はじめに

金属元素の酸化物(塩基性酸化物)と非金属元素の酸化物(酸性酸化物)はそれぞれ特徴的な反応を示す。このページではその反応について1つ1つ丁寧に解説していく。ぜひこの機会に酸化物の反応をマスターして


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前提知識:酸化物について

酸化物の基礎事項をまだ理解できていないという人は初めに酸性酸化物・塩基性酸化物・両性酸化物の違いを徹底解説!〜定義からそれぞれの酸・塩基との反応まで〜を見てからこのページを読み進めていこう。

金属元素の酸化物の反応

金属元素の酸化物には全てに共通して酸化物イオンO2-があり、塩基性酸化物に分類される。
この特徴ゆえに全ての金属元素の酸化物にはO2-に由来する共通の反応がある。

OHがH2OからH+が1コ取れたものと考えられるのと同様、O2-はH2OからH+が2コ取れたものと考えられる。
つまり、O2-はOHよりもH+が欠乏している状態であり、O2-はH+を受け取りやすいことで有名なOHよりもさらにH+を受け取りやすいのである。
これを前提知識として、金属元素の酸化物の反応を検討していこう。

金属元素の酸化物と水の反応

金属元素の酸化物に水を加えると、金属元素の酸化物の多くは水に溶けないが、水に溶けるものの場合は水中にO2-が溶け出してくる。

O2-はH2Oと比べてH+が2コ少ない状態なので、H2OからH+を奪い次のようなイオン反応が起こる。

\[
O^{2-}+H_{2}O→OH^{-}+OH^{-}
\]

このように、金属元素の酸化物が水と反応すると、対応する水酸化物が生じる。

酸化物(O2-) + 水(H2O) → 水酸化物(2OH
Point!

以上を踏まえて、金属元素の酸化物と水の反応を表す反応式は次の3STEPで作ることができる。

STEP1 酸化物をバラバラにする
STEP2 O2-とH2Oを2つのOHにする
STEP3 2つの式を組み合わせる
Point!

例)酸化カルシウムCaOと水の反応

STEP1

酸化物をバラバラにする

まずは酸化物をバラバラにする。

\[
CaO→Ca^{2+}+O^{2-}
\]

STEP2

O2-とH2Oを2つのOHにする

次にSTEP1でできたO2-をH2Oと反応させ、2つのOHをつくる。

\[
O^{2-}+H_{2}O→2OH^{-}
\]

STEP3

2つの式を組み合わせる

最後に、STEP1とSTEP2で作った2つの式を組み合わせる。

両辺に共通しているO2-は消すことができる。
また、右辺のCa2+と2つのOHは組み合わさってCa(OH)2となる。

金属元素の酸化物と酸の反応

次に金属元素の酸化物と酸の反応を考えていく。

O2-はH+を受け取りやすく、酸はH+を出すので、O2-が酸からH+をもらって次のようなイオン反応が起こる。

\[
O^{2-}+2H^{+}→H_{2}O
\]

このように、金属元素の酸化物が酸と反応すると、水が生じる。

酸化物(O2-) + 酸(2H+) → 水(H2O)
Point!

以上を踏まえて、金属元素の酸化物と酸の反応を表す反応式は次の4STEPで作ることができる。

STEP1 酸化物をバラバラにする
STEP2 O2-と2つのH+をH2Oにする
STEP3 2つの式を組み合わせる
STEP4 足りないイオンを付け加える
Point!

例)酸化カルシウムCaOと塩酸HClの反応

STEP1

酸化物をバラバラにする

まずは酸化物をバラバラにする。

\[
CaO→Ca^{2+}+O^{2-}
\]

STEP2

O2-と2つのH+をH2Oにする

次にSTEP1でできたO2-を2つのH+と反応させ、H2Oをつくる。

\[
O^{2-}+2H^{+}→H_{2}O
\]

