はじめに

飽和蒸気圧は定期テストや大学入試の超頻出事項。ここではその飽和蒸気圧について、定義から性質、よくある計算問題の解法まで1つ1つ解説していく。この機会に飽和蒸気圧を完璧にして他の受験生と差をつけよう!


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飽和蒸気圧とは

密閉容器に液体を入れて十分時間が経つと「液体が気体になる量」と「気体が再び液体に戻る量」が一定となり、見かけ上、容器内の気体分子数に変化がなくなる。(気液平衡

この時、温度と体積が一定であると仮定すると、モル数に変化はないので圧力も一定となる。

\[
P
=
\underbrace{ \frac{ nRT }{ V } }
_{ \text{ 一定 }}
\]

この時の圧力をこの温度におけるその物質の飽和蒸気圧(または蒸気圧)という。

飽和蒸気圧の性質

NO.1 物質の種類と温度に依存する
NO.2 容器の大きさや他の気体の存在は関係ない
Point!

体積一定で温度を上げていくと、気体は徐々に蒸発し、気相中に存在する気体のmol数が増える。これに伴い圧力(飽和蒸気圧)が増加する。

ちなみにこのような圧力(飽和蒸気圧)と温度の関係を表す曲線を蒸気圧曲線といい、状態図の一部を切り取ったものである。

飽和蒸気圧が絡んだ計算問題

飽和蒸気圧の計算問題を解く前に以下のことを押さえておく必要がある。

密閉容器に液体を入れて放置(or加熱)した時、液体が残らない場合(パターン1)と残る場合(パターン2)がある。

パターン1では容器内の気体の圧力が飽和蒸気圧に達しておらず「気体の圧力<飽和蒸気圧」の状態である。一方、パターン2では容器内の気体の圧力が飽和蒸気圧に達しており「気体の圧力=飽和蒸気圧」の状態である。

それではこれから飽和蒸気圧が絡んだ計算問題を3パターン紹介していく。いずれも入試頻出問題なのでしっかり解けるようになろう!

【パターン1】状態判定

STEP1 液体全てが気体になったと仮定し、気体の状態方程式を用いて“仮の圧力”を求める
STEP2 STEP1で求めた圧力Pと飽和蒸気圧を比較

P > 飽和蒸気圧 → 液化している
P < 飽和蒸気圧 → 液化していない

Point!

容器に液体を入れてしばらく放置(or加熱)した後、入れた液体が全て気体になっているのか、それとも一部が液体として存在しているのかを判断する問題である。

上の2STEPを用いて次の問題を解いてみよう。

問題

80℃において、2.0Lの密閉容器に水を0.9g入れてしばらく放置した。この時容器内に水滴は存在するか。ただし気体定数Rは8.3×103(L・Pa)/(K・mol)とする。

STEP1

液体が全て気体になったと仮定し、気体の状態方程式を用いて「仮の圧力」を求める。

まずは、液体が全て気体になったと仮定し、気体の状態方程式を用いて「仮の圧力」を求める。

\[
\begin{align} PV&=nRT\\
\leftrightarrow P&=\frac{ nRT }{ V }\\
&=\frac{ \frac{ 0.90(g) }{ 18(g/mol) }×8.3×10^{3}(L・Pa/(K・mol))×(80+273)(K) }{ 2.0(L) }\\
&=7.3×10^{4}(Pa) \end{align}
\]

STEP2

STEP1で求めた圧力Pと飽和蒸気圧を比較する。

次に、STEP1で求めた圧力Pと飽和蒸気圧を比較する。

問題文に80℃における水の飽和蒸気圧は4.7×104(Pa)と書いてあるので、

\[
\underbrace{ 7.3×10^{4}(Pa) }_{ \text{ STEP1で求めた圧力 }}>\underbrace{ 4.7×10^{4}(Pa) }_{ \text{ 飽和蒸気圧 }}
\]

今回はSTEP1で求めた仮の圧力が飽和蒸気圧を上回っているので、「液化している」と判断できる。

【パターン2】圧力及び液化している分の質量を求める問題

STEP1 液体全てが気体になったと仮定し、気体の状態方程式を用いて“仮の圧力”を求める
STEP2 STEP1で求めた圧力Pと飽和蒸気圧を比較

P > 飽和蒸気圧 → 液化している
P < 飽和蒸気圧 → 液化していない

STEP3 最初に入れたgに
\[
\frac{ P_{仮}-P_{飽} }{ P_{仮} }\\
\] を掛け、液化しているgを出す
Point!

