はじめに

金属の単位格子は面心立方格子・体心立方格子・六方最密構造に分類することができる。今回はそのうちの1つである面心立方格子について、配位数や充填率、密度、格子定数、半径などを丁寧に解説していこうと思う。入試でも頻繁に問われる部分なので、是非この機会にマスターしておこう!!


スポンサーリンク

面心立方格子とは

次の図のように、立体の各頂点と各面の中心に同種の粒子が配列された結晶格子を面心立方格子という。

面心立方格子に含まれる原子

4コ
Point!

面心立方格子の図をもう一度確認しよう。

面心立方格子に含まれる原子のうち、格子の各“頂点”にあるものは原子を8分割した状態になっている。

従って、8分割(1/8)したものが頂点の数分=8コあるので…

\[
\frac{ 1 }{ 8 }×8=1
\]

頂点にある原子の数は合わせて1コである。

次に、面心立方格子の各“面”に存在する原子の数を数えていく。
格子の6面(横に4面上下に1面ずつ)にある原子は球体の原子を2分割したものになっている。

従って、2分割(1/2)したものが、各面の数分=6コあるので…

\[
\frac{ 1 }{ 2 }×6=3
\]

面にある原子の数は合わせて3コである。

以上より、面心立方格子に含まれる原子数は

\[
\underbrace{ 1 }_{ 頂点 }+\underbrace{ 3 }_{ 面 }=4
\]

4コとなる。


スポンサーリンク

面心立方格子の配位数

12
Point!

面心立方格子を2つつなぎ合わせると次のようになる。

中心の部分で、左側の単位格子に含まれる原子(1/2のもの)と右側の単位格子に含まれる原子(1/2のもの)が合わさって、1つの球状の原子が出来上がっているね。
配位数とは「1コの原子を取り囲む他の粒子の数」のことなので、図から面心立方格子では12であることがわかるね。

面心立方格子の格子定数と原子半径

4r=√2a
Point!

格子定数とは「単位格子の1辺の長さ」である。

面心立方格子の側面だけを見ると次のようになっている。(原子半径をr、格子定数をaとする)

ここで、三平方の定理を用いると次のような式を立てることができる。

\[
(4r)^{2}=a^{2}+a^{2}
\]

これを整理すると…

\[
(4r)^{2}=2a^{2}\\
\Leftrightarrow 4r=\sqrt{ 2 }a\\
\Leftrightarrow r=\frac{ \sqrt{ 2 } }{ 4 }a
\]

これが、面心立方格子の格子定数と原子半径の関係である。


スポンサーリンク

面心立方格子の充填率

74%
Point!

充填率とは、単位格子の体積に占める原子の体積の割合である。

\[
充填率=\frac{ 原子の体積 }{ 単位格子の体積 }×100
\]

上の「面心立方格子に含まれる原子の数」でやったように、面心立方格子は単位格子中に4コの原子を含んでいるので、次のような式を立てることができる。

\[
\begin{align}
充填率&=\frac{ 原子の体積 }{ 最密構造の体積 }×100\\
&=\frac{ \frac{ 4 }{ 3 }πr^{3}×4 }{ a^{3} }×100\\
\end{align}
\]

単位格子の1辺の長さ(格子定数)はaなので、単位格子の体積は(縦×横×高さで)a3となる。
また、球の体積は4/3πr3と表すことができる(これは数学の知識)ので、面心立方格子に4つの原子が含まれることを考えると、原子の体積の合計は4/3πr3×4となる。

これを解くと…

\[
\begin{align}
充填率&=\frac{ 原子の体積 }{ 最密構造の体積 }×100\\
&=\frac{ \frac{ 4 }{ 3 }πr^{3}×4 }{ a^{3} }×100\\
&=\frac{ \frac{ 4 }{ 3 }π(\frac{ \sqrt{ 2 } }{ 4 }a)^{3}×4 }{ a^{3} }×100\\
&=\frac{ \sqrt{ 2 }π }{ 6 }×100\\
&=74(\%)
\end{align}
\]

充填率は74%となる。

面心立方格子の密度

立方格子の密度は『g/cm3』という単位で表されることが多い。

この単位のうち、分子のgは立方格子に含まれる原子の重さを、分母のcm3は立方格子全体の体積を示している。

従って、アボガドロ定数をN(コ/mol)、立方格子に含まれる原子の原子量をM(g/mol)とすると、立方格子の密度は次のように表すことができる。(この式は面心立方格子だけでなく体心立方格子でも共通)

\[
密度(g/cm^{3})=\frac{ \frac{ M(g/mol) }{ N(コ/mol) }×原子の数(コ) }{ a^{3}(cm^{3}) }
\]

ちなみに分子の部分は、原子量M(g/mol)をアボガドロ定数N(コ/mol)で割ることで(molとmolが約分されて)「g/コ」を出し、それに原子の数(コ)をかけることで「g」を導き出している。

あとはこの式に、アボガドロ定数である6.0×1023(コ/mol)、面心立方格子に含まれる原子の数である4(コ)、問題文で与えられている分子量(g/mol)、問題文に与えられている格子の1辺の長さaを3乗して求めた立方格子の体積a3を代入すれば、面心立方格子の密度を求めることができる。

まとめ

原子の個数 4コ
配位数 12コ
格子定数と原子半径の関係 4r=√2a
充填率 74%

スポンサーリンク

演習問題

問1

面心立方格子に含まれる原子の数はいくつか。
【問1】解答/解説:タップで表示
解答:4コ

1/8のものが8コ(各頂点)、1/2のものが6コ(各面)あるので合計4コである。

問2

面心立方格子の配位数はいくつか。
【問2】解答/解説:タップで表示
解答:12コ

面心立方格子を2つ組み合わせると、1つの原子に接近する原子は全部で12コだったね。

問3

面心立方格子の格子定数と原子半径の関係はどのように表されるか。
【問3】解答/解説:タップで表示
解答:4r=√2a

面心立方格子を側面から見た図から、次のような計算ができるんだったね。

\[
(4r)^{2}=a^{2}+a^{2}
\]

これを整理すると…

\[
(4r)^{2}=a^{2}+a^{2}\\
\Leftrightarrow (4r)^{2}=2a^{2}\\
\Leftrightarrow 4r=\sqrt{ 2 }a
\]

問4

面心立方格子の充填率はいくつか。
【問4】解答/解説:タップで表示
解答:74%

面心立方格子の充填率は次のような式で求めることができた。

\[
\begin{align}
充填率&=\frac{ 原子の体積 }{ 最密構造の体積 }×100\\
&=\frac{ \frac{ 4 }{ 3 }πr^{3}×4 }{ a^{3} }×100\\
&=\frac{ \frac{ 4 }{ 3 }π(\frac{ \sqrt{ 2 } }{ 4 }a)^{3}×4 }{ a^{3} }×100\\
&=\frac{ \sqrt{ 2 }π }{ 6 }×100
&=74(\%)
\end{align}
\]

関連:計算ドリル、作りました。

化学のグルメオリジナル計算問題集「理論化学ドリルシリーズ」を作成しました!

モル計算や濃度計算、反応速度計算など入試頻出の計算問題を一通りマスターできるシリーズとなっています。詳細は【公式】理論化学ドリルシリーズにて!


スポンサーリンク