『岡野の化学が初歩からしっかり身につく』超絶人気参考書の使い方をレビュー。

目次

はじめに

化学初心者用の参考書として有名な「岡野の化学が初歩からしっかり身につくシリーズ」。今回は前身である「はじめからていねいに」からパワーアップしたこの超人気参考書について、その魅力から具体的な使い方、併用にオススメの問題集まで1つ1つ丁寧に解説していこうと思います。岡野の化学が初歩からしっかり身につくシリーズの購入を検討している人はもちろん、もう既に持っているよという人も是非参考にして下さい。


本の特徴と対象

河合塾をはじめ,大手進学予備校の人気講師,岡野雅司先生の人気の授業が一冊につまっています。化学の苦手が克服でき,得点アップを狙えます。

技術評論社公式HP

岡野の化学が初歩からしっかり身につくシリーズを一言で表すなら「化学を学習したことがない人に最もオススメの参考書」です。

岡野の化学が初歩からしっかり身につくシリーズでは、化学・化学基礎について基礎中の基礎から丁寧に解説されています。従って、化学の知識が全くない人でも抵抗なく読み進めることができるため化学初心者に最適な参考書と言えるでしょう。また、説明は全て会話調になっています。つまり、岡野先生がまさに今目の前で講義をしているかのような感覚で学ぶことができるのです。堅苦しさがなく気軽に読むことができるので、その点でも化学に馴染みがない人にオススメできる参考書です。

本の構成

第0講「化学基礎」の振り返りとまとめ

  • 単元1 原子の構造 [化学基礎]
  • 単元2 混合物の分離と精製 [化学基礎]
  • 単元3 三態変化 [化学基礎]
  • 単元4 周期表 [化学基礎]
  • 単元5 元素の性質 [化学基礎]
  • 単元6 化学結合 [化学基礎]
  • 単元7 結晶とは何か? [化学基礎]
  • 単元8 分子の極性 [化学基礎]
  • 単元9 分子間にはたらく力 [化学基礎]

第1講 化学量・化学反応式・結晶格子

  • 単元1 化学量 [化学基礎]
  • 単元2 化学反応式と物質量 [化学基礎]
  • 単元3 化学反応式の表す意味 [化学基礎]
  • 単元4 結晶格子 [化学]

第2講 溶液(1)・固体の溶解度

  • 単元1 溶液の濃度 [化学基礎]
  • 単元2 固体の溶解度 [化学基礎・化学]

第3講 酸と塩基

  • 単元1 酸・塩基 [化学基礎]
  • 単元2 水素イオン濃度とpH [化学基礎・化学]
  • 単元3 中和反応と塩 [化学基礎]
  • 単元4 指示薬と中和滴定,炭酸ナトリウムの2 段階中和 [化学基礎]

第4講 酸化還元

  • 単元1 酸化還元 [化学基礎]
  • 単元2 酸化剤,還元剤のe-を含む反応式 [化学基礎]
  • 単元3 イオン反応式と化学反応式 [化学基礎]
  • 単元4 酸化還元滴定 [化学基礎・化学]

第5講 金属のイオン化傾向・電池・電気分解

  • 単元1 金属のイオン化傾向 [化学基礎]
  • 単元2 電池 [化学基礎・化学]
  • 単元3 電気分解 [化学]

第6講 熱化学

  • 単元1 熱化学 [化学]
  • 単元2 ヘスの法則と反応エンタルピーの計算 [化学]
  • 単元3 結合エネルギー [化学]
  • 単元4 比熱 [化学]

第7講 気体

  • 単元1 気体の法則 [化学]
  • 単元2 理想気体と実在気体 [化学]
  • 単元3 物質の三態と状態図 [化学基礎・化学]

第8講 蒸気圧・気体の溶解度

  • 単元1 蒸気圧 [化学]
  • 単元2 気体の溶解度 [化学]

第9講 溶液(2)・コロイド

  • 単元1 蒸気圧降下と沸点上昇 [化学]
  • 単元2 凝固点降下 [化学]
  • 単元3 浸透圧 [化学]
  • 単元4 コロイド [化学]

第10講 化学平衡,活性化エネルギー,反応速度を大きくする要因

  • 単元1 化学平衡 [化学]
  • 単元2 活性化エネルギー,反応速度を大きくする要因 [化学]

第11講 反応速度,平衡定数・圧平衡定数

  • 単元1 反応速度 [化学]
  • 単元2 平衡定数・圧平衡定数 [化学]

第12講 電離定数,緩衝液

  • 単元1 電離定数 [化学]
  • 単元2 緩衝液 [化学]

