【熱分解反応】入試頻出3パターンの反応式の作り方などを解説

目次

はじめに

【プロ講師解説】このページでは『【熱分解反応】入試頻出3パターンの反応式の作り方などを解説』について解説しています。


熱分解反応とは

  • ある種の炭酸塩、炭酸水素塩、水酸化物は加熱すると二酸化炭素CO2や水H2Oを発生しながら分解する。
  • 加熱によってCO2やH2Oが外へ逃げた結果反応が進行するため、これらの反応は熱分解反応とよばれる。

熱分解反応のパターン

  • 代表的な熱分解反応は主に3パターンである。

●熱分解反応のパターン

  • 炭酸塩の熱分解
    炭酸塩 → CO2 + 酸化物
  • 炭酸水素塩の熱分解
    炭酸水素塩 → H2O + CO2 + 炭酸塩
  • 水酸化物の熱分解
    水酸化物 → H2O + 酸化物

❶ 炭酸塩の熱分解

  • 炭酸塩は加熱するとCO2と酸化物になる。

\[ \mathrm{CaCO_{3} → CaO + CO_{2}} \]

  • この例では、炭酸塩の1種である炭酸カルシウムCaCO3がCO2と酸化物である酸化カルシウムCaOになっている。
  • ここで、パターン①の反応式のつくり方を確認する。

反応式の作り方

  • 熱分解反応のパターン①の反応式は次の手順で作成する。

●STEP1
炭酸塩の化学式を確認する
●STEP2
炭酸塩を熱分解するとCO2と酸化物になることを考慮して右辺にそれらを書く
●STEP3
各物質の係数を調節する

  • 具体例として「炭酸カルシウムCaCO3の熱分解反応」を用いて解説する。
STEP
炭酸塩の化学式を確認する

まず、炭酸塩の化学式を確認する。

\[ \mathrm{CaCO_{3}} \]

STEP
炭酸塩を熱分解するとCO2と酸化物になることを考慮して右辺にそれらを書く

次に、炭酸塩を熱分解するとCO2と酸化物になることを考慮して右辺にそれらを書く。

\[\mathrm{ CaCO_{3} → CaO + CO_{2} }\]

ここで左右の各原子の数が揃っていなければ、STEP3に進む。この例ではすでに揃っているのでこれで完成である。

❷ 炭酸水素塩の熱分解

  • 炭酸水素塩は加熱するとH2O + CO2 + 炭酸塩になる。

\[ \mathrm{2NaHCO_{3} → H_{2}O + CO_{2} + Na_{2}CO_{3}} \]

  • この例では、炭酸水素塩の1つである炭酸水素ナトリウムNaHCO3がH2OとCO2、炭酸塩である炭酸ナトリウムNa2CO3になっている。
  • ここで、パターン②の反応式のつくり方を確認する。

反応式の作り方

  • 熱分解反応のパターン②の反応式は次の手順で作成する。

●STEP1
炭酸水素塩の化学式を確認する
●STEP2
炭酸水素塩を熱分解するとH2O+CO2+炭酸塩になることを考慮して右辺にそれらを書く
●STEP3
各物質の係数を調節する

  • 具体例として「炭酸水素ナトリウムNaHCO3の熱分解反応」を用いて解説する。
STEP
炭酸塩の化学式を確認する

まず、炭酸水素塩の化学式を確認する。

\[ \mathrm{NaHCO_{3}} \]

STEP
炭酸水素塩を熱分解するとH2O+CO2+炭酸塩になることを考慮して右辺にそれらを書く

次に、炭酸水素塩を熱分解するとH2O+CO2+炭酸塩になることを考慮して右辺にそれらを書く。

\[ \mathrm{2NaHCO_{3} → H_{2}O + CO_{2} + Na_{2}CO_{3}} \]

STEP
各物質の係数を調節する

最後に、反応式の左右で各原子の数が揃うように、係数を調節する。

\[ \mathrm{2NaHCO_{3} → H_{2}O + CO_{2} + Na_{2}CO_{3}} \]

