はじめに

溶解度積を使った計算を苦手とする高校生は非常に多い。このページでは、そもそも溶解度積とは何なのかという基礎的なところから、溶解度積が絡んだ計算問題の解法まで一から丁寧に解説していく。ぜひこの機会に溶解度積をマスターして他の受験生と差をつけよう!


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溶解度積とは

水に溶けにくい電解質MmAaは飽和溶液中で

\[
M_{m}A_{a}(固) ⇆ mM^{a+} + aA^{m-}
\]

このような平衡状態になっており、次のような式が成り立つ。

\[
K = \frac{ [M^{a+}]^{m}[A^{m-}]^{a} }{ [M_{m}A_{a}(固)] }
\]

MmAaは固体のため[MmAa(固)]は一定とみなすことができる。

よって、[MmAa(固)]を移行して…

\[
\underbrace{[M_{m}A_{a}(固)]×K}_{ 一定 } =[M^{a+}]^{m}[A^{m-}]^{a}
\]

このように考えることができる。ここで、定数(一定)である[MmAa(固)]×Kを改めてKspと定義すると…

\[
K_{sp} =[M^{a+}]^{m}[A^{m-}]^{a}
\]

このKsp溶解度積という。

実例

ちなみに、テスト頻出の「塩化銀AgCl」の溶解度積は次のように導くことができる。

塩化銀AgClを水に溶解させると一部のAgClが溶け残った水溶液ができ、溶解平衡の状態に達した。この溶解平衡の平衡定数K(AgCl)は次のように表される。

\[
K(AgCl) = \frac{ [Ag^{+}][Cl^{-}] }{ [AgCl(固)] }
\]

[AgCl(固)]を一定とみなし新しい定数としてKsp(AgCl)を次のように定義する。

\[
K_{sp}(AgCl) = [Ag^{+}][Cl^{-}]
\]

このKsp(AgCl)が塩化銀の溶解度積となる。


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溶解度積の計算問題

溶解度積に関する問題として、テストで頻出の「溶解度積を使って溶解度を求める問題」と「溶解度積を使って沈殿生成の有無を判定する問題」の解き方を解説していこう。

溶解度積を使って溶解度を求める問題

問題

塩化銀AgClの溶解度を求めよ。ただし、AgClの溶解度積は4.0×10-10(mol/L)2とする。

溶けるAgClをx(mol/L)とすると、Ag+、Clの濃度はどちらもx(mol/L)となる。

したがって、次のような式を立てることができる。

\[
K_{sp}(AgCl) = [Ag^{+}][Cl^{-}]\\
\leftrightarrow 4.0×10^{-10} = x × x\\
\therefore x = 2.0×10^{-5}(mol/L)
\]
問題

Ag2CrO4の溶解度を求めよ。ただし、Ag2CrO4の溶解度積は3.2×10-11(mol/L)3とする。

溶けるAg2CrO4をx(mol/L)とすると、Ag+の濃度は2x(mol/L)、CrO42-の濃度はx(mol/L)となる。

したがって、次のような式を立てることができる。

\[
K_{sp}(Ag_{2}CrO_{4}) = [Ag^{+}]^{2}[CrO_{4}^{2-}]\\
\leftrightarrow 3.2×10^{-11} = (2x)^{2} × x\\
\therefore x = 2.0×10^{-4}(mol/L)
\]

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溶解度積を使って沈殿生成の有無を判定する問題

問題

Ag+の濃度が4.0×10-5mol/L、Clの濃度が5.0×10-6mol/Lのとき、沈殿が生成するか判断せよ。AgClの溶解度積は1.8×10-10(mol/L)2とする。

溶解度積を使った沈殿生成判定は次の2STEPで行う。

STEP1

仮の溶解度積を求める。

沈殿生成の有無を判断するときは、まず「仮の溶解度積」を求める。

\[
\begin{align} 仮の溶解度積(\widetilde{ K_{sp} }) &=[Ag^{+}][Cl^{-}]\\
&=4.0×10^{-5}×5.0×10^{-6}\\
&=2.0×10^{-10}(mol/L)^{2} \end{align}
\]

STEP2

仮の溶解度積と溶解度積を比較する。

次に、仮の溶解度積と溶解度積を比較し、沈殿生成の有無を決定する。

沈殿
仮の溶解度積>(真の)溶解度積 生成する
仮の溶解度積=(真の)溶解度積 (ギリ)生成しない
仮の溶解度積<(真の)溶解度積 生成しない

仮の溶解度積が(問題文で与えられている)溶解度積を超えている場合のみ沈殿が生成する。

今回の問題文中にあるAgClの溶解度積は1.8×10-10(mol/L)2で、求めた仮の溶解度積が2.0×10-10(mol/L)なので…

\[
\underbrace{ 2.0×10^{-10} }_{ 仮の溶解度積 } > \underbrace{ 1.8×10^{-10} } _{ 真の溶解度積 }
\]

仮の溶解度積>真の溶解度積となり沈殿は生成する。


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関連:溶解度計算も忘れずに。

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