第13講 塩の加水分解,溶解度積

  • 単元1 塩の加水分解 [化学]
  • 単元2 溶解度積 [化学]
  • Column 化学計算は比例の関係
  • Column 化学式とその名称のつけ方①
  • Column 化学式とその名称のつけ方②
  • Column 有効数字について理解する①
  • Column 有効数字について理解する②
  • Column 有効数字について理解する③
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岡野の化学が初歩からしっかり身につくシリーズは上のような構成になっています。
3冊で理論化学・無機化学・有機化学の各単元における重要事項がほぼ全て掲載されており、定期テスト対策・大学入試対策をする上で申し分ない網羅度であると言えるでしょう。

また、個別の解説ページは次のようになっています。

本文では岡野先生の会話調の授業が展開されています。他の会話調の参考書は語尾だけを“喋っている風”にしたものが多いですが、岡野の化学が初歩からしっかり身につくシリーズは本当に今話しているかのような言葉で書かれているため講義のような臨場感があります。「重要」や「要点のまとめ」の箇所では大切なポイントが丁寧にまとめられています。また、「岡野流必須ポイント」では岡野先生独自の“理解のためのアドバイス”が書かれておりこれが的を射ており素晴らしいです。さらに文中に出てくる公式は巻末の「最重要化学公式一覧」と連動しています。公式一覧を見て「あれこの公式どこで出てきたんだっけな」と思ったときに公式番号をたどって探すことができる構造は非常に便利です。


メリット

岡野の化学が初歩からしっかり身につくシリーズにはメリット・デメリットが存在します。まずはメリットの方から紹介していきましょう。

網羅性

先ほどから述べている通り、岡野の化学が初歩からしっかり身につくシリーズは網羅性に優れた参考書です。若干内容に薄さを感じる単元も見受けられますが「基礎固め」として使う分には問題ないでしょう。

基礎の基礎から解説

上でも述べましたが、岡野の化学が初歩からしっかり身につくシリーズでは基礎中の基礎から説明されています。それ故、本当に化学が苦手な人でも楽々読み進めることができるでしょう。

会話調が最高

これが、岡野の化学が初歩からしっかり身につくシリーズが大人気参考書である最大の理由でしょう。

岡野の化学が初歩からしっかり身につくシリーズでは、岡野先生の会話調の授業が展開されています。会話調の参考書というと、語尾だけを“喋っている風”にしたものが多いですが、岡野の化学が初歩からしっかり身につくシリーズは本当に今話しているかのような言葉で書かれているため、まるで予備校講義のような臨場感があります。化学が苦手な人でも集中して読み続けられる雰囲気は他の参考書では感じることのできない独特のものです。

重要ポイントがわかりやすい

岡野の化学が初歩からしっかり身につくシリーズでは、「重要」や「要点のまとめ」として覚えるべき点や重要事項が明示されています。従って、化学初心者の人でも入試や定期テストに出るような大切な箇所がわかりやすく、点に直結しやすい参考書と言えるでしょう。

公式まとめが便利

岡野の化学が初歩からしっかり身につくシリーズの巻末には「最重要化学公式一覧」という化学の公式で重要なものを集めた便利なページがあります。このページに記載されている公式番号は本文中の公式番号と連動しており、公式一覧を見て「あれこの公式どこで出てきたんだっけな」と思ったときに公式番号をたどってすぐに本文から探すことができます。

連動図が秀逸

普通の参考書では、1つの文に対して1つの図で説明されていることがほとんどです。しかしこれだと、文に含まれる内容全てを1枚の図にまとめるため見辛くわかりづらくなってしまうことがあります。そこで、岡野の化学が初歩からしっかり身につくシリーズでは「連動図」が採用されています。連動図とは説明の過程に対応した複数の図のことで、これを用いることで順を追って頭を整理しながら学ぶことができます。例えば、電子式の単元では1つの完成された電子式を示しそれに対してどう書いたか説明を記載するのが通常ですが、岡野の化学が初歩からしっかり身につくシリーズでは電子を書く過程を2〜3枚の図を使って順番に解説しています。化学初心者にとっては非常にありがたい解説方式と言えるでしょう。


デメリット

次は岡野の化学が初歩からしっかり身につくシリーズのデメリットを紹介していきます。

会話調が苦手な人もいる

岡野の化学が初歩からしっかり身につくシリーズの特徴として「会話調」であることが挙げられますが、この説明の仕方が合わないという人もいるかもしれません。その場合は以下のような説明文形式の参考書を用いるといいでしょう。

