イオン化傾向とは?定義から反応のしやすさとの関わりまで徹底解説!

イオン化列とイオン化傾向

単体の反応(酸化還元反応)でやったように金属の単体は電子を放出する還元剤として働く。

このとき、還元力の強さは金属ごとに異なっており、簡単に電子を放出する強い還元剤として働くものもあれば、なかなか電子を放出しない弱い還元剤として働くものもある。

ここで金属単体を還元力の強さの順番に並べるためにとある実験を行う。

ある金属Mの陽イオンM+が存在している水溶液に、別の金属Nの単体を加えるとする。このとき、NがMよりも陽イオンになりやすければ、つまりNがMよりも還元力が強ければ、NがN+となって溶けていき、M+が電子を受け取ってMとなり、金属Mが析出する。

画像

この実験を利用して様々な金属単体の還元力の強さを調べると次のような順になった。

Point!

ここで、金属単体が水溶液中で陽イオンになる性質をイオン化傾向といい、金属をイオン化傾向の順に並べたものをイオン化列という。上で説明した内容を考慮すると、イオン化列は金属単体の還元力の強さの順番を表していると考えることができる。

イオン化傾向と金属単体の反応性

今説明したようにイオン化傾向は金属単体の還元力の強さを表したものである。したがってイオン化傾向は酸化還元反応の起こりやすさに密接に関連していると想像できる。なぜなら、還元剤としての力が強いほど酸化還元反応を起こしやすいからである。

金軸単体の反応性を表した以下の図を見てみよう。

イオン化傾向の大きな(=還元力の強い)金属単体ほど反応性が大きいことが確認できるね。

① 水と反応

Naよりイオン化傾向が大きい金属は常温の水と反応して水酸化物(今回はNaOH)と水素H2を生成する。

\[
\mathrm{ 2Na + 2H_{2}O → 2NaOH + H_{2}}
\]
PLUS+

水は電離度が非常に小さいため、ほとんど電離していない。従って、水中に存在する陽イオン(水素イオンH+:電子eを受け取る酸化剤)は少ないため、電子をより離しやすい、つまりイオン化傾向の大きい金属(還元剤)でなければ水と反応することはできない。

② 熱水と反応

Mgよりイオン化傾向が大きい金属は、熱水と反応して水酸化物(今回はMg(OH)2)と水素H2を生成する。

\[
\mathrm{ Mg + 2H_{2}O → Mg(OH)_{2} + H_{2} }
\]

③ 水蒸気と反応

Feよりイオン化傾向が大きい金属は水蒸気と反応して酸化物(今回はZnO)と水素H2を生成する。

\[
\mathrm{ Zn + H_{2}O → ZnO + H_{2} }
\]

④ 希酸と反応

Pbよりイオン化傾向が大きい金属は希酸(薄い酸)と反応して水素H2を生成する。

\[
\mathrm{ Zn + H_{2}SO_{4} → ZnSO_{4} + H_{2} }
\]
PLUS+

鉛と希酸を反応させると、生成物であるPbSO4などがPbの表面を覆ってしまい、それ以上溶けなくなる。

Pb + H2SO4 → PbSO4 + H2

従って、他の金属と比べて鉛の希酸との反応性は極端に低くなっている。

PLUS+

酸の溶液中には陽イオン(水素イオンH+:電子eを受け取る酸化剤)が大量に存在するため、水の時と異なり、イオン化傾向のあまり大きくない金属(還元剤)でも反応することができる。

⑤ 酸化力のある酸と反応

Agよりイオン化傾向の大きい金属は酸化力のある酸(希硝酸・濃硝酸・熱濃硫酸)と反応する。

\[
\mathrm{ Cu + 4HNO_{3} → Cu(NO_{3})_{2} + 2NO_{2} + 2H_{2}O }
\]
PLUS+

Fe・Ni・Alは濃硝酸には溶けない。

反応によって生じた酸化物の膜がすぐに金属全体を覆ってしまい、それ以上金属が溶けなくなってしまうんだ。
ちなみに、酸化物の膜によって覆われた金属を不動態ということも覚えておこう。

⑥ 王水と反応

PtとAuを含めた全ての金属は王水に溶ける。
王水というのは「濃硝酸と塩酸を1:3の割合で混合したもの」のこと。材料までよく覚えておこう。

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