はじめに

ここでは、銅と鉄以外の遷移元素について説明していく。
銅や鉄・遷移元素全体に関する事項については、以下のページを参照してね。


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銀Ag

単体

銀の単体に関する性質で覚えておいてほしいことは1つ。

銀の単体は数ある金属元素の中で電気陰性度が最大なんだ。

また、展性や延性などの金属としての基本的な性質も当然もっているということも把握しておこう。

酸化物

銀Agの酸化物に過剰のNH3aqを反応させると、錯イオンが生成する。

錯イオンについて詳しいことは「目指せ錯イオンマスター!錯イオンの「色・配位数・形・価数・命名法」まとめ!!」を見てね。

また、酸化物が生成するときの反応も確認しておこう。

銀イオンAg+に少量の塩基を加えると、褐色の酸化銀Ag2Oの沈殿が生成する。

例として、硝酸銀AgNO3と水酸化ナトリウムNaOHの反応をチェックしておこう。

2AgNO3 + 2NaOH → Ag2O + 2NaNO3 + H2O

銀を含む塩の中で、必ず覚えてほしいのは「硝酸銀AgNO3」。
硝酸銀AgNO3水溶液は、光で分解してしまうため褐色ビンに入れて保存する。


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金Au

化学的性質

金の単体は、イオン化傾向が非常に小さく化学的に安定である。

従って、王水(濃HNO3:濃HCl=1:3)でしか溶かすことができない。

物理的性質

金の単体は、展性と延性が極めて大きい。
従って、加工しやすく多くの装飾品に使われている。
展性・延性について詳しくは「金属結合」を見てね!

白金Pt

白金は金と同様、イオン化傾向が小さく安定している。
従って、白金の単体を溶かすときにも王水が必要となる。

また、白金は工業用の触媒として使われるケースが多い。
特にオストワルト法の第一段階で利用させていることは頻出なのでしっかり押さえておこう。


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クロムCr

単体

クロムの単体は、不動態を作りやすく濃硝酸で溶かすことができない。
不動態に関して詳しいことは「不動態」をチェックしてね。

また、クロムを含む合金として「ステンレス鋼」というものが知られている。

この合金は、鉄FeとクロムCrとニッケルNiからできており非常にさびにくく、キッチンなどに利用されている。

イオン・化合物

クロムの化合物で覚えておかなければいけないのは次の2つ。

これら2つについて個別に説明していこう。

クロム酸カリウムK2CrO4

クロム酸カリウムK2CrO4に関して、次のポイントを押さえておこう。

K2CrO4は黄色の結晶で、水溶液の色(=K2CrO4が電離して発生したCrO4の色)も黄色だ。

二クロム酸カリウムK2Cr2O7

K2Cr2O7は赤橙色の結晶で、水溶液の色(=K2Cr2O7が電離して発生したCr2O72-の色)の赤橙色だ。
また、K2Cr2O7は強力な酸化剤として働く、ということも知っておく必要がある。

Cr2O72- + 14H+ + 6e → 2Cr3+ + 7H2O

先ほど説明したようにCr2O72-は赤橙色であるのに対し、この時生成するCr3+の色は緑であるということ覚えておこう。

ちなみにこのイオン反応式は半反応式と呼ばれるもので、「高校化学「半反応式・酸化還元反応式の作り方」完全マスター講座!!」のページにある手順に従って作ることができる。まだ知らなかったら確認しておこう。

CrO4とCr2O72-の平衡反応

水溶液がの液性が酸性に傾くと、CrO4がCr2O72-に、塩基性に傾くとCr2O72-がCrO4になる。
これは、ルシャトリエの原理によって説明することができる。

CrO4(黄)+ H+ ⇄ Cr2O72-(赤橙) + OH

水溶液を酸性にするということは上の式のH+が増えるということ。
H+が増えると(ルシャトリエの原理により)H+を減らす方向に平衡が移動するので…

CrO4(黄)+ H+ → Cr2O72-(赤橙) + OH

結果的にCr2O72-が増えることになる。
また、Cr2O72-の色は赤橙色なので水溶液の色も当然赤橙色に変化する。

反対に、水溶液の液性を塩基性にしていくとOHが増えるので平衡は左側に移動する。

CrO4(黄)+ H+ ← Cr2O72-(赤橙) + OH

結果として、 CrO4が増えるので水溶液の色は黄色となる。


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マンガンMn

マンガンに関しては、上の2つの化合物の性質を知っておけば問題ない。
それぞれ順番に説明していこう。

過マンガン酸カリウムKMnO4

過マンガン酸カリウムKMnO4の水溶液は赤紫色で、強力な酸化剤として働く。

ただし、酸性下では淡桃色(薄ピンク色)のMn2+になるのに対して、中性・塩基性下では黒色のMnO2が生成する。

酸性下:MnO4 + 8H+ + 5e → Mn2+ + 4H2O
塩基性下:MnO4 + 4H+ + 3e → MnO2 + 2H2O

酸化マンガン(Ⅳ)MnO2

酸化マンガン(Ⅳ)MnO2は酸化剤として働く場合と触媒として働く場合がある。

酸化剤

酸性下では、酸化マンガンは酸化剤として働く。

例として、MnO2とHClによるCl2の発生反応を見てみよう。

MnO2 + 4HCl → MnCl2 + Cl2 + 2H2O

触媒

酸化マンガンは、”触媒”として過酸化水素H2O2や塩素酸カリウムKClO3の分解を促進し、O2を発生させる。

2H2O2 → O2 + 2H2O
2KClO3 → 3O2 + 2KCl

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