はじめに

このページでは、反応速度計算について一から丁寧に解説していく。大学入試でも頻出の分野なので必ず理解しておくようにしよう。


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反応速度と2つの式

Point!

化学反応の速度を考える時に使う、2つの式について紹介しよう。

定義式

以下のような化学反応が起こるとしよう。

\[
A→B+C
\]

これを、グラフにすると…

このとき、青の区間の平均の反応速度は…

\[
\overline{ V }=\left|\frac{ [A]_{2}-[A]_{1} }{ t_{2}-t_{1} }\right|
\]

このように表すことができる。

[A]1は時間t1の時の反応物Aの濃度、[A]2は時間t2の時の反応物Aの濃度のこと。(Aの濃度は減少しているため、分子が負の値になってしまう。速度にマイナスがつくのはおかしいので、絶対値を付けている。)

また、この式は「反応速度とはこういうものである」として定義されたものなので、「定義式」と呼ぶことにする。

速度式

反応速度は、反応速度定数(K)を用いて以下のように表すこともできる。

\[
平均の速度\overline{ V }=K・[\overline{ A }]\\
瞬間の速度V=K・[A] \]

この反応速度定数(K)を用いた式は「速度式」と呼ばれ、「平均の速度」と「瞬間(一時点)の速度」のどちらを求めるときにも使うことができる。

ちなみにAの平均濃度は以下の式によって求めることができる。

\[
[\overline{ A }]=\frac{ [A]_{1}+[A]_{2} }{ 2 }
\]
PLUS+.1

反応速度定数(K)は以下のように定義づけられている。

\[
K=A・e^{-\frac{ E_{a} }{ RT }}
\]

A:定数(頻度因子)、T:絶対温度、Ea:活性化エネルギー、R:気体定数(8.31×10-3kJ/(mol/K))

この式は、「アレニウスの式」と呼ばれている。
高校では、この式を使ってKを求めることはほぼないが、式の名前くらいは覚えておこう。

 
PLUS+.2

反応物が2つ以上の場合、速度式が少し変化する。

例えば、次のような反応があるとしよう。

\[
A+2B→C+D
\]

この反応の平均の速度を、速度式で表すと…

\[
V=K・[A][B]^{2}
\]

このようになる。
2つの反応物の濃度を掛け合わせているね。

また、[B]に2乗がついていることに注目しよう。
この2乗は、「反応式のBの係数」からきている。反応式中の反応物の係数によって、濃度を何乗するのかが決まってくるんだ。(係数が1だと、1乗なので書かなくてよい。)

入試頻出の計算

Point!

定義式と速度式を使った、入試で頻出の計算パターンがある。上の3STEPに基づいて解説していこう。

問題

A→2B+Cの反応が起こるとする。
一定温度でAの濃度を測定すると下図のようになった。

t(s) [A](mol/L)
0 6.00
100 4.00

(1)0から100秒の平均の速度(mol/(L・s))を求めよ。
(2)反応速度定数(K)の値を求めよ。
(3)実験開始から200秒後のAの濃度は3.5(mol/L)であった。この時点における瞬間の速さを求めよ。

STEP1

定義式を用いて平均の速度を求める

まずは、定義式を用いて平均の速度を求める。

\[
\begin{align}
\overline{ V }&=\left|\frac{ [A]_{2}-[A]_{1} }{ t_{2}-t_{1} }\right|\\
&=\left|\frac{ 4.00-6.00 }{ 100-0 }\right|\\
&=2.00×10^{-2}
\end{align}
\]

STEP2

速度式(平均の速さ)を用いて反応速度定数(K)を求める

次に、速度式(平均の速さ)を用いて反応速度定数(K)を求める。

\[
\overline{ V }=K・[\overline{ A }]\\
2.00×10^{-2}=K・\frac{ 6.00+4.00 }{ 2 }\\
K=4.00×10^{-3}
\]

STEP3

速度式(瞬間の速さ)」を用いて瞬間の速さを求める

次に、速度式(瞬間の速さ)を用いて瞬間の速さを求める。

\[
\begin{align}
V&=K・[A]\\
&=4.00×10^{-3}×3.50\\
&=1.4×10^{-2}
\end{align}
\]