このタイプの問題は上のSTEPを使って解く。
次の例題で説明していこう。

問題

80℃において、3.0Lの密閉容器に水を1.8g入れ放置した。この時の容器内の圧力、及び液化している水の質量を求めなさい。ただし、気体定数を8.3×103L・Pa/(K・mol)、80℃での水の蒸気圧を4.7×104Paとする。

STEP1

液体が全て気体になったと仮定し、気体の状態方程式を用いて“仮の圧力(P)”を求める。

まずは、液体が全て気体になったと仮定し、気体の状態方程式を用いて“仮の圧力(P)”を求める。

\[
\begin{align} PV&=nRT\\
\leftrightarrow P&=\frac{ nRT }{ V }\\
&=\frac{ \frac{ 1.8(g) }{ 18(g/mol) }×8.3×10^{3}(L・Pa/(K・mol))×(80+273)(K) }{ 2.0(L) }\\
&=9.8×10^{4}(Pa) \end{align}
\]

STEP2

STEP1で求めた圧力(P)と飽和蒸気圧を比較する。

次に、STEP1で求めた圧力(P)と飽和蒸気圧を比較する。

\[
\underbrace{ 9.8×10^{4}(Pa) }_{ \text{ STEP1で求めた圧力 }}>\underbrace{ 4.7×10^{4}(Pa) }_{ \text{ 飽和蒸気圧 }}
\]

仮の圧力が飽和蒸気圧を上回っているので、気体の一部は液化しており容器内の気体の圧力は飽和蒸気圧(4.7×104Pa)になっていると考えられる。

STEP3

最初に入れたgに「(PーP)/P」をかけ、液化しているgを出す。

最後に、最初に入れたgに「(PーP)/P」をかけ、液化しているgを出す。

\[
\begin{align}&1.8(g)×\frac{ 9.8×10^{4}(Pa)-4.7×10^{4}(Pa) }{ 9.8×10^{4}(Pa) }\\
&≒0.94(g)\end{align}
\]

【パターン3】燃焼&冷却後の気体の分圧・全圧を求める問題

STEP1 反応量シートを用いて燃焼後の各気体の分圧を出す(分圧が飽和蒸気圧を超えている場合はその気体の圧力は飽和蒸気圧として考える)
STEP2 分圧を足し合わせ、全圧を求める
Point!

このタイプの問題は上のSTEPを使って解く。
次の例題で説明していこう。

問題

容積一定の容器に、27℃でプロパン1.0×105Paと酸素6.0×105Paを入れ、完全燃焼させたところ、水と二酸化炭素が発生した。その後、27℃に戻した時の水(水蒸気)の分圧を求めなさい。また、容器内に存在する気体の全圧を求めなさい。ただし、水の飽和蒸気圧は27℃で4.0×103Paとする。

STEP1

反応量シートを用いて燃焼後の各気体の分圧を出す(分圧が飽和蒸気圧をこえている場合その気体の圧力は飽和蒸気圧として考える)

まずは、反応量シートを用いて燃焼後の各気体の分圧を出す。
この時、分圧が飽和蒸気圧をこえている場合、その気体の圧力は飽和蒸気圧として考える。

今回は問題文中にH2Oの飽和蒸気圧が4.0×103Paと書いてあるので、計算上4.0×105Paと出たH2Oの分圧は4.0×103Paまで低下させる。(はみ出た分は“液化”している)

STEP2

分圧を足し合わせ全圧を求める

次に、分圧を足し合わせることで全圧を求める。

\[
\begin{align}P_{全}&=P_{O_{2}}+P_{CO_{2}}+P_{H_{2}O}\\
&=1.0×10^{5}+3.0×10^{5}+4.0×10^{3}\\
&=4.04×10^{5}\\
&≒4.0×10^{5}(Pa)\end{align}
\]

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