今回はNaHCO3の係数を2にすればOK。

参考:化学反応式(係数・作り方・書き方・計算問題の解き方など)

❸ 水酸化物の熱分解

  • 水酸化物を加熱するとH2Oと酸化物になる。

\[ \mathrm{2Al(OH)_{3} → 3H_{2}O + Al_{2}O_{3}} \]

  • この例では、水酸化物の1つである水酸化アルミニウムAl(OH)3が、水H2Oと酸化物である酸化アルミニウムAl2O3になっている。
  • ここで、パターン③の反応式のつくり方を確認する。

反応式の作り方

  • 熱分解反応のパターン③の反応式は次の手順で作成する。

●STEP1
水酸化物の化学式を確認する
●STEP2
水酸化物を熱分解するとH2Oと酸化物になることを考慮して右辺にそれらを書く
●STEP3
各物質の係数を調節する

  • 具体例として「水酸化アルミニウムAl(OH)3の熱分解反応」を用いて解説する。
STEP
水酸化物の化学式を確認する

まず、水酸化物の化学式を確認する。

\[ \mathrm{Al(OH)_{3}} \]

STEP
水酸化物を熱分解するとH2Oと酸化物になることを考慮して右辺にそれらを書く

次に、水酸化物を熱分解するとH2Oと酸化物になることを考慮して右辺にそれらを書く。

\[ \mathrm{Al(OH)_{3} → H_{2}O + Al_{2}O_{3}} \]

STEP
各物質の係数を調節する

最後に、反応式の左右で各原子の数が揃うように、係数を調節する。

\[ \mathrm{2Al(OH)_{3} → 3H_{2}O + Al_{2}O_{3}} \]

今回はAl(OH)3の係数を2、H2Oの係数を3にすればOK。

参考:化学反応式(係数・作り方・書き方・計算問題の解き方など)


演習問題

化学のグルメでは、高校化学・化学基礎の一問一答問題を公開しています。問題一覧は【スマホで出来る】一問一答(高校化学・化学基礎)でご覧下さい。

問1

ある種の炭酸塩、炭酸水素塩、水酸化物は加熱すると二酸化炭素CO2や水H2Oを発生しながら分解する。加熱によってCO2やH2Oが外へ逃げた結果反応が進行するため、これらの反応は【1】とよばれる。

解答/解説:タップで表示

解答:【1】熱分解反応

ある種の炭酸塩、炭酸水素塩、水酸化物は加熱すると二酸化炭素CO2や水H2Oを発生しながら分解する。

加熱によってCO2やH2Oが外へ逃げた結果反応が進行するため、これらの反応は熱分解反応とよばれる。

問2

炭酸塩を熱分解するとCO2【1】になる。

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解答:【1】酸化物

炭酸塩は加熱するとCO2と酸化物になる。

\[ \mathrm{CaCO_{3} → CaO + CO_{2}} \]

問3

炭酸水素塩は加熱するとH2OとCO2【1】になる。

解答/解説:タップで表示

解答:【1】炭酸塩

炭酸水素塩は加熱するとH2OとCO2と炭酸塩になる。

\[ \mathrm{2NaHCO_{3} → H_{2}O + CO_{2} + Na_{2}CO_{3}} \]

問4

水酸化物を加熱するとH2Oと【1】になる。

解答/解説:タップで表示

解答:【1】酸化物

水酸化物を加熱するとH2Oと酸化物になる。

\[ \mathrm{2Al(OH)_{3} → 3H_{2}O + Al_{2}O_{3}} \]

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著者情報

元講師、薬剤師、イラストレーター
数百名の中高生向け指導経験あり(過去生徒合格実績:東工大・東北大・筑波大・千葉大・岡山大・早稲田大・慶應義塾大・東京理科大・上智大・明治大など)。
2014年よりwebメディア『化学のグルメ』を運営
公式オンラインストアで販売中の理論化学ドリルシリーズ・有機化学ドリル等を執筆
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