はじめに

有機化合物の立体構造は異性体を考える上で極めて重要。このページでは、くさび形と破線で表される立体構造表記や炭素原子間の結合と距離、結合と回転の関係などについて一から丁寧に解説していく。ぜひこの機会に有機化合物の結合と立体構造、回転をマスターして、有機化合物の基礎を身につけよう!


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破線-くさび形表記法

有機化合物の構造は立体構造を意識して破線-くさび形表記法で表されることがある。

上図において、実線で表した結合は画面上にあり、くさび形で表した結合が画面から手前、つまりキミ自身の方へ伸びていて、破線で表した結合が画面から奥、つまりキミ自身から遠ざかるように伸びていることを意味する。

単結合・二重結合・三重結合の立体配置

単結合の場合、炭素に結合している4つの原子(原子団)は立体的に四面体の頂点方向に位置する。二重結合の場合、3つの原子(原子団)は立体的に正三角形の頂点方向に位置する。三重結合の場合、2つの原子(原子団)は立体的に直線方向に位置する。つまり、炭素原子間の電子対はできるだけ離れて配置される。

ちなみに、二重結合を作る2つの電子対のうち1つ、三重結合を作る3つの電子対のうち2つは、原子が並んだ面の上下にフワフワ漂う形で存在しており、化合物全体の形には影響しない。

【発展】このフワフワした電子対による結合はπ(パイ)結合と呼ばれる。またそれ以外の通常の結合はσ(シグマ)結合と呼ばれる。

炭素原子間の距離と結合

炭素原子間の結合の多重度が大きくなる(単結合→二重結合→三重結合)につれ、原子間はより強く結び付けられるため、原子間の距離は短くなる。

結合と回転

炭素-炭素単結合は回転できる。一方、炭素-炭素二重結合は回転できない。

例えばエタンは炭素原子間が1つの共有電子対で結びつけられている。この電子対はC-C軸上に存在し、結合の回転に影響がない。したがって、炭素-炭素単結合はC-C軸まわりの回転が可能である。

ちなみに、環状炭化水素の環内のC-C結合は、C-C軸まわりに回転するのは困難である。(ねじれるだけで回らない)

しかし、C-C結合の軸まわりで回転するのはできなくても、環構造の一部を折り紙のように動かすことで、いすのような形や船のような形に変化することはできる。

いす形は立体障害が小さいため、舟形に比べて安定である。

炭素-炭素二重結合(三重結合でも同様)は、単結合のように結合まわりで回転するのは難しい。これは回転させるにはπ結合を切断しなくてはならず、切断に大きなエネルギーが必要だからである。

ちなみに、カードをめくるように、表裏をひっくり返すことはできる。ただし、原子間の距離は変わっておらず、同じ構造式の見る方向を変えただけである。


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