【プロ講師解説】このページでは『アルキルベンゼン(トルエン・キシレン)の構造・製法・反応など』について解説しています。解説は高校化学・化学基礎を扱うウェブメディア『化学のグルメ』を通じて6年間大学受験に携わるプロの化学講師が執筆します。
アルキルベンゼンとは
アルキルベンゼンとは、ベンゼンにアルキル基(メチル基-CH3・エチル基-CH2CH3など)が置換した化合物である。
今回は、アルキルベンゼンの中でも特に重要であるトルエンとキシレンについて説明していく。
トルエン
トルエンとは
トルエンとは、ベンゼンに1つのメチル基(-CH3)が置換した化合物である。
トルエンの製法
トルエンはベンゼンのメチル化によって得ることができる。
※ベンゼンのメチル化について詳しくはベンゼン(構造・特徴・製法・各種反応など)を参照
トルエンの反応①(酸化反応)
トルエンを酸化すると安息香酸が得られる。
ちなみに、ベンゼンをエチル基(-CH2CH3)で置換した”エチルベンゼン”も酸化されると安息香酸になる。
トルエンの反応②(ニトロ化)
トルエンを高温下でニトロ化すると、2-4-6トリニトロトルエン(T.N.T)が得られる。
キシレン
キシレンとは
キシレンとはベンゼンにメチル基(-CH3)が2つ置換した化合物である。
置換基がオルト(o)位についていればo-キシレン、メタ(m)位についていればm-キシレン、パラ(p)位についていればp-キシレンと呼ぶ。
※オル・メタ・パラ配向性について詳しくは置換反応と配向性(オルト・メタ・パラ)を参照
キシレンの反応①(o-キシレンの酸化反応と脱水反応)
o-キシレンを酸化するとフタル酸が、フタル酸を脱水すると無水フタル酸が得られる。
キシレンの反応②(m-キシレンの酸化反応と脱水反応)
m-キシレンを酸化するとイソフタル酸が得られる。
イソフタル酸は2つのカルボキシ基(-COOH)が離れた位置にあるので加熱しても脱水はおこらない。
キシレンの反応③(p-キシレンの酸化反応と脱水反応)
p-キシレンを酸化するとテレフタル酸が得られる。
テレフタル酸は(イソフタル酸と同様)2つのカルボキシ基(-COOH)が離れた位置にあるので加熱しても脱水はおこらない。
アルキルベンゼンに関する演習問題
ベンゼンにアルキル基(メチル基-CH3・エチル基-CH2CH3など)が置換した化合物を【1】という。
ベンゼンに1つのメチル基(-CH3)が置換した化合物を【1】という。
トルエンはベンゼンの【1】化によって得ることができる。
トルエンを酸化すると【1】が得られる。また、ベンゼンをエチル基(-CH2CH3)で置換した【2】も酸化すると【1】となる。
トルエンをニトロ化すると【1】が得られる。
ベンゼンにメチル基(-CH3)が2つ置換した化合物を【1】という。【1】のうち、置換基がオルト(o)位についているものを【2】、メタ(m)位についているものを【3】、パラ(p)位についているものを【4】という。
o-キシレンを酸化すると【1】が、フタル酸を脱水すると【2】が得られる。
m-キシレンを酸化すると【1】が得られる。
p-キシレンを酸化すると【1】が得られる。
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・化学のグルメ運営代表
・高校化学講師
・薬剤師
・デザイナー/イラストレーター
数百名の個別指導経験あり(過去生徒合格実績:東京大・京都大・東工大・東北大・筑波大・千葉大・早稲田大・慶應義塾大・東京理科大・上智大・明治大など)
2014年よりwebメディア『化学のグルメ』を運営
公式オンラインストアで販売中の理論化学ドリルシリーズ・有機化学ドリル等を執筆
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