【プロ講師解説】このページでは『金属結合(例・特徴・強さ・自由電子の役割など)』について解説しています。解説は高校化学・化学基礎を扱うウェブメディア『化学のグルメ』を通じて6年間大学受験に携わるプロの化学講師が執筆します。
はじめに
金属結合は共有結合・イオン結合・配位結合・分子間力などと同様、化学結合の一種である。金属結合をその他の化学結合としっかり区別できている高校生は少なく、定期テストや大学受験で点を落としがちな分野になっている。このページでは、金属結合の定義や電気伝導性・展性・延性などの特徴について1から丁寧に解説していく。ぜひこの機会に金属結合をマスターして、他の高校生・受験生と差をつけよう!
金属結合とは
金属元素と金属元素の間に形成される結合を金属結合という。
どんな結合も不対電子の共有で始まる。しかし、金属元素はいずれも電気陰性度が小さく、電子を引きつける力が弱い。
したがって、金属結合において共有電子対はどちらの原子のものにもならず、自由に動き回る。(この電子を自由電子という)
このとき、金属元素は(電子を失ったので)陽イオンになっており、全ての陽イオンで自由電子を共有しているような状態になる。
金属結晶とその性質(自由電子)
性質1 | 熱・電気伝導性がある |
性質2 | 展性・延性をもつ |
性質3 | 金属反射をする |
金属結合により、多数の金属原子が結合してできる結晶を金属結晶という。金属結晶は自由電子に起因する次のような性質をもつ。
熱・電気伝導性
金属中を自由電子が移動することで電気や熱のエネルギーが伝えられるので、金属は電気や熱をよく通す。また、熱をよく通す金属は電気も同様によく通す。
(Agの電気・熱伝導性を100とした時の値)
展性・延性
金属は、たたいたり延ばしたりしても簡単には切れない。
これは自由電子が陽イオンの位置に合わせて移動して結合を保とうとするためである。
金属光沢
自由電子は光を反射する。
この性質により、結果として金属は光沢をもっているように見える。
金属結合と組成式
金属の単体は全て金属結晶であり、(無数の金属原子が結合しているので)イオン結晶と同様、組成式で表される。
金属はイオンが無数に繋がることによって作られているので組成式を使うが、基本的に「単体(=一種類の元素のみからできている)」なので、イオン結合とは異なり構成イオンの比については考える必要がない。(イオン結合について詳しくはイオン結合(例・共有結合との違い・特徴・強さなど)のところを確認!)
金属結合・金属結晶に関する演習問題
金属元素同士の結合を【1】という。
金属元素(例:銀Ag)は【1】が小さく、電子を出して【2】イオンになりやすい。
放出された電子が金属元素の【2】イオンの周りを飛び回りこのような状態になる。
電子は【2】イオン同士をくっつける接着剤のような役割を果たしており、このような電子を【3】という。
金属元素が金属結合をしてできた金属結晶には、自由電子に由来する性質がいくつか存在する。
・【1】/【2】伝導性がある
・【3】性/【4】性がある
・【5】をする
金属の結晶構造として【1】・【2】・六方最密構造などが存在する。
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・化学のグルメ運営代表
・高校化学講師
・薬剤師
・デザイナー/イラストレーター
数百名の個別指導経験あり(過去生徒合格実績:東京大・京都大・東工大・東北大・筑波大・千葉大・早稲田大・慶應義塾大・東京理科大・上智大・明治大など)
2014年よりwebメディア『化学のグルメ』を運営
公式オンラインストアで販売中の理論化学ドリルシリーズ・有機化学ドリル等を執筆
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