演習問題が少ない

岡野の化学が初歩からしっかり身につくシリーズには演習問題が付属していますが、入試対策として考えるとそれだけで十分とは言えないでしょう。次のような基礎的な問題集を併用することをお勧めします。


使い方

次に、岡野の化学が初歩からしっかり身につくシリーズの具体的な使い方を紹介していきます。むやみに使っても効果は出づらいので、まずはこれから紹介するやり方を参考にしていただき、状況に応じて自分流の使い方を見つけていきましょう。

最初のページから読み進める

これが岡野の化学が初歩からしっかり身につくシリーズのスタンダードな使い方です。
基礎から丁寧に解説されているので、化学初心者の人でも抵抗なく読み進めていけるでしょう。また、問題演習用として以下のような問題集を持っておくと万全です。

学校の授業でやった単元を読む

これは受験対策というよりも定期テスト対策として使う場合の方法です。学校の授業で習った単元に合わせて岡野の化学が初歩からしっかり身につくシリーズも読み進めていきましょう。定期的にこのような作業を行っておけばテスト前に困ることも少なくなると思います。


併用したい問題集

岡野の化学が初歩からしっかり身につくシリーズはあくまで化学現象の解説が豊富な参考書であり、実際に大学入試で出てくる問題を解くためには問題集等でトレーニングを積む必要があります。ここからは岡野の化学が初歩からしっかり身につくシリーズとの併用にオススメの問題集を紹介していきます。

基礎問題精講

基礎問題精講を一言で表すなら「化学初心者に最もオススメの問題集」です。
後に詳しく説明しますが、この問題集はこんなに書くか!というほど解説が丁寧です。本当の初学者でもわかりやすいよう補助矢印のようなものがたくさん書かれています。また、「精講」という形で化学の各単元に関する基礎的な解説も書かれています。この部分がとてもわかりやすいと評判で、問題集の枠を超えて化学参考書としても非常に優秀な一冊と言えるでしょう。岡野の化学が初歩からしっかり身につくシリーズとの相性も抜群です。

化学の新標準演習

卜部先生の著書は「化学の新研究」「化学の新演習」が有名ですが、この2つは難関大受験用の難しい参考書です。一方、最近発売されたこの「化学の新標準演習」は基礎的な問題が多く初心者でも使いこなすことができるでしょう。岡野の化学が初歩からしっかり身につくシリーズとの相性も抜群です。

重要問題集

重要問題集は化学問題集の王様的存在です。おそらく受験化学対策用の問題集としてはシェアNo.1で、数多くの高校生・受験生が使用しています。岡野の化学が初歩からしっかり身につくシリーズとの併用も可能でしょう。


岡野の化学が初歩からしっかり身につくシリーズの代替案

岡野の化学が初歩からしっかり身につくシリーズが自分に合わないため同じような参考書は他にないか、という質問はよく受けます。そういう時に毎回オススメするのは「橋爪のゼロから劇的!にわかるシリーズ」・「〜の講義シリーズ」・「総合的研究」です。

「橋爪のゼロから劇的!にわかる〜」は化学初心者にオススメのシリーズです。補助線や細かな説明・アドバイスが多く、あまり化学が得意でない人でもすんなりと理解できるでしょう。「橋爪のゼロから劇的!にわかる 理論化学の授業」の他に「橋爪のゼロから劇的!にわかる 無機・有機化学の授業」もあります。

「〜の講義」は化学初心者から難関大受験生まで幅広い学力の人にオススメできるシリーズです。補助線や細かな説明・アドバイスが多く、あまり化学が得意でない人でもすんなりと理解できるでしょう。「鎌田の理論化学の講義」「福間の無機化学の講義」「鎌田の有機化学の講義」の3種類があります。

総合的研究は図やポイントのまとめが豊富なため非常に見やすく使いやすいです。また、内容も大学入試対策として必要なことに絞って書かれているため(良く比較される化学の新研究と比べて)オーバーワークになりにくいでしょう。

【高校化学の計算ドリル】大好評発売中!

高校化学・化学基礎の計算問題が苦手な人に向けた計算ドリルを発売しました。豊富な問題数で、入試頻出の計算問題の解き方を身につけることができます。

著者情報

元講師、薬剤師、イラストレーター
数百名の中高生向け指導経験あり(過去生徒合格実績:東工大・東北大・筑波大・千葉大・岡山大・早稲田大・慶應義塾大・東京理科大・上智大・明治大など)。
2014年よりwebメディア『化学のグルメ』を運営
公式オンラインストアで販売中の理論化学ドリルシリーズ・有機化学ドリル等を執筆
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