【プロ講師解説】このページでは『極性溶媒と無極性溶媒(非極性溶媒)の違い』について解説しています。解説は高校化学・化学基礎を扱うウェブメディア『化学のグルメ』を通じて6年間大学受験に携わるプロの化学講師が執筆します。
極性溶媒とは
極性溶媒とは極性をもつ分子(=極性分子)からなる溶媒である。
極性溶媒の例としては、水H2OやエタノールC2H5OHなどが挙げられる。
無極性溶媒とは
無極性溶媒とは極性をもたない分子(=無極性分子)からなる溶媒である。
無極性溶媒の例としては、ベンゼンC6H6やヘキサンC6H14、四塩化炭素CCl4などが挙げられる。
極性溶媒・無極性溶媒に溶けやすい物質
極性溶媒
極性分子が溶けやすい
無極性溶媒
無極性分子が溶けやすい
極性溶媒には極性分子が溶けやすく、無極性溶媒には無極性分子が溶けやすい。つまり、似た者同士はよく溶ける。
原理は次の通り。
極性溶媒(例えば水)中に存在する分子は極性分子であり、分子内の一部はややプラスに、一部はややマイナスに電荷が偏っている。
ここに、極性分子であるエタノールを入れると、お互いの電荷がプラスの所とマイナスの所が引き合って、緩い結合(今回は水素結合を形成する原子の組み合わせなので水素結合)が形成される。
その結果、エタノール分子が水分子に囲まれて他のエタノール分子と引き離されることになるので、いわゆる“水和した(=溶けた)”状態になる。
ちなみに、水和した極性分子は水和分子と呼ばれる。
※水素結合について詳しくは分子間力(水素結合・ファンデルワールス力・沸点のグラフなど)を参照
※水和について詳しくは【図解】水和・水和物(定義・例・原理・仕組みなど)を参照
極性溶媒とイオン結晶
イオン結晶とは、陽イオンと陰イオンにより形成されている結晶である。
イオン結晶として最も有名なのは塩化ナトリウムNaClである。
NaClは水の中で次のように電離している。
NaCl → Na^{+}+Cl^{-}
\]
電離の結果できたNa+とCl–の周りには、それぞれ水分子のδ–部分とδ+部分が近づいてくる。
結果、イオンが水分子に取り囲まれ、他のイオンと引き離される。(=水和=溶解)
ちなみに、水和したイオンは水和イオンと呼ばれる。
※水和について詳しくは【図解】水和・水和物(定義・例・原理・仕組みなど)を参照
※陽イオン・陰イオンについて詳しくは陽イオン・陰イオン(違い・一覧・イオン式・価数・多原子イオンなど)を参照
演習問題
問1
極性をもつ分子(=極性分子)からなる溶媒を【1】という。
問2
問3
極性をもたない分子(=無極性分子)からなる溶媒を【1】という。
問4
問5
分子やイオンが水分子に取り囲まれ、”溶ける”ことを【1】するという。
問6
水和した分子を【1】という。
問7
水和したイオンを【1】という。
関連:計算ドリル、作りました。
化学のグルメオリジナル計算問題集「理論化学ドリルシリーズ」を作成しました!モル計算や濃度計算、反応速度計算など入試頻出の計算問題を一通りマスターできるシリーズとなっています。詳細は【公式】理論化学ドリルシリーズにて!


・化学のグルメ運営代表
・高校化学講師
・薬剤師
・デザイナー/イラストレーター
数百名の個別指導経験あり(過去生徒合格実績:東京大・京都大・東工大・東北大・筑波大・千葉大・早稲田大・慶應義塾大・東京理科大・上智大・明治大など)
2014年よりwebメディア『化学のグルメ』を運営
公式オンラインストアで販売中の理論化学ドリルシリーズ・有機化学ドリル等を執筆
著者紹介詳細