はじめに

ハロゲンについて入試で聞かれることは非常に多い。このページではハロゲンの単体・化合物の性質や製法などを1から順に解説していく。ぜひこの機会にハロゲンに関する知識を総ざらいしておこう!


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ハロゲンの単体

①色・状態
②酸化力・還元力
③ハロゲン同士の反応
④水素との反応
⑤水との反応
⑥塩素の工業的製法:陽イオン交換膜法
⑦塩素の実験室的製法:酸化マンガン(Ⅳ)に濃塩酸を加えて加熱する
Point!

ハロゲン単体の重要ポイントは7つ。

①色・状態

状態
F2 淡黄色 気体
Cl2 黄緑色 気体
Br2 赤褐色 液体
I2 黒紫色 固体

ハロゲン単体の色と状態は上の通り。

状態がフッ素と塩素で気体、臭素で液体、ヨウ素で固体になる理由を説明していこう。

分子量(大)=ファンデルワールス力(大)
Point!

分子量が異なると、それに伴ってファンデルワールス力にも違いが出てくる。

分子量が小さいと分子間の接触面積が小さいためお互いがお互いを引き合う力(=ファンデルワールス力)は小さくなる。逆に分子量が大きいと接触面積も大きくなるため、ファンデルワールス力も大きくなる。

従って、ハロゲンの単体の中で1番分子量の小さいF2のファンデルワールス力が最も小さく、分子量が大きくなるにつれてファンデルワールス力も大きくなっていく。

ファンデルワールス力(大)=沸点・融点(高)
Point!

ここで、ファンデルワールス力と沸点・融点の関係を確認していこう。

先ほどから述べているように、ファンデルワールス力は分子同士がお互いを引き合う力のこと。

従って、この力が大きくなるほど分子同士がお互いを引き合っている、つまり、分子同士の結合が強いということになる。結合が強い方が当然結合が切れにくく、固体から液体や気体になりづらい(=沸点・融点が高い)。

以上を考慮すると、ハロゲン単体の常温常圧時の状態が以下のようになるのが理解できるはず。

②酸化力・還元力

ハロゲン単体は酸化剤として働くことがあるが、この時の酸化力の強弱は次のような順になっている。

酸化剤としての強さは、電気陰性度の大小と深く関係している。

電気陰性度(大)=酸化力(大)
Point!

電気陰性度とは?周期表での傾向から極性との関係、求め方、希ガスの値まで!でやったように、電気陰性度とは電子を引っ張る強さのことだった。

従って、電気陰性度が大きい方が相手のもつeを引っ張る力が強い、つまり、相手のもつeを奪いやすいということになる。eを奪われるというのは酸化されるということを意味するので、「電気陰性度が大きい=相手を酸化しやすい=酸化力が強い」となるわけである。以上を考慮すると、ハロゲンの酸化力が下のようになるのが理解できるね。

③ハロゲン同士の反応

問題

次の2つの式のうち、反応が起こるのはどちらか。
F2 + 2HCl →
Br2 + 2HCl →

ここまで紹介した知識を生かすとこの問題を解くことができる。

まず上の式について考えてみよう。FとClの電気陰性度を比べると、Fの方が高い。したがって、上やったようにFの方が「酸化力=電子eを奪う力」が強いということになる。

Fの方がeを奪う力が強いのに、Fが分子でClがイオン(eが多い状態)になっているのはおかしい!ということで、FがClからeを奪って次のような反応が起こる。

\[
F_{2}+2Cl^{-}→Cl_{2}+2F^{-}
\]

次に、問題の所に書いた下の方の式について考えてみよう。

BrとClの酸化力比べると(より電気陰性度の大きい)Clの方が高い。
従って、BrがClからeを奪い取るということはなく、反応は起こらない。

\[
F_{2}+2Cl^{-}→×
\]

④水素との反応

ハロゲン 反応
フッ素 低温・暗所でも爆発的に反応
塩素 常温でも光を当てることで爆発的に反応
臭素 高温で触媒を使うと反応
ヨウ素 高温で触媒を使うと一部が反応

ハロゲンの単体と水素H2との反応でも、ポイントは「酸化力」。

フッ素は酸化力が高いため、低温や暗所であってもH2と爆発的に反応する。

\[
H_{2} + F_{2} → 2HF
\]

また、Fの次に酸化力の強いCl2は(低温や暗所では難しいものの)常温で光を当てれば反応する。

\[
H_{2} + Cl_{2} → 2HCl
\]

Br2やI2は酸化力が低いため高温下で触媒を使う必要がある。

\[
H_{2} + Br_{2} \overset{触媒}{→} 2HBr\\
H_{2} + I_{2} \overset{触媒}{→} 2HI
\]

⑤水との反応

ハロゲン 反応
フッ素 激しく反応する
塩素 少し溶けて塩素水になる
臭素 少し溶けて臭素水になる
ヨウ素 溶けない

先ほどから書いているように、フッ素は酸化力が極めて高いため水H2Oとも激しく反応する。

\[
2F_{2} + 2H_{2}O → 4HF + O_{2}
\]

