【プロ講師解説】このページでは『酸素の単体と化合物の性質・製法』について解説しています。解説は高校化学・化学基礎を扱うウェブメディア『化学のグルメ』を通じて6年間大学受験に携わるプロの化学講師が執筆します。
酸素の単体
酸素の単体には酸素O2とオゾンO3の2種類が存在する。
これら2つは、同じ酸素元素からできているため同素体の関係にあるが、様々な点で違いがある。
酸素 | オゾン | |
---|---|---|
化学式 | O2 | O3 |
構造 | ![]() ![]() |
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色 | 無色 | 淡青色 |
におい | 無臭 | 特異臭 |
酸化力 | あり | あり |
製法 | 酸化物の分解 液体空気の分留 |
酸素の無声放電 酸素への紫外線照射 |
その他性質 | 助燃性あり | 紫外線を吸収する |
酸素は酸素O原子2個が二重結合してできた分子であり、オゾンはその酸素分子に1個のO原子が配位結合した構造になっている。
また、色・臭いなどに関しては上の表の通りで、オゾンが非常に特徴的な色・臭いをもつ。
※気体の色・臭いについて詳しくは気体の性質(色・臭い・毒性・水溶液の液性など)を参照
酸素は実験室内ではH2O2やKClO3などの酸化物を(触媒としてMnO2を用いて)熱分解することによって得られる。
2H_{2}O_{2} → 2H_{2}O + O_{2}\\
2KClO_{3} → 2KCl + 3O_{2}
\]
また、工業的には(窒素と同じく)液体空気の分留によって生成される。
オゾンは、O2の無声放電(高電圧の放電)や紫外線照射によって得ることができる。
3O_{2} → 2O_{3}
\]
※無機化学で頻出の気体の製法については気体の製法(反応式・原理・注意事項など)を参照
酸素の酸化物
酸素は様々な原子と結びついて酸化物を形成する。
酸化物には、酸性酸化物・塩基性酸化物・両性酸化物があり、それぞれの水や酸・塩基との反応はよく理解しておく必要がある。
※酸化物について詳しくは酸性酸化物・塩基性酸化物・両性酸化物(違い・見分け方・一覧・反応など)を参照
酸素の水酸化物(水/過酸化水素)
水 | 過酸化水素 | |
---|---|---|
化学式 | H2O | H2O2 |
構造 | ![]() ![]() |
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特徴 | 沸点が高い | 酸化還元反応において酸化剤としても還元剤としても働く |
酸素の主な水素化物としては、水H2Oと過酸化水素H2O2が挙げられる。
水は分子間で水素結合を形成するため(分子間の繋がりがなかなか切れないので)沸点・融点が高いのが特徴的。
過酸化水素は半反応式一覧にあるように、酸化還元反応において酸化剤としても還元剤としても働く。
酸化剤: H_{2}O_{2} + 2H^{+} + 2e^{-} → 2H_{2}O\\
還元剤: H_{2}O_{2} → O_{2} + 2H^{+} + 2e^{-}
\]
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・化学のグルメ運営代表
・高校化学講師
・薬剤師
・デザイナー/イラストレーター
数百名の個別指導経験あり(過去生徒合格実績:東京大・京都大・東工大・東北大・筑波大・千葉大・早稲田大・慶應義塾大・東京理科大・上智大・明治大など)
2014年よりwebメディア『化学のグルメ』を運営
公式オンラインストアで販売中の理論化学ドリルシリーズ・有機化学ドリル等を執筆
著者紹介詳細