はじめに

入試における超頻出単元である浸透圧。よく出るにも関わらず苦手な高校生・受験生は極めて多い。このページでは、浸透圧を考える上で重要な半透膜や浸透について説明した後、浸透圧とは何か、ファントホッフの法則を使った典型的な浸透圧の計算問題の解き方などを1から丁寧に解説していく。ぜひこの機会に「浸透圧マスター」になって、他の受験生と差をつけよう!


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半透膜とは

半透膜とは、小さい物質だけを通し大きい物質は通さない膜のことである。

浸透圧の単元では基本的に「半透膜=溶媒分子だけを通し溶質分子は通さない膜」として扱われる。


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浸透とは

V字型の容器を半透膜で区切り、片方に水、もう片方にデンプン水溶液を入れる。

これをしばらく放置すると…

水(濃度の低い方)がデンプン水溶液(濃度の高い方)の方に流れ込み濃度差を無くそうとする。このような現象を浸透という。

ちなみに、浸透が起こった結果、水の液面は下がりデンプン水溶液の液面は上がっている。


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浸透圧とは

先ほどの図をもう一度見てみよう。

このように“浸透”が起こって左右で液面差ができている時、

液面が高い方に一定の圧力を加えることで液面差をなくすことができる。この時に加える圧力のことを浸透圧という。


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浸透圧の計算問題(基礎)

浸透圧の公式「ファントホッフの法則」

前準備として、浸透圧計算問題を解く上で重要な「ファントホッフの法則」を紹介しよう。

気体の状態方程式の圧力Pが浸透圧πに置き換わったイメージだね。ちなみに右側の式は左の式を変形してモル濃度(n/V)をcと置いたバージョン。浸透圧の計算においてよく使う形なので覚えておこう。

問題

モル濃度を用いて浸透圧を求める問題

問題

27℃において、0.32mol/LのグルコースC6H12O6水溶液の浸透圧は何Paか。ただし、グルコースは電離せず、各原子の原子量はH=1、C=12、0=16とする。

ファントホッフの法則の式(π=CRT)に問題文で与えられている数値を代入すると…

\[
\begin{align} π &= CRT \\
&=0.32×8.3×10^{3}×(27+273) \\
&≒8.0×10^{5}(Pa) \end{align}
\]

質量を用いて浸透圧を求める問題

問題

27℃において、34.2gのスクロースC12H22O11を水に溶かして500mLとした。この水溶液の浸透圧は何Paか。ただし、スクロースは電離せず、各原子の原子量はH=1、C=12、0=16とする。

ファントホッフの法則の式(πV=w/M×RT)に問題文で与えられている数値を代入すると…

\[
πV = \frac{ w }{ M }RT \\
\begin{align} \leftrightarrow π &=\frac{ wRT }{ MV } \\
&=\frac{ 34.2×8.3×10^{3}×(27+273) }{ 342×0.5 } \\
&≒5.0×10^{5}(Pa) \end{align}
\]

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電解質の浸透圧を求める問題

問題

塩化カルシウムCaCl2を3.33g量り取り、これを水に溶かして半透膜で仕切ったU字管に入れ、200mLの溶液を調整した。27℃のときにこの溶液の浸透圧は何Paか。ただし、塩化カルシウムは完全電離し、各原子の原子量はCl=35.5、Ca=40とする。

ファントホッフの法則の式(πV=nRT)に問題文で与えられている数値を代入すると…

\[
πV = nRT \\
\begin{align} \leftrightarrow π &=\frac{ nRT }{ V } \\
&=\frac{ \frac{ 3.33 }{ 111 }×3×8.3×10^{3}×(27+273) }{ 0.2 } \\
&≒1.1×10^{6}(Pa) \end{align}
\]

nの値(3.33/111)に3を掛けているのは塩化カルシウムが電解質であり、次のように電離し1molのCaCl2から3molのイオンが生成するからである。

\[
CaCl_{2}→Ca^{2+}+2Cl^{-}
\]

血液のモル濃度を求める問題

問題

人の血液の浸透圧は37℃(体温付近)で7.5×105Paである。この血液中の溶質のモル濃度(mol/L)を求めよ。

ファントホッフの法則の式(π=CRT)に問題文で与えられている数値を代入すると…

\[
π = CRT \\
\begin{align} \leftrightarrow C &=\frac{ π }{ RT } \\
&=\frac{ 7.5×10^{5} }{ 8.3×10^{3}×(37+273) } \\
&≒0.29(mol/L) \end{align}
\]

生食の調製に必要な塩化ナトリウム(g)を求める問題

問題

上の血液と同じ浸透圧の生理食塩水500mLを調整するために、同じ条件で何gの塩化ナトリウムNaClを用いればよいか。ただし、塩化ナトリウムは完全電離し、各原子の原子量はNa=23、Cl=35.5とする。

病院で頻繁に使われる生理食塩水(生食)は、人の血液に近い浸透圧である場合が多い。生食絡みの計算は医療関係の学部でよく出るのでそういった学部を受ける人はしっかりできるようにしておこう。

π、R、Tが一定の時、ファントホッフの法則の式(π=CRT)より、C=一定となる。

したがって、血液のモル濃度(mol/L)と生理食塩水のモル濃度(mol/L)をイコールで結び式を作ると…

\[
\underbrace{ 0.29(mol/L) }_{ 血液 } =\underbrace{ \frac{ \frac{ x(g) }{ 58.5(g/mol) }×2 }{ 0.5(L) } }_{ 生理食塩水 }\\
\therefore x≒4.2(g)
\]
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水銀柱が絡んだ問題-浸透圧の計算問題(応用)

問題

ある非電解質を半透膜で仕切ったU字管の片側に溶解させ、生じた液面差を測定すると27℃で14.5cmだった。この液面差に相当する浸透圧を求めよ。ただし、水銀の密度を13.6g/cm3、水溶液の密度を1.0g/cm3とし、1.0×105Pa=76cmHgとする。

水銀柱が絡んだ浸透圧問題はやや難しい。ただ、一度やり方を覚えてしまえば意外と楽になるのでぜひこの機会に押さえておこう!

まず、Hg柱のおける液面の高さをa(cm)として式を立てる。

\[
\underbrace{1.1(g/cm^{3})×6.5(cm) }_{ 水溶液中の圧力 } =\underbrace{ 13.6(g/cm^{3})×a(cm) }_{ Hg柱の圧力 }\\
\therefore a=\frac{ 7.15 }{ 13.6 }
\]

比の関係を用いて浸透圧πを求める。

\[
1.0×10^{5}(Pa):76(cmHg)=π(Pa):\frac{ 7.15 }{ 13.6 }(cmHg)\\
\therefore π=\frac{ 7.15 }{ 13.6×76 }×10^{5}(Pa)
\]

最後に、ファントホッフの法則の式(πV=w/M×RT)に問題文で与えられている数値、及び今求めた浸透圧を代入すると…

\[
πV = \frac{ w }{ M }RT \\
\begin{align} \leftrightarrow M &=\frac{ wRT }{ πV } \\
&=\frac{ 2×8.3×10^{3}×(27+273) }{ \frac{ 7.15 }{ 13.6×76 }×10^{5}×0.1 } \\
&≒7.2×10^{4} \end{align}
\]

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関連:気体の状態方程式も忘れずに。

ファントホッフの法則の式と似ている「気体の状態方程式」。こちらも超大切な式なので必ず押さえておこう。

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