STEP3

2つの式を組み合わせる

次に、STEP1とSTEP2で作った2つの式を組み合わせる。

両辺に共通しているO2-は消すことができる。

STEP4

足りないイオンを付け加える

最後に、足りないイオンを付け加える。

今回はHCl中に存在するClが使われていないのでそれを両辺に足す。

非金属元素の酸化物の反応

非金属元素の酸化物には全てに共通して大きく分極した共有結合XOがあり、酸性酸化物に分類される。
この特徴ゆえに全ての非金属元素の酸化物にはXOに由来する共通の反応がある。

非金属元素の酸化物と水の反応

非金属元素の酸化物を水に加えると、大きく分極したXOとH2Oが出会うことになる。電子はマイナスの電荷をもっているため、δ+と引き合うため、水分子は分子中の酸素O原子が有している非共有電子対を頭にしてδ+の部分を攻撃する力がある。その結果、水分子が以下の通り酸化物にくっつくことになる。

Point!

このとき生じるXOHはオキソ酸に特有の構造であり、したがって、非金属の酸化物が水と反応すると対応するオキソ酸が生じることがわかる。

以上を踏まえて、非金属元素の酸化物と水の反応を表す反応式は次の2STEPで作ることができる。

STEP1 酸化物に対応するオキソ酸を考える
STEP2 酸化物と水を反応物、オキソ酸を生成物とし反応式を立てる
Point!

例)二酸化炭素CO2と水の反応

STEP1

酸化物に対応するオキソ酸を考える

非金属の酸化物と水を反応させるとオキソ酸が生成するため、まずは酸化物に対応するオキソ酸を考える。

\[
H_{2}CO_{3}
\]

オキソ酸とは?強さや構造、酸化数について具体例を用いて解説!にあるように、CO2に対応するオキソ酸は炭酸H2CO3である。

STEP2

酸化物と水を反応物、オキソ酸を生成物とし反応式を立てる

次に酸化物と水を反応物、オキソ酸を生成物とし反応式を立てる。

\[
CO_{2}+H_{2}O→H_{2}CO_{3}
\]

非金属元素の酸化物と塩基の反応

次に非金属の酸化物を塩基に加えた場合を見ていこう。
非金属の酸化物を塩基に加えると、XOと(塩基由来の)OHが出会うことになる。先述の通り、水分子は分子中の酸素O原子が有している非共有電子対を頭にしてδ+の部分を攻撃する力があるが、水酸化物イオンもδ+の部分を攻撃する力がある。むしろ、OHは全体としてマイナスの電荷をもっているので+の部分を攻撃する力は水の場合と比べて非常に強いものになっている。

この過程において、一旦生じた構造XOHは、オキソ酸の部分構造でH+を出しやすいため、すぐに別のOHと反応している。

最終的に生じた物質は、炭酸イオンCO32-や硫酸イオンSO42-といったオキソ酸由来の陰イオンである。この陰イオンは溶液中に存在する塩基由来の陽イオンと組み合わさって塩を形成する。つまり、非金属元素の酸化物が塩基と反応すると、対応するオキソ酸の塩と水が生成する。

Point!

以上を踏まえて、非金属元素の酸化物と塩基の反応を表す反応式は次の4STEPで作ることができる。

STEP1 酸化物に対応するオキソ酸を考える
STEP2 酸化物と塩基を反応物、オキソ酸の塩と水を生成物とし反応式を立てる
Point!

例)二酸化炭素CO2と水酸化カルシウムCa(OH)2の反応

STEP1

酸化物に対応するオキソ酸を考える

非金属の酸化物と水を反応させるとオキソ酸が生成するため、まずは酸化物に対応するオキソ酸を考える。

\[
H_{2}CO_{3}
\]

オキソ酸とは?強さや構造、酸化数について具体例を用いて解説!にあるように、CO2に対応するオキソ酸は炭酸H2CO3である。

STEP2

酸化物と水を反応物、オキソ酸を生成物とし反応式を立てる

次に酸化物と塩基を反応物、オキソ酸の塩と水を生成物とし反応式を立てる。

\[
CO_{2}+Ca(OH)_{2}→Ca_{2}CO_{3}+H_{2}O
\]

上述の通り、オキソ酸由来の陰イオンCO32-が塩基由来の陰イオンと組み合わさって、オキソ酸の塩である炭酸カルシウムCaCO3が生成しているね。

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