【プロ講師解説】大学入試で頻出のイオン結晶には「塩化ナトリウム型構造(NaCl型構造)」「塩化セシウム型構造(CsCl型構造)」「硫化亜鉛型構造(ZnS型構造)」の3種類があります。このページではそのうち「塩化セシウム型構造(CsCl型構造)」のイオン結晶について、単位格子あたりに含まれる陽イオン・陰イオンの数、配位数、イオン半径と単位格子一片の長さの関係、限界半径比などについて解説しています。解説は高校化学・化学基礎を扱うウェブメディア『化学のグルメ』を通じて6年間大学受験に携わるプロの化学講師が執筆します。
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塩化セシウム型構造とは
下図のような構造を持つイオン結晶を塩化セシウム型構造(CsCl型構造)という。
塩化セシウム型構造に含まれる陽イオン・陰イオンの数
Na+の数
まずは、塩化セシウム型構造(CsCl型構造)に含まれるCs+を数えていこう。
塩化セシウム型構造(CsCl型構造)に含まれるCs+は格子の中心にある1コのみ。
従って、塩化セシウム型構造(CsCl型構造)に含まれるCs+の数は1コである。
Cl–の数
次に、塩化セシウム型構造(CsCl型構造)に含まれるCl–を数えていこう。
塩化セシウム型構造(CsCl型構造)の単位格子に含まれるCl–は全て単位格子の頂点に存在しており、各頂点にあるCl–は8分割された状態になっている。
従って、8分割(1/8)したものが頂点の数分=8コあるので…
\mathtt{ \frac{ 1 }{ 8 }×8=1 }
\]
塩化ナトリウム型構造(NaCl型構造)に含まれるCl–の数は1コである。
塩化セシウム型構造の配位数
塩化セシウム型構造(CsCl型構造)では、中心のCs+は周りの8コのCl–と接しており、同様にCl–も周りの8コのCs+と接している。従って、塩化セシウム型構造(CsCl型構造)の各イオンの配位数は8となる。
塩化セシウム型構造のイオン半径と単位格子一辺の長さとの関係
Cs+・Cl–のイオン半径をそれぞれrCs+・rCl–、単位格子一辺の長さをrとし、塩化セシウム型構造(CsCl型構造)の面の部分に注目すると…
\mathtt{ \sqrt{ 3 }a=2(r_{Cs^{+} }+r_{Cl^{-}}) }
\]
イオン半径と単位格子一辺の長さの間にこのような関係があることがわかる。
塩化セシウム型構造の限界半径比
塩化セシウム型構造(CsCl型構造)の限界半径比は≧0.73である。限界半径比について詳しくは「限界イオン半径比とは?定義から求め方、配位数との関係などを大公開!」を参照。
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・化学のグルメ運営代表
・高校化学講師
・薬剤師
・デザイナー/イラストレーター
数百名の個別指導経験あり(過去生徒合格実績:東京大・京都大・東工大・東北大・筑波大・千葉大・早稲田大・慶應義塾大・東京理科大・上智大・明治大など)
2014年よりwebメディア『化学のグルメ』を運営
公式オンラインストアで販売中の理論化学ドリルシリーズ・有機化学ドリル等を執筆
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