極性溶媒と無極性溶媒

目次

はじめに

【プロ講師解説】このページでは『極性溶媒と無極性溶媒』について解説しています。


極性溶媒とは

  • 極性をもつ分子(=極性分子)からなる溶媒を極性溶媒という。
  • 極性溶媒の例としては、水H2OやエタノールC2H5OHなどが挙げられる。

無極性溶媒とは

  • 極性をもたない分子(=無極性分子)からなる溶媒を無極性溶媒という。
  • 無極性溶媒の例としては、ベンゼンC6H6やヘキサンC6H14、四塩化炭素CCl4などが挙げられる。

極性溶媒・無極性溶媒に溶けやすい物質

●極性溶媒
極性分子が溶けやすい
●無極性溶媒
無極性分子が溶けやすい

  • 極性溶媒には極性分子が溶けやすく、無極性溶媒には無極性分子が溶けやすい。つまり、似た者同士はよく溶ける。以降この原理について解説する。
  • 極性溶媒(例えば水)中に存在する分子は極性分子であり、分子内の一部はややプラスに、一部はややマイナスに電荷が偏っている。
  • ここに、極性分子であるエタノールを入れると、お互いの電荷がプラスの所とマイナスの所が引き合って、緩い結合(今回は水素結合を形成する原子の組み合わせなので水素結合)が形成される。
  • その結果、エタノール分子が水分子に囲まれて他のエタノール分子と引き離されることになるので、いわゆる“水和した(=溶けた)”状態になる。
  • ちなみに、水和した極性分子は水和分子とよばれる。

参考:分子間力(水素結合・ファンデルワールス力・沸点のグラフなど)
参考:【図解】水和・水和物(定義・例・原理・仕組みなど)


極性溶媒とイオン結晶

  • 陽イオンと陰イオンにより形成される結晶をイオン結晶という。
  • イオン結晶として最も有名なのは塩化ナトリウムNaClである。
    NaClは水の中で次のように電離している。

\[ \mathrm{NaCl → Na^{+}+Cl^{-} }\]

  • 電離により生じるナトリウムイオンNaと塩化物イオンClの周りには、それぞれ水分子のδ部分とδ部分が近づいてくる。
  • その結果、イオンが水分子に取り囲まれ、他のイオンと引き離される。(=水和=溶解)
  • ちなみに、水和したイオンは水和イオンとよばれる。

参考:【図解】水和・水和物(定義・例・原理・仕組みなど)
参考:陽イオン・陰イオン(違い・一覧・イオン式・価数・多原子イオンなど)


演習問題

化学のグルメでは、高校化学・化学基礎の一問一答問題を公開しています。問題一覧は【スマホで出来る】一問一答(高校化学・化学基礎)でご覧下さい。

問1

極性をもつ分子(=極性分子)からなる溶媒を【1】という。

解答/解説:タップで表示

解答:【1】極性溶媒

極性をもつ分子(=極性分子)からなる溶媒を極性溶媒という。

問2

問1で答えた溶媒の具体例を2つ挙げよ。

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解答:水・エタノール

極性溶媒の例としては、水H2OやエタノールC2H5OHなどが挙げられる。

問3

極性をもたない分子(=無極性分子)からなる溶媒を【1】という。

解答/解説:タップで表示

解答:【1】無極性溶媒

極性をもたない分子(=無極性分子)からなる溶媒を無極性溶媒という。

問4

問3で答えた溶媒の具体例を2つ挙げよ。

解答/解説:タップで表示

解答:ベンゼン・四塩化炭素

無極性溶媒の例としては、ベンゼンC6H6やヘキサンC6H14、四塩化炭素CCl4などが挙げられる。

問5

分子やイオンが水分子に取り囲まれ、”溶ける”ことを【1】するという。

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解答:【1】水和

分子やイオンが水分子に取り囲まれて”溶ける”ことを水和するという。

問6

水和した分子を【1】という。

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解答:【1】水和分子

水和した分子を水和分子という。

問7

水和したイオンを【1】という。

解答/解説:タップで表示

解答:【1】水和イオン

水和したイオンを水和イオンという。

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著者情報

元講師、薬剤師、イラストレーター
数百名の中高生向け指導経験あり(過去生徒合格実績:東工大・東北大・筑波大・千葉大・岡山大・早稲田大・慶應義塾大・東京理科大・上智大・明治大など)。
2014年よりwebメディア『化学のグルメ』を運営
公式オンラインストアで販売中の理論化学ドリルシリーズ・有機化学ドリル等を執筆
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