【プロ講師解説】このページでは『酸性酸化物・塩基性酸化物・両性酸化物(違い、定義、それぞれの酸・塩基との反応など)』について解説しています。解説は高校化学・化学基礎を扱うウェブメディア『化学のグルメ』を通じて6年間大学受験に携わるプロの化学講師が執筆します。
Recipes
酸化物とは
酸化された化合物を酸化物という。
酸化物はその反応性によって3つのタイプに分類されており、酸と反応する塩基性酸化物、塩基と反応する酸性酸化物、酸・塩基両方と反応する両性酸化物がある。
酸化物の分類
非金属元素の酸化物→酸性酸化物
上に書いたように、酸化物は塩基性酸化物・酸性酸化物・両性酸化物の3種類存在するが、一般に、金属元素の酸化物は塩基性酸化物で、非金属元素の酸化物は酸性酸化物である。
そして、周期表上で金属元素と非金属元素の境目付近に属する金属元素(両性元素)アルミニウムAl、亜鉛Zn、スズSn、鉛Pbなどの酸化物が両性酸化物にあたる。
金属元素の酸化物
金属元素の酸化物である塩基性酸化物の構造や特徴、化学式の作り方を探っていく。
金属元素の酸化物の構造
金属原子と酸素原子の結合は金属と非金属の結合なのでイオン結合である。
例えば、酸化マグネシウムの場合、Mg2+とO2-が規則正しく配列してイオン結晶を構成している。
金属元素の酸化物の特徴
金属元素の酸化物には必ず酸化物イオンO2-が含まれているという特徴がある。
この特徴は金属元素の酸化物が塩基性酸化物として共通の反応性を示すことにつながっている。
金属元素の酸化物の反応
金属元素の酸化物の反応については酸化物の反応(金属元素・非金属元素)を参考にしよう。
非金属元素の酸化物
非金属元素の酸化物である酸性酸化物の構造や特徴、化学式の作り方を確認する。
非金属元素の酸化物の構造
非金属原子と酸素原子の結合は非金属と非金属の結合なので共有結合である。
さらに、共有結合をすると分子を形成するので非金属元素の酸化物は分子性物質である。
非金属元素の酸化物の特徴
非金属元素の酸化物は必ずXO(Xは非金属原子)の共有結合をもつという特徴がある。
代表的な非金属の酸化物の構造式は次の通り。構造を見ると、いずれもXOの共有結合をもっていることが確認できる。
酸化物名 | 化学式 | 構造 |
---|---|---|
一酸化炭素 | CO | ![]() ![]() |
二酸化炭素 | CO2 | ![]() ![]() |
一酸化窒素 | NO | ![]() ![]() |
二酸化窒素 | NO2 | ![]() ![]() |
二酸化硫黄 | SO2 | ![]() ![]() |
三酸化硫黄 | SO3 | ![]() ![]() |
二酸化ケイ素 | SiO2 | ![]() ![]() |
十酸化四リン | P4O10 | ![]() ![]() |
七酸化二塩素 | Cl2O7 | ![]() ![]() |
共通構造であるXOの結合の極性を考えると、酸素はフッ素に次いで2番目に電気陰性度が大きいため、電子対を引き付ける力が非常に大きく、XOの共有電子対は酸素の側に大きく偏っている。その結果、XOの結合は次のように大きく分極している。
このように非金属元素の酸化物には、大きく分極したXOの共有結合が含まれているという特徴があり、この特徴が非金属元素の酸化物が酸性酸化物としての反応性を示すことにつながっている。
非金属元素の酸化物の反応
非金属元素の酸化物の反応については酸化物の反応(金属元素・非金属元素)を参考にしよう。
酸化物に関する演習問題
酸化された化合物を【1】という。【1】には【2】・【3】・【4】の3種類が存在する。
非金属の酸化物のうち「塩基と反応するもの」や「水と反応してオキソ酸になるもの」を【1】という。例としては、CO2・SiO2・P4O10・SO3などが挙げられる。
金属の酸化物のうち、酸と反応するものを【1】という。例としては、Na2O・CaO・MgOなどが挙げられる。
金属の酸化物のうち、酸とも塩基とも反応するものを【1】という。例としては、両性元素(Al・Zn・Sn・Pb)の酸化物であるAl2O3・ZnO・SnO・PbOが挙げられる。
酸性酸化物と水を反応させると【1】が生成する。
両性酸化物と塩基を反応させると【1】が生じる。
関連:無機のドリルが、できました。
無機化学の問題演習を行うための"ドリル"ができました。解答・解説編には大学入試頻出事項が網羅的にまとまっています。詳細は【公式】無機化学ドリルにて!

・化学のグルメ運営代表
・高校化学講師
・薬剤師
・デザイナー/イラストレーター
数百名の個別指導経験あり(過去生徒合格実績:東京大・京都大・東工大・東北大・筑波大・千葉大・早稲田大・慶應義塾大・東京理科大・上智大・明治大など)
2014年よりwebメディア『化学のグルメ』を運営
公式オンラインストアで販売中の理論化学ドリルシリーズ・有機化学ドリル等を執筆
著者紹介詳細