の混合物を加熱する
Point!

アルカンの製法といっても出てくるのは基本的に”メタン”のみ。したがって、ここでもメタンの工業的製法・実験室的製法について解説していく。

工業的製法

メタンを工業的に作る際には天然ガスや石油から分留する。

実験室的製法

メタンを実験室内で作る際には酢酸ナトリウムとソーダ石灰の混合物を加熱する。

\[
CH_{3}COONa + NaOH → Na_{2}CO_{3} + CH_{4}
\]

アルカンの性質

①無極性or極性が非常に小さい
②直鎖アルカンでは分子量の増加に伴い沸点が高くなる
③水には溶けないが無極性溶媒にはよく溶ける
Point!

①無極性or極性が非常に小さい

アルカンはC-H結合、C-C結合からなるため無極性又は極性の非常に小さな分子である。

極性について詳しくは【極性】分子の形との関係、求め方、打ち消しなどを例を用いて解説!を確認しよう。

②直鎖アルカンでは分子量の増加に伴い沸点が高くなる

直鎖状のアルカンでは分子量が大きくなるにしたがってファンデルワールス力が大きくなり沸点が高くなる。

③水には溶けないが無極性溶媒にはよく溶ける

アルカンは無極性のため極性溶媒の水には溶けないが無極性溶媒の有機溶媒(ベンゼンやジエチルエーテルなど)にはよく溶ける。(詳しくは極性溶媒と無極性溶媒を参照)

PLUS+

アルカンのように共通の一般式で表され、分子式が-CH2ずつ違う化合物グループを同族体という。沸点や融点は異なっていても同族体の化学的性質はよく似ている。

アルカンの反応①

\[
C_{n}H_{2n+2}+\frac{ 3n+1 }{ 2 }O_{2}\overset{加熱}{→}nCO_{2}+(n+1)H_{2}O
\]
Point!

C-H結合やC-C結合は結合エネルギーが大きく原子同士が強く結びついている。又、性質のところで見たように炭化水素は極性を持たないか非常に小さいため、アルカンは反応性が小さく非常に安定している。

ただし、十分な空気とともに加熱すると結合が切れ、酸素と結びついて二酸化炭素と水に変化する。このとき大きな燃焼熱(メタンの場合約890kJ/mol)が生じる。(燃焼反応

\[
CH_{4}(気)+2O_{2}(気)=CO_{2}(気)+2H_{2}O(液)+890kJ
\]

アルカンの反応②

Point!

メタンと塩素の混合気体は光照射や加熱によって激しく反応し、C-H結合がC-Cl結合に変化していく。

STEP1 メタンに付いている水素原子Hのうち、1つが塩素原子Clに置き換わる
→ クロロメタンが生成
STEP2 残っている3つのHのうち、1つがClに置き換わる
→ ジクロロメタンが生成
STEP3 残っている2つのHのうち、1つがClに置き換わる
→ トリクロロメタンが生成
STEP4 残っている1つのHがClに置き換わる
→ テトラクロロメタンが生成
Point!

STEP1

メタンに付いている4つの水素原子Hのうち1つがClと置き換わる

まずは、メタンに付いている4つの水素原子Hのうち1つがClと置き換わる。

この時できる化合物をクロロメタンという。(”クロロ”というのは「Cl」のことを表している)

また、クロロメタンは慣用的に塩化メチルとも呼ばれるのでそちらも併せて覚えておこう。

STEP2

残っている3つの水素原子Hのうち1つがClと置き換わる

次に、残っている3つの水素原子Hのうち1つがClと置き換わる。

このときできる化合物はジクロロメタンという。
「ジ」というのはギリシャ語で「2」を表すので「ジクロロ」で”2コのClが付いている”という意味になる。

また、ジクロロメタンの慣用名が塩化メチレンであるということもしっかり覚えておこう。

STEP3

残っている2つの水素原子Hのうち1つがClと置き換わる

次に、残っている2つの水素原子Hのうち1つがClと置き換わる。

このときできる化合物は(Clが3つなので)トリクロロメタンという。
慣用的にはクロロホルムと呼ばれ、麻酔薬などとして用いられる。

STEP4

1つだけ残っている水素原子HがClと置き換わる

最後に、1つだけ残っている水素原子HがClと置き換わる。

生成するのはテトラクロロメタン
慣用名は四塩化炭素となる。

応用:メタンの置換反応の原理

メタンの置換反応の原理について少し詳しく解説する。(受験では知らなくてもOK)

先述の通り、メタンと塩素の混合気体は光照射や加熱によって激しく反応し、C-H結合がC-Cl結合に変化していく。

この反応は、塩素分子が光や熱のエネルギーを吸収した結果共有結合が切れ、不対電子を持つ塩素原子(塩素ラジカル)が生じることによって始まる。

次に、塩素原子がメタン分子のC-H結合を攻撃すると次のような反応が起こる。

この流れが繰り返されることでメタンの置換反応が進み、最終的にテトラクロロメタン(四塩化炭素)が生成する。

シクロアルカン

冒頭に書いた通りアルカンは「”鎖式”飽和炭化水素」の名称だが、「”環状”飽和炭化水素」シクロアルカンと呼ばれる。


※シクロヘキサンはシクロアルカンの一種

シクロアルカンは(アルカンから2コのHを取っているので)分子式CnH2nで表され、環を作る炭素数に対応するアルカン名の前に環を意味する「シクロ」をつける。

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