イオン化傾向とは

「第一イオン化エネルギーとは?周期表での最大最小、グラフ、電子親和力との違い!」でやったように、金属元素は周期表上で左側に位置しているため、第一イオン化エネルギーが小さく、陽イオンになりやすかった。

この、金属元素の「陽イオンへのなりやすさ」のことをイオン化傾向という。

イオン化傾向は各金属元素によって異なり、金属元素をイオン化傾向の順に並べたものイオン化列という。

イオン化傾向は金属の陽イオンへのなりやすさを表すものなので、当然イオン化傾向が大きいほど、つまりこのイオン化列で左側にいくほどその金属は陽イオンになりやすいということになる。


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イオン化傾向と反応性

金属は電子eを放出して陽イオンになる性質をもつため、還元剤である。イオン化傾向が大きい金属ほど、電子eを放出しやすく、強い還元剤であると言える。つまり、イオン化傾向が大きい金属は反応性が非常に高いと考えられる。

① 水と反応

Naよりイオン化傾向が大きい金属は常温の水と反応して水酸化物(今回はNaOH)と水素H2を生成する。

\[
\mathrm{ 2Na + 2H_{2}O → 2NaOH + H_{2}}
\]
プラスの知識

水は電離度が非常に小さいため、ほとんど電離していない。従って、水中に存在する陽イオン(水素イオンH+:電子eを受け取る酸化剤)は少ないため、電子をより離しやすい、つまりイオン化傾向の大きい金属(還元剤)でなければ水と反応することはできない。

② 熱水と反応

Mgよりイオン化傾向が大きい金属は、熱水と反応して水酸化物(今回はMg(OH)2)と水素H2を生成する。

\[
\mathrm{ Mg + 2H_{2}O → Mg(OH)_{2} + H_{2} }
\]

③ 水蒸気と反応

Feよりイオン化傾向が大きい金属は水蒸気と反応して酸化物(今回はZnO)と水素H2を生成する。

\[
\mathrm{ Zn + H_{2}O → ZnO + H_{2} }
\]

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④ 希酸と反応

Pbよりイオン化傾向が大きい金属は希酸(薄い酸)と反応して水素H2を生成する。

\[
\mathrm{ Zn + H_{2}SO_{4} → ZnSO_{4} + H_{2} }
\]
注意

鉛と希酸を反応させると、生成物であるPbSO4などがPbの表面を覆ってしまい、それ以上溶けなくなる。

Pb + H2SO4 → PbSO4 + H2

従って、他の金属と比べて鉛の希酸との反応性は極端に低くなっている。

プラスの知識

酸の溶液中には陽イオン(水素イオンH+:電子eを受け取る酸化剤)が大量に存在するため、水の時と異なり、イオン化傾向のあまり大きくない金属(還元剤)でも反応することができる。

⑤ 酸化力のある酸と反応

Agよりイオン化傾向の大きい金属は酸化力のある酸(希硝酸・濃硝酸・熱濃硫酸)と反応する。

\[
\mathrm{ Cu + 4HNO_{3} → Cu(NO_{3})_{2} + 2NO_{2} + 2H_{2}O }
\]
注意

Fe・Ni・Alは濃硝酸には溶けない。

反応によって生じた酸化物の膜がすぐに金属全体を覆ってしまい、それ以上金属が溶けなくなってしまうんだ。
ちなみに、酸化物の膜によって覆われた金属を不動態ということも覚えておこう。

⑥ 王水と反応

PtとAuを含めた全ての金属は王水に溶ける。
王水というのは「濃硝酸と塩酸を1:3の割合で混合したもの」のこと。材料までよく覚えておこう。


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