【プロ講師解説】このページでは『酸・塩基の価数(定義や例、見分け方など)』について解説しています。解説は高校化学・化学基礎を扱うウェブメディア『化学のグルメ』を通じて6年間大学受験に携わるプロの化学講師が執筆します。

酸・塩基の価数

酸の価数 酸のもつH+の数
塩基の価数 塩基のもつOHの数
Point!

酸がもっているH+の数を酸の価数、塩基がもっているOHの数を塩基の価数という。

価数は酸・塩基の化学式を見れば判断できる場合が多い。

HClは化学式中にHを1コもっているので1価の酸、Ca(OH)2は化学式中に2コのOHをもっているので2価の塩基となる。

価数一覧

高校化学で頻出の酸・塩基の価数を一覧表にまとめてみよう。

酸の価数一覧表

強酸 価数 弱酸
HCl(塩化水素)
HBr(臭化水素)
HI(ヨウ化水素)
HNO3(硝酸)
1価 HF(フッ化水素)CH3COOH(酢酸)
H2SO4(硫酸) 2価 H2CO3(炭酸)
H2S(硫化水素)
H2C2O4(シュウ酸)
3価 H3PO4(リン酸)

塩基の価数一覧表

強塩基 価数 弱塩基
NaOH(水酸化ナトリウム) 1価 NH3(アンモニア)
Ca(OH)2(水酸化カルシウム) 2価 Cu(OH)2(水酸化銅)
Mg(OH)2(水酸化マグネシウム)
Zn(OH)2(水酸化亜鉛)
3価 Al(OH)3(水酸化アルミニウム)
Fe(OH)3(水酸化鉄)

注意が必要な酸・塩基

酢酸CH3COOH

CH3COOHの中にはH原子が4つあるが、電離してH+になるのは1コのみなので、酢酸は1価の酸である。

\[
CH_{3}COOH ⇄ CH_{3}COO^{-} + H^{+}
\]

二酸化炭素CO2

CO2の価数は見ただけではわかりにくい。CO2は水中でH2CO3となり、H+を2コもつので2価の酸である。

\[
CO_{2} + H_{2}O ⇄ H_{2}CO_{3}
\]

NH3

アンモニアは水中で水から1コのH+を受け取り、結果的に1コのOHを生じるので、1価の塩基である。

\[
NH_{3} + H_{2}O ⇄ NH_{4}^{+} + OH^{-}
\]

価数に関する演習問題

問1

【】に当てはまる用語を答えよ。

酸がもっているH+の数を酸の【1】、塩基がもっているOHの数を塩基の【1】という。

【問1】解答/解説:タップで表示
解答:【1】価数
問2

【】に当てはまる用語を答えよ。

次の中で2価の酸は【1】である。
①HCl
②Ca(OH)2
③H3PO4
④H2SO4
⑤HF

【問2】解答/解説:タップで表示
解答:【1】④

①と⑤は1価の酸、②は2価の塩基、③は3価の酸である。

問3

【】に当てはまる用語を答えよ。

溶解している酸・塩基の量に対する、電離している酸・塩基の量の割合を【1】といい、記号【2】で表すことが多い。

【問3】解答/解説:タップで表示
解答:【1】電離度【2】α

電離度とは、溶解している酸・塩基の量に対する、電離している酸・塩基の量の割合である。電離度は記号αで表すことが多い。


※電離度について詳しくは電離度(求め方・公式・酸/塩基の強弱との関係など)を参照

問4

【】に当てはまる用語を答えよ。

電離度α=1だと、溶解した酸・塩基は完全に電離している。電離度α=0.8だと、溶解した酸・塩基のうち【1】割が電離している。

【問4】解答/解説:タップで表示
解答:【1】8

電離度α=1だと、溶解した酸・塩基は完全に電離している。電離度α=0.8だと、溶解した酸・塩基のうち8割が電離している。


※電離度について詳しくは電離度(求め方・公式・酸/塩基の強弱との関係など)を参照

問5

【】に当てはまる用語を答えよ。

弱酸である酢酸の濃度が低くなると、酢酸の電離度αは【1(大きor小さ)】くなる。

【問5】解答/解説:タップで表示
解答:【1】大き

※電離度について詳しくは電離度(求め方・公式・酸/塩基の強弱との関係など)を参照

問6

【】に当てはまる用語を答えよ。

濃度が同じ場合、弱酸の電離度は【1】によって異なる。

【問6】解答/解説:タップで表示
解答:【1】温度

※電離度について詳しくは電離度(求め方・公式・酸/塩基の強弱との関係など)を参照

問7

【】に当てはまる用語を答えよ。

電離度の大きい酸・塩基をそれぞれ【1(強or弱)】酸・【1(強or弱)】塩基、電離度の小さい酸・塩基をそれぞれ【2(強or弱)】酸・【2(強or弱)】塩基という。

【問7】解答/解説:タップで表示
解答:【1】強【2】弱

※電離度について詳しくは電離度(求め方・公式・酸/塩基の強弱との関係など)を参照
※酸・塩基の強さについて詳しくは強酸・弱酸・強塩基・弱塩基(違い・覚え方・一覧など)を参照

関連:計算ドリル、作りました。

化学のグルメオリジナル計算問題集「理論化学ドリルシリーズ」を作成しました!

モル計算や濃度計算、反応速度計算など入試頻出の計算問題を一通りマスターできるシリーズとなっています。詳細は【公式】理論化学ドリルシリーズにて!


著者プロフィール

・化学のグルメ運営代表
・高校化学講師
・薬剤師
・デザイナー/イラストレーター

数百名の個別指導経験あり(過去生徒合格実績:東京大・京都大・東工大・東北大・筑波大・千葉大・早稲田大・慶應義塾大・東京理科大・上智大・明治大など)
2014年よりwebメディア『化学のグルメ』を運営
公式オンラインストアで販売中の理論化学ドリルシリーズ・有機化学ドリル等を執筆

著者紹介詳細