塩素は、水に少しだけ溶けて塩素水となる。(塩素の一部はH2Oと次のように反応)

\[
Cl_{2} + H_{2}O → HCl + HClO
\]

この時、HClに含まれるClの酸化数は「−1」、HClOに含まれるClの酸化数は「+1」になっているね。(酸化数については【保存版】酸化数の求め方とルールを完全解説!例題・演習問題付き!を参照)

つまり、Cl2のうち、片方のClは酸化されていて、もう片方のClは還元されている。このような反応を自己酸化還元反応といい、詳しくは自己酸化還元反応とは?原理や反応式の具体例などで解説しているので必ず確認しておこう。

また、このとき発生したHClOは酸化力があり、消毒作用や漂白作用をもつということも併せて覚えておくとgood。

臭素も塩素同様に自己酸化還元反応を起こすが、その反応性は塩素より低い。

\[
2Br_{2} + 2H_{2}O → 4HBrO + HBr
\]

I2は常温常圧で固体であり、分子結晶を形成しているので基本的に水には溶けない。

ただし、ヨウ化カリウムKI水溶液ではIと反応してI3となって、褐色の溶液になり溶解する。

\[
I^{-} + I_{2} ⇄ I_{3}^{-}
\]

⑥塩素の工業的製法:陽イオン交換膜法

塩素の単体Cl2を工業的に作る際は、NaOHの工業的製法である「陽イオン交換膜法」を用いる。

陽イオン交換膜法に関して詳しいことは【陽イオン交換膜法】水酸化ナトリウムの製法の仕組みや反応式を解説。を確認しよう。

⑦塩素の実験室的製法:酸化マンガン(Ⅳ)に濃塩酸を加えて加熱する

Cl2の単体を実験室内で生成するときは酸化マンガン(Ⅳ)MnO2に濃塩酸HClを加えて加熱する。

この製法に関して詳しいことは酸化マンガンを材料にした「塩素の製法」について徹底解説!洗気びんの順番の理由まで!!を確認しよう。

ハロゲンの水素化物(ハロゲン化水素)

①酸としての強さ
②沸点
③ハロゲン化物イオンと銀イオン
④カルシウムイオンとの反応
⑤フッ化水素酸の反応
⑥塩化水素の工業的製法:水素と塩素を反応させる
⑦塩化水素の実験室的製法:塩化ナトリウムに濃硫酸を加えて加熱する
Point!

ハロゲン化水素とはハロゲンと水素から成る化合物である。ハロゲン化水素の重要ポイントは7つ。

①酸としての強さ

Point!

ハロゲン化水素のうち、フッ化水素HFだけは弱酸、その他は強酸となっている。

②沸点

ハロゲン化水素の沸点をグラフにすると、次のようになる。

基本的に、ハロゲン化水素の沸点は分子量に比例する。これは(単体の所でやったように)分子量の大きい方がファンデルワールス力が大きくなり分子間の結合が切れにくくなるからである。

しかし、フッ化水素だけは水素結合を形成するため沸点が異常に高くなっている。

③ハロゲン化物イオンと銀イオン

Ag+ + F → AgF
Ag+ + Cl → AgCl(白)
Ag+ + Br → AgBr(淡黄)
Ag+ + I → AgI(黄)
Point!

ハロゲン化物イオンと銀イオンの反応は、生成物の色が特徴的で出題されやすい。

無機化学で頻出の色については無機化学の色まとめ(イオン/化合物(沈殿)/ハロゲンなど)にまとめているので必ず確認しておこう。

④カルシウムイオンCa2+との反応

ハロゲン化物イオンのうち、フッ化物イオンのみCa2+と反応してフッ化カルシウムCaF2として沈殿する。

\[
Ca^{2+} + 2F^{-} → CaF_{2}
\]

⑤フッ化水素酸HFの反応

フッ化水素の水溶液であるフッ化水素酸は、ガラス(主成分:SiO2)を溶解させる。

\[
SiO_{2} + 6HF → H_{2}SiF_{6} + 2H_{2}O
\]

⑥塩化水素の工業的製法:水素と塩素を反応させる

HClを工業的に作る際は水素H2と塩素Cl2を反応させる。

\[
H_{2} + Cl_{2} → 2HCl
\]

⑦塩化水素の実験室的製法:塩化ナトリウムに濃硫酸を加えて加熱する

HClを実験室で作る際は塩化ナトリウムNaClに濃硫酸H2SO4を加えて加熱する。

\[
NaCl + H_{2}SO_{4} → NaHSO_{4} + HCl
\]

この反応は揮発性酸遊離反応の一種である。揮発酸遊離反応について詳しいことは揮発性酸遊離反応とは?原理や疑問点を具体例を使って解説!を確認しよう。

ハロゲンのオキソ酸

塩素のオキソ酸は入試超頻出。

塩素酸を基準として、酸素が1コ多いものを過塩素酸、1コ少ないものを亜塩素酸、2コ少ないものを次亜塩素酸という。

酸としての強さは過塩素酸が最も高く、酸化力はいずれのオキソ酸も持っている。

関連:無機化学、まとめました。

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