問題演習

問1

水素とヨウ素を密閉容器に入れ加熱すると、以下の反応が起こる。
\[
H_{2}+I_{2}⇄2HI
\] (1)正反応・逆反応の速さ(V1・V2)を、それぞれ式で表しなさい。ただし、正反応の反応速度定数はK1、逆反応の反応速度定数はK2とする。
(2)この反応において、H2の濃度を2倍、I2の濃度を3倍にすると、正反応の速さは何倍になるか。
(3)この反応において、圧力を元の4倍にしたとすると、正反応の速さは何倍になるか。
【問1】解答/解説:タップで表示
解答:(1)『正反応』V1=K1×[H2][I2]『逆反応』V2=K2×[HI]2
(2)6倍
(3)16倍

(1)
まずは、正反応と逆反応の違いについて理解しておこう。

\[
H_{2}+I_{2}\underset{逆反応}{\overset{正反応}{\rightleftarrows}}2HI
\]

正反応は左向きの反応、逆反応は右向きの反応だね。

正反応の速度式は、上で説明してきた通りこの式を使う。

\[
V=K・[A] \]

今回は、反応物(上の式のA)がH2とI2の2つなので、次のように表すことができる。

\[
V_{1}=K_{1}×[H_{2}][I_{2}] \]

次は、逆反応の速度式を考えていく。

まず逆反応における「反応物」がなにかに注目してみよう。
今回の反応式における逆反応では、HIからH2とI2が生成しているね。したがって、反応物は「HI」だということになる。(反応のスタート時点の物質=反応物)

正反応と同じく次の式を用いて考えると…

\[
V=K・[A] \]
\[
V_{2}=K_{2}×[HI]^{2}
\]

このようになるね。逆反応では、HIなので反応物の濃度([A])のところにはHIの濃度([HI])を当てはめている。

また、[HI]が2乗になっていることに注意しよう。
今回は反応式中のHIの係数が「2」だから、速度式の[HI]は2乗になる。
反応式の係数によって、何乗になるかが決まってくるんだったね。

(2)
(1)より正反応の反応式は…

\[
V_{1}=K_{1}×[H_{2}][I_{2}] \]

だった。
H2の濃度が2倍に、I2の濃度が3倍になったということは、[H2]×[I2]は2×3で6倍になったと考えられるよね。従って、正反応の速度は6倍になる。

(3)
圧力が4倍になると…体積は4分の1になる。体積が4分の1になると(その分狭くなったスペースにたくさんの分子が閉じ込められるわけだから)濃度は4倍になる。

したがって、[H2]と[I2]の濃度がそれぞれ4倍になるので…

\[
V=K×\underbrace{ [H_{2}] }
_{ \text{ 4倍! }}\underbrace{ [I_{2}] }
_{ \text{ 4倍! }}
\]

反応速度は4×4で16倍となる。

問2

A→2B+Cの反応が起こるとする。
一定温度でAの濃度を測定すると下図のようになった。

t(s) [A](mol/L)
0 9.00
800 3.00

(1)0から800秒の平均の速度(mol/(L・s))を求めよ。
(2)反応速度定数(K)の値を求めよ。
(3)実験開始から1200秒後のAの濃度は2.0(mol/L)であった。この時点における瞬間の速さを求めよ。

【問2】解答/解説:タップで表示
解答:(1)V1=K1×[H2][I2] (2)6倍
(3)16倍

これは、上で入試で頻出の問題形式として紹介した計算問題だね。
先ほど同様、3STEPで解説していこう。

(1)『STEP1』
まずは、「定義式を用いて平均の速度を求める。」

\[
\begin{align}
\overline{ V }&=\left|\frac{ [A]_{2}-[A]_{1} }{ t_{2}-t_{1} }\right|\\
&=\left|\frac{ 3.00-9.00 }{ 800-0 }\right|\\
&=7.50×10^{-3}
\end{align}
\]

(2)『STEP2』
次に、「速度式(平均の速さ)」を用いて反応速度定数(K)を求める。」

\[
\overline{ V }=K・[\overline{ A }]\\
7.50×10^{-3}=K・\frac{ 9.00+3.00 }{ 2 }\\
K=1.25×10^{-3}
\]

(3)『STEP3』
次に、「速度式(瞬間の速さ)」を用いて瞬間の速さを求める。」

\[
\begin{align}
V&=K・[A]\\
&=1.25×10^{-3}×3.50\\
&≒4.38×10^{-3}
\end{align